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シルバライ  作者: ゴスマ
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第六話:スキル装備


俺にはクリオを待つという目的があるし、彼が来る時までに急ぎ装備を整えておきたい。


その日は夜更けまで話の相手をさせられて気疲れしたが、自称ベテラン探索者の話には多分に有益な情報も含まれていたので良しとしなければいけない。


どの様な情報かというと、どうやら指輪にランクの様な物があったのと同様にここで落ちる武器や薬にもランクがあるらしい。例えばロングソードで言えば、付加無しのランク外品から始まり、単体の付加が+1~+9までの物をランク0、10~+19までをランク1、以下付加された数値が高い程ランクが上がるのだが、二つ以上ついて居る場合は各々のランクを掛算した後にスキルの数を足す。更にスキル付とはまた別にスキルごとにランク設定がある等、細かいルールがあった。


因みにルルがゲットした短剣に付与されていた突進のスキルはランク2、スキル付は最低がランク2からとの事。スキルとしては一番初歩の物となるがレア度は高い。同時に付いて居た力+25がランク2相当なので、掛け合わせて2を足した短剣の評価はランク6となり、可成り良いの品だという事が分かった。


翌日からはルーティーンを繰り返した。


クリオが来ていないか朝夕街の広場に通い、昼間はルルと迷宮探索、夜は宿の給仕を手伝う生活が始まる。給仕の給金は1時間で50ポイント。宿代が一晩500ポイントに食堂での食事が1回100ポイント必要なので、給仕の仕事だけでは食べて行けないが、賄いが出るので食事が1食分浮くのが仕事をしようと決めたきっかけだった。


さて、二日目からのルルの動きは危なっかしさが息を潜め、寧ろ低レベルなカブット相手だと、圧倒する勢いである。


一方俺はと言うと商業ギルドの「武器レンタルサービス」と言うのを利用して1回200ポイントで武器を借り、試行錯誤している。


武器が壊れたり、折れたりすると買い取らなくていけなくなるので其処は気を付けなければいけないが、普通に使って僅かな刃こぼれ程度は許して貰えるそうだ。


この制度を使って大斧(重すぎて戦いに成らなかった)、トマホーク(外すと壁のレンガで歯が大きく欠けるので使いづらかった)、長剣(剣に振り回された感があった)、長槍(迷宮では取り回しが難しい)と日々武器を変え、他にもハルバートや蛇腹剣、チャクラム、独鈷、大槌等もあったがそれらは試さず、地道に長剣が使える様に成る為に先ずは体を鍛える事にした。指輪の力で+8とか+9とか力を嵩増ししているが、体を鍛える事でも力をアップさせる事は当然可能だ。


1か月ほど長剣で戦い、早朝と深夜に素振りを繰り返していると、何と又もやスキル付の武器をドロップした。今度は長剣、スキル「馬鹿力」と「バランス+13」が付いた超俺向きの剣だった。


剣に「カバ丸」という名をつけ、翌日から迷宮の入り口を無双する。


それから1週間もしない内に『ルル&デニー』の二人組は期待のルーキーとして街で噂される様になった。


丁度その頃、迷宮の入り口から中ほどへ戦場を移した俺達はカブットの白い個体と遭遇した。白はレアらしく強かった。倒すのに可成り手こずったが二人掛かりで何とか倒すと、何と現れたのはスラリと反った片刃剣。波紋の美しさにぞくりとさせられる代物であった。


カタナよこれ。うわあ、始めた見た。」


ルルも驚いている。


「カタナって言うんだ。すっごく切れそうだね。」


「うん、でも曲がり易いって聞いた事も有る。取り合えず鑑定ね。うわっ。」


鑑定紙には「スキル斬鉄(切れ味+100)、素早さ(+31)、スキル潜伏」と表示されていた。


五右衛門ごっちゃんと名付けたその刀を早速使って見てその効果に驚く。


大根の様に綺麗な断面のカブットは立ったまま霧散した。


「すごーい。これなら地下二階も行けそうだね。」


隣でルルが飛び上がって喜んでいた。ソードの街の迷宮には地下二階層が有り、ルルの父親達が潜るのも其処である。


「否、この刀は暫く封印しよう。少なくともロングロードでこの階を危なげなく探索できるくらいの力を付けるまでは。」


「なんでよ~。私早くパパの居る階層へ行きたいのに~。」


「駄目だ。今この力に頼ってしまうと後で困る気がする。」


俺達は街へ戻るとごっちゃん刀を宿屋に預け、武器屋を周り刀を探す。


だが、元々出現数が少ない上に所有者が売る事も少なく、何処も刀は未在庫。


最後に相談した商業ギルドの倉庫の中から大昔に納品されたランク外品が1本やっと見つかった。


次の日から、又迷宮の入り口付近で一から戦闘技術を鍛え直す。


最初は慣れない無名の刀に手こずり、何度もルルの手を借りカブットを倒して行く。


ドロップ品は相変わらず順調で止めをルルが刺そうが俺が刺そうが良品に恵まれた。


只、俺から離れた場所でルル一人がカブットを倒すと殆どドロップ品が出ないか、出てもランク0だったので、ルルもそろそろ俺の幸運値が高い事に気が付いている節がある。


「ねえ、テビ―。貴方と居ると探索が楽しいわ。この街では在り来たりなんだど、将来二人で武器屋を経営するのってどう?貴方が集めて私が売るの。きっと街一番の大店になると思うわ。」


そんな問いは困る。曖昧な笑顔で躱しながら剣技を磨く俺はクリオの事を考えて居た。


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