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11.期末テスト

「なんでこうなった」


 ジオがうなる。

 勉強会のメンバーが日に日に増えて、お店の大半の席を占めるようになった。もちろんアレクシアもいる。


 矢印があちこちに見えて、大変おもしろい。


 はじめ、アレクシアと友達になったと言ったらジオはとても驚いていた。


 そして迎えた期末テストの結果発表日。私は可もなく不可もない平均点を叩き出して、微妙な顔になるのだった。


 勉強会のことをこっそり知っていた先生からは、皆の点数が伸びたと感謝された。解せない。



 テストが終わったら、冬休み。ジオの家へ訪問する日が迫っている。

 貴族の家へなんてどんな格好して行ったらいいの? はたと気づいた私はミネアに相談しようと思ったけど、貴族のことは貴族に聞けと、気まずくて恥ずかしいのを押して伯爵令嬢のアレクシアに相談した。


「そんなの、アシュワース様に聞いて用意してもらえばいいじゃない」


 平民の私には思いつかなかった、斜め上の答えが返ってきた。


「女性のドレスくらいすぐ用意してくれるわよ」

「ドレス! ドレスがいるの!?」


 驚くしかなかった私は、ジオに相談することに決めたのだった。


 


 結局、学園の近くの商店街のドレスショップに行くことになった。


「まあ、どんな格好でもいいんだけどな。武装したほうが気持ちがマシってやつかな」

「そんなんじゃなくて、学校に着て来てる普段着しかないわよ、平民なめんな」


 揶揄うような言葉とは裏腹に、ジオの顔は柔らかく笑んでいた。


「こんな高そうな店、困るよ。請求書を見たお父さんがひっくり返るわ」

「アレクシア嬢になんて言われたんだ?」


 え? アレクシア?


「俺が出すに決まってる。安心して選びなよ」


 私は訪問に失礼にならない程度の、紺色のワンピースを選んだ。控えめなフリルがとても可愛い。オーダーしないのにサイズを測るなんて驚いたわ。


「当日は、直接家に帰れるように荷物も用意しておけよ。迎えに行くけど」


 ジオに念押しされたけど、何時の汽車のチケットを取ればいいかわからないわ。


「なぁ、汽車で1日なら馬車でも良くないか?

 2日ほどかかるけど」


 ギリギリでは汽車のチケットが取れるかわからない。ジオに甘えることになった。


 どうしてか、何か自分の意志とは別の流れに、巻き込まれていく気がしたのだった。

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