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俺のアンチはお前かいっ!?  作者: 白桜有歩
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双子だから苦手も一緒51

「(行け童貞っ!)」


結くんがげんなりした顔で席を立ち、お父さんの席へと移動する。


『待ったで! 今日もイクッたくん!』


『しーっ! 声がでかいですよっ! 凄っイクマムシ天狗さんっ!』


 時計型の盗聴器からイヤホンに届く声に悲鳴声を上げる一同。


「(なんていうアカウント名ですのっ!?)」


「(殺す・・・・・・っ!?)」


「(結太さんがあんな奴だとは想いませんでした・・・・・・っ!?)」


「(あいつは地獄に落とす・・・・・・っ!?)」


「(キモいです・・・・・・!? 結くん・・・・・・!?)」


『ちゃうんやっ!?』


「「「「「何が違うんやワレっ!?」」」」」


 一同が席を、立ちツッコんだ。


『ん? どないしたんや今日もイクッたくん・・・・・・? というかー、やけに騒がしい席あるけどなんやろか? 迷惑やなー!』


『なんでも無いです!? 名前で呼び合いません? ほらっアカウント名やといろいろと・・・・・・』


『そうやな。ワイの名前は相田志郎あいだ・しろうや! よろしくなっ!』


『今田結太です!? よろしくお願いします・・・・・・っ!? (後で殺す・・・・・・っ!? こいつだけは!?)』


『なんて?』


『何もありません』


『そうかいな。まあええか』


『例の写真も持ってきたか? 更衣室の動画・・・・・・』


『なっ!? 何言っているんですか!? そんなのあるわけ・・・・・・っ!?』


『何言うてんや? 教頭のデスクから盗んだ言うてたやん? まだ中学生やろ? 呆けるの早いで?』


「おい」


『はい』


「永遠に後悔させるからな・・・・・・っ!? 地獄に落ちても何度も苦しむように惨たらしい殺し方するからなっ!?」


『堪忍してくださいっ!?』


『誰に話してんや、結太くん?』


『なんでも無いですっ!? 気にしないでくださいっ!?』


『おお・・・・・・』


『で。他にもあるんやろ? 教頭が所持していた女子トイレの動画・・・・・・? キミ、悪いやっちゃなー!』


『あれだけはまだ見ていませんからっ!?』


「惨たらしく殺すだけじゃいけないようね? 結太ぁ・・・・・・!?」


『神に誓っても見ていませんから許してくださいっ!?』


『さっきから何言うてんや? 結太くんなんか食った『お前は黙っていろやあっ!?』あ痛ったあっ!?』


 結太が志郎をお冷やが入ったコップで、殴りつけて水が飛び散った。


『何するんやっ!? お前っ!?』


『よくも言わんでええこと言うたなっ!? この絶倫不倫男っ!?』


『な、なんで不倫したって、知っているんや、お前・・・・・・?』


「あの馬鹿っ!?」


 全席のみんなが、立ち上がって所持していた武器を取り出す。結くんを睨み付ける女子たちは、怒りで目つきが変わっていた。


『ストーップっ!?』


 結くんが時計型の盗聴器を、テーブルに叩きつけてファミレス内の全員を制止した。


「真理さん、泉さん、由美さん! 言いたいことあるんちゃうんか? いまのうちに言うとけ!」


 厨房から泉が出てきて血相を変えたお父さんが、入り口に振り向いたが入り口を柄の悪い男たちが塞いだ。ヤクザの事務所の方たちが、総出でファミレスに集結していた。


 店のガラスの向こうには取り囲むようにヤクザが、お父さんを睨んでいる。


「お、お前、嵌めたな・・・・・・っ!?」


「何を偉そうに言うとんや? 泉さんたちを二度も裏切って言えた義理か?」


「お父さんがおったら支えられたはずやで? 真理さんたちをな?」


「どういう意味やねん・・・・・・?」


「お父さんおったら彼女らを励ましてあげられるチャンスも時間もあったはずや? 不倫で離婚したんやろ? 人間不信になっているやんか彼女ら?」


「そっ、それは・・・・・・」


「最低な黒ゴマ」


「最低な黒大豆」


「不倫クソ男」


「真理たち、いままで苦しかったよ、泉を裏切って不倫して真理たち幼いのに捨てたのにいまだに未練もって近づこうとするのが嫌だった」


「由美たちが連絡を取らなかったのは気付かなかったの? 嫌っていたんだよ?」


「――っ!?」


 お父さんは後ずさり椅子の足に、躓いてよろける。


「あんた、ホンマ昔から図々しい人やな? そういうところホンット嫌いで嫌いでホントこの世から消えて欲しかった」


「夢を叶えずに人のせいにして諦めたいも、努力しても意味が無い言うのも、道は他人に邪魔されて自身の言葉にしてしまう言うのも、歌が下手なままで夢が叶わない言うのも、真理さんが言うた言葉です。

苦しみを取り除くことが出来ないかもと悩みましたよ、俺は」


「それやったらな真理「言わないでっ!? あなたの言葉は聞きたくないっ!?」な・・・・・・っ!?」


 真理の腕を、掴もうとしたお父さんの手から離れた。


「こうなるんです。分りましたか? 真理さんたちの怒りが?」


「く・・・・・・っ!?」


 お父さんが出口まで走って逃げようとしたが、


「まだ話ありまっせ。相田さん。娘さんたちの恨み言ちゃんと聞いてあげ」


 黒のスーツを着た親分がジロリと睨み、彼の足下で力なく座ったお父さん。


「お父さん。もう真理たちに関わらないで」


「さようなら。黒大豆。今度はかに漁船やな?」


「何も送って来るな。迷惑や。あんた」


「奥さんちゃんと予定のもん手に入ったんでこれで」


「こいつを頼みます」


「はい」


「行くぞお前ら」


 お父さんの両脇に立って彼の腕を、掴んでぞろぞろと店から出て行くヤクザを見送った結太は、


「まだ諦めてるか? 声優の夢」


「どうせ叶わないよ、人間全員勝手だもん、否定されたら真理も自分の道を否定してしまうし。もう諦めた方がいいよ・・・・・・」


「諦めるのは全力で頑張ってからでもええんちゃうか?」


「全力で頑張る意味どこにあるの? 音痴に夢見せようとしないでっ!?」


「努力したって意味無いもんっ!?」




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