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誕生日に交わした約束19
「ちょっと待て緒美! こらっ愛生離せ!」
「離しません~! 二人で仲良くお出かけするんです~!」
二人の声を背に走るあたしは、久しぶりに外を出たことに気付く。
街の風景が、変わっていて窓から見る近所とは違う景色に迷いトボトボと吃逆をあげて徘徊した。
泣き疲れて駅前のベンチに腰をかけて、過去の誕生日を思い出してまた涙が零れた。
「何も無かった、誕生日の思い出・・・・・・っ!?」
「誕生日に幸せな思い出が無い。何一つないとか救われへんでこんなん・・・・・・っ!?」
「誰もが幸せな誕生日迎えるのに変態の結太にしか祝ってもらった記憶しか無い・・・・・・っ!? こんなんあんまりやっ!?」
楽しそうな声に俯いていた顔を、上げると誕生日プレゼントの包み紙に包まれたおもちゃを抱える子供と家族が仲良くあたしの前を通り過ぎた。