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誕生日に交わした約束11
彼は荒くなった呼吸で緒美の足下にすがりつき、震えた手であたしの手を掴む。
「違うんだ、聞いてくれ・・・・・・っ!? パンツを盗むつもりは・・・・・・っ」
「盗むつもりは?」
「無かっびゃびゃびゃびゃ!?」
「もう何言ってもダメのようね? 愛生たちが審判を下しましょうか根暗?」
「そうやね。こいつに何言っても嘘を吐くし、やりましょか!」
「愛生ちゃんこれあるからこのスタンガン返すわ。あたしはこれ使うから! しっかりと地獄を見てもらおうっ!」
緒美が、手にしたのはわかなちゃんにもらった護身用スタンガン。
「これでゴキブリはコロリや!」
「――ひっ!?」
「ナイスマフラー! いいもん持たせてんじゃないの!」
「ちょっ!? やめっ!?」
「さてと」
「さーてとやね」
「違うんだっ!?」
「まだ言うか? このゴキブリ。地獄をみな分らんのか? この国の死刑は生ぬるいからあたしたちが代行してやってんのやで? 本来なら足と手首と首と背中に重りをつけて海にドボンやで?」
「だから聞いてくれっ!? 本来なら盗む気が無かったんだよっ!?」