生まれてきたことにおめでとう!
「仲直りできたな! よしっ! 一宮。早あれだせ! 誕生日会の目玉やっ!」
「うんっ!」
「難しかったんやで、作るの。だから笑わんといてな・・・・・・?」
いちが取り出した箱には真っ白なクリームに季節のフルーツを、敷き詰めた誕生日ケーキだった。
「美味しそうやな! これみんなで作ったん?」
「そうやけど、何度も失敗してな。で。出来たのがこの誕生日ケーキ。何度も失敗した割にはスポンジケーキにクリーム塗るの下手やし、フルーツ上手に盛り付け出来へんかったわ。笑わんといてな?」
「ふふ」
「あー笑たなー!」
「ううん。嬉しくて笑ったんよ。ありがとうみんな!」
「ね? 仲直りできたでしょう? つぐちゃん!」
千春が、緒美の肩に手を添えて笑う。
「なあ。つぐ。これからも仲良くしような?」
「うん! 仲良くしような!」
「電気消すぞ~! 早ロウソクに火を灯せ」
いちたちが、ロウソクに火を灯してケーキのプレートを囲むように刺す。
ゆうくんが部屋の明かりを消した。
「つぐ?」
「何?」
「お誕生日おめでとうは毎年元気な姿で誕生日祝おうな、よろしくやで今年も来年も再来年もずーっとその先もっていう意味なんよ? わたしが勝手にそう思っていることなんやけどな?」
「毎年元気な姿のつぐに会いたいから約束するな? ――」
「毎年みんな元気な姿でつぐの誕生日祝いたいっ! 約束守ってくれるか?」
「うん! 約束守るよ! いち! みんな!」
「約束やで!」
「じゃあ歌おうか!」
誕生日の歌をみんなで歌う。みんなは笑顔で、手拍子をつけて歌ってくれる。
「生まれてきたことにおめでとう! この世界に生まれて私たちに出会ってくれてありがとう! つぐに出会えたこと幸せだよ! これからもよろしく! つぐの手をいつまでも離さないからね! ――お誕生日おめでとう! つぐ!」
「「「「「おめでとう! (根暗・つぐちゃん・つぐちー・つぐちん・緒美)!」」」」」
「ありがとうみんな!」
「ほら。ロウソクの火を消して」
誕生日ケーキのロウソクの火を吹き消した。ロウソクの火を吹き消すと、ロウソクの明かりで写ったみんなの顔が消えて、電気をつけたときにそこには笑顔のみんながあたしに拍手で迎えてくれた。