16.メイフィルの実家へ
次の日の夜に実家のあるメイフィルに着いた。結構な強行軍だったと思う。途中の街で馬が変わった気がする。
ミレミアス診療所の看板が見えて、嬉しくなる。
馬車が止まると飛び出した。転びそうになってびっくりしたら、ジオが先回りして助けてくれた。先回り?? ジオのアビリティに感謝した。
玄関を開けて出てきた両親は、私達の様子に驚いていた。
「おかえり、ラーラ。友達と一緒とは聞いたけれど……」
「え、うん、友達の」
「フェルジオード・アシュワースと言います。お嬢さんとは真面目にお付き合いさせてもらっています。よろしくお願いします」
あぁ、ジオが友達じゃ許してくれなかった。微かに怒ってる気がする。
「「アシュワース……」」
両親の驚愕のつぶやきもあってカオスになった。
「フェルジオード様、馬車を停められる宿を探してきます」
御者さんが声をかけてきたので、いったん皆、我に返った。
「そこをまっすぐ行って右に曲がった宿屋なら大きいと思う」
と、お父さんが言うと、ジオが
「経費は気にせず泊まれるところに泊まってきて。早く走らせてくれて助かったよ」
と労っていた。
御者さんの一声で落ち着いたところで、家の中に入ってお茶を飲むことになったのだった。
「元気そうでよかったわ」
お母さんが安堵の顔をした。でもお父さんは厳しい顔で言った。
「それで、フェルジオードくんと付き合ってるってどういうことだい? 手紙にはアビリティの相談としか書かれてなかったが……」
「それは……!」
言葉に詰まった私の代わりにジオが言葉をつなぐ。
「あの、ラーラのアビリティが鑑定なのはご存知ですか?」
「ああ、夏休みに聞いたよ」
「今までは対象の情報と好感度が見れるだけだったのが、先日に練度が上がったのか触れた対象の感情が伝わるようになったんです。
お父君のアビリティも鑑定と聞いたので、何か参考にならないかと」
「娘の練度が上がったことと君に何の関係が?」
お父さん、トゲトゲしぃよ。どうしよう。
「俺の兄も鑑定なんです。端的に言うと触れた対象の心が読めます」
「それはまあ、大変そうだな」
「鑑定の自動発動を抑えるとか、意識的に遮断する方法はないかと思いまして。
あとは、ラーラの練度が上がったらどうなるか心配といいますか」
お父さんは、ため息をついて空気を和らげた。
「マリア、今晩の食事は何だったかな」
「塩漬け肉のミルクシチューよ。温めてくるわね」
お母さんが席を外すと、お父さんは話を続けた。
「他に聞きたいことは? ここまでわざわざ来たということは何かあるんだろう?」




