Part1 完璧少女?の出会い
「皆様、おはようございます」
学校の校舎に向かっていく青髪の美少女は、周りの学生たちに挨拶をしながら歩いていく。その一歩一歩が絵になるようで、その周りの学生たちからは、「満里奈様よ、お綺麗ね。」「どんなことを考えていらっしゃるのかしら。」などの声が聞こえてくる。
この女性の名前は、早崎満里奈、この春からこの都立の超お嬢様学校「私立柳岡高校」に通っており、入学初のテストは当たり前のように一位、その上、運動神経は抜群で、性格もよく、大きな財閥の娘であり、よく言う完璧美少女である。彼女にかかれば、入学してまだ2か月程度しかたっていなくてもこの学校の憧れの的である。
このような、憧れの的である少女の人物像とは裏腹に、あることを考えながら登校していた。「昨日のチャートじゃダメですわ。」
そう、実はこの少女裏の顔は、RTA走者なのである。
外では完璧少女、家ではRTA走者なぜそのような生活を送っているのかそれは、入学したすぐにさかのぼる。
「今日から、夢の一人暮らし。ドキドキしますわ。」
まだ、段ボールだらけの高級マンションの一室で初めての一人の空間に満里奈は、両手を上に挙げて、上下に飛び跳ねながら大喜びしていた。
何故なら、彼女の実家は全国でも有名な早川財閥の次女であり、箱入り娘の様な生活を送っていた。いつも、自分の近くには使用人などが近くにおり、勉強時間どころかわずかな遊ぶ時間まで監視されていた。
その上、父は厳格な性格であり、
「知識は裏切らん」
といった、考えを持っており、勉強には特に厳しく。一般的に言う秀才であるのが当たり前であった。
このようなことから、高校の教材を見たときは、難関高校でありながらも、少女からすると物足りないような内容であった。
このようなことから、一人暮らしが決まったときは、勉強などの心配がないため今まで、できなかった一般の人がする趣味などを高校生活の中で精一杯楽しもうと思っていた。
一人暮らしになることによって、周りの監視の目はなくなった。だが、趣味に没頭する姿を親に知られてしまったら、どうなるかわからないため、学校ではいわゆる完璧少女を演じることを決めていた。
そして、今に至る。
「さぁ、何から始めましょうか。」
満里奈は、目をキラキラさせながら言った。
彼女は、高校入学時に親に買ってもらったばっかりのスマホで調べ始めた。
その時、最初に目に入ったものがゲーム関連の情報だった。
「面白そうですわね、一度やってみるのも経験ですわね。」
そう言い聞かせて、ゲームを売っている場所を調べ始めた。
「ゲームショップ?そんなお店があるんですの?」
自分の住んでいる場所の近くのゲームをゲームショップを見つけ、
「今週の休日行ってみようかしら。」
そうしてその休日の日、朝から家の家事などを済ませ、身支度を済ませ張りきった様子で家を出た。近くの駅から電車に乗り、二駅先の駅で降りた。そして、ネットに載っていた情報を頼りに、そのゲームショップに向かった。
一人で歩く、自由を楽しみながらうきうきとした足取りで歩いていき、ついにそのゲームショップについた。
「こ、これがゲームショップですの。」
満里奈は、ゲームショップの前で目を輝かせながら言った。
そして、恐る恐るそのゲームショップに足を踏み入れた。
そこは、満里奈が全く知ったことのない世界だった。店内には、大音量で音楽が流れ、棚にはゲームやコントローラーなどの様々なものがが陳列されており、大人から子供まで商品を買いに来ている客がいた。
満里奈は、新しい場所に来たように感じたことによる、驚きと高揚を隠しながら、自分が目的としているゲーム陳列棚に、向かっていった。
ゲームの陳列棚についたのはいいが、満里奈は、大量の種類のゲームに圧倒されていた。満里奈は、唾をごくりと飲み、
「ど、どれを選べばいいんですの。」
と言い、両手で手当たり次第にゲームを探し始めた。
アクション系ゲームやRPG系ゲームなどゲームにもいろんな種類があるが、今まで一切触れてきていない満里奈には、どれに手を付けていいかわからなかった。
そうして、どのゲームを買えばいいのか悩んでいると
「す、すみません」
という女の子の声が聞こえてきた。
「え!」
ゲーム選びに夢中になっていた満里奈は、その声にびっくりし、驚いた声でそう言い、振り向いた。
声をかけてきたのは、赤色をした長い髪型で、眼鏡をかけ、黒いワンピースパーカーを着ており、服の真ん中にはゲームのキャラなのかわからないが動物をデフォルメしたようなキャラがど真ん中にプリントされていた。歳は自分と同じぐらいであろうか。そして、おどおどしたしぐさをしており、気の弱そうな感じだった。
満里奈は、驚きを隠しつつ
「どうしましたの?」
とその少女に聞き返した。その少女は、おどおどしながら小さな声でこう言った、
「そ、その棚に欲しい、ソ、ソフトがあって・・・」
それを聞いた満里奈は、
「申し訳ないですわ、私、自分のことばかり考えて、周りを見ていませんでした。不覚ですわ。」
そう言い返した。それを聞いた少女は、両手を前に出し手首を左右に一生懸命振りながら、
「そ、そんなことないです。気にしないでください。」
と顔を横にずらして表情を隠しながら言った。その少女は、そうした後ゲームの陳列棚に向かい、
「このゲームが、欲しかっただけなんで。」
といって、新作コーナーにあったゲームソフトを一つとった。そして、そのゲームを手に入れた後、満里奈に向かって、こう問いかけた。
「あ、あの。何かすごく悩んでましたけど、どうかしたんですか?」
それを聞いた満里奈は、
「じ、実は、私ゲームというものをしたことがなくて、どのゲームから手を付けていいのかもわからず、悩んでいましたの。」
と、満里奈は恥ずかしそうに答えた。それを聞いた、赤髪の少女は、
「わ、私も一緒に選びましょうか?」
と答えた。それを聞いた満里奈は、食い気味に
「いいんですの!」
とその赤髪の少女の両腕をつかみ、目をキラキラさせながら彼女の眼を見ていった。そうされた、赤髪の少女は視線から必死に顔を隠そうとしながら、
「わ、分かりましたから。」
といって両手を外そうともがいていた。それに気づいた満里奈は、すぐに両手を放し、頬を赤くさせながら、
「こ、コホン、失礼、少し取り乱しましたわ。」
と言った。その後、赤髪の少女はひと呼吸おいて、
「まず、どんなジャンルのゲームがいいとかはないんですか?」
と満里奈に問いかけた。それに対して
「ジャンルとはなんですの?」
と答えた。その答えに対して、その赤髪の少女は少し戸惑いながら
「ジャ、ジャンルとはですね、簡単にキャラ同士が戦う格闘ゲームがしたいとか、現実とは違った世界を冒険するRPGゲームがしたいとかそういったゲームをカテゴリーに分けたようなものです。」
と答えた。それに対して満里奈は、
「そうなんですのね、やってみたいゲームのカテゴリーですか・・・」
と言い。考え込んでしまった。それもそのはず、一切ゲームをしたことがないどころか、その情報が一切入ってくるような家でなかったため、想像することすらできないのだ。
それを見た、赤紙の少女は、
「で、でしたら、知っているキャラとかいないんですか。」
と問いかけた。それに対して満里奈は
「知っているキャラクターですか・・・」
そういって、また悩み始めてしまった。赤紙の少女はこの状況をどうにかしようとおどおどしながら一生懸命、錯綜しているが、結局そうしていいかわからず下を向いて黙り込んでしまった。
そうして、少したってから満里奈が
「悩んでもわかりそうにないですわ、あなたのチョイスに任せます。」
と言った。他人のゲーム選びを丸投げされた少女は
「ええっ!」
といって驚いた後、「わ、わかりました」と言って一生懸命にゲームを選び始めた。
「これはどうかな」
「これは難しすぎるよね」
と独り言を言いながら必死に選んでいた。
少女は、大変そうであったが、選んでいる時の顔は楽しそうに見えた。それを、見た満里奈は、少し驚きながら「こんなに、少女を引き込む魅力のあるゲームとはいったいどんなものなんでしょう」と口ずさみ、早くどんなものか体験してみたいとわくわくしている様子であった。
そうして、少女がゲームを選び終わるのを待っていると
「やっぱりこれがいいよね。」
といって少女は、満里奈のいるほうに振り向いた。
その手には、一本のゲームソフトがあった。
「このソフトは、ど、どうですか。」
と言って、そのソフトを手渡してきた。それに対して、
「これは、どういった内容のゲームですの?」
と満里奈は聞き返した。赤髪の少女は、
「そ、そのゲームは、アクションゲームで、ある姉妹が亀の化け物に妹を連れていかれちゃって、それを姉が助けに行くみたいな内容のゲームなんだよ。」
と一生懸命に満里奈に説明し始めた。その説明を一通り聞いた満里奈は、
「どうして、このゲームをお勧めしてくれたんですの?」
と聞き返した。すると、赤紙の少女は恥ずかしがりながら、
「そのゲームは、ゲーム界を代表する、有名なゲームというのもあるんだけれど、じ、実は私が一番最初にやったゲームであるのもあって・・・」
と言った後すぐに続けて、
「ご、ごめんなさい。私的意見を交えちゃって。ほ、他のがよかったらかえてもいいからね。」
それを聞いた満里奈は、赤髪の少女の両手をつかみながら、
「そこまで考えて、選んでくださったのですわね!ありがとうございます。」
と言って、
「これにしますわ!」
と目を輝かせて言った。少女から見た満里奈は、うきうきしてとても楽しそうな様子だった。
そして、赤髪の少女も受け入れてもらったのが嬉しかったからか、その顔からは笑顔があふれていた。
そして、購入するために、二人でレジに向かっていった。
「ここで購入するんですのね。」
満里奈は、少し緊張していた。何故なら、箱入り娘だった満里奈は、レジなどは何度か見たことはあったが、自分一人で利用するようなことは今までに一度もなかったからだ。
それに対し、赤髪の少女は、緊張している満里奈を見て不思議に思った。
そして、レジに並び自分たちが利用する番が来た。満里奈は、「お先どうぞ」と言って赤髪の少女に譲った。赤髪の少女は、「ありがとう」と言って、先にレジに向った。
そうして、赤髪の少女がレジを利用しているのを満里奈はすごい形相で見ていた。
「ああすればいいんですのね。」などとぼそぼそ言いながら見ている満里奈の圧はすごかった。
そして、赤髪の少女の会計が終わり、満里奈の番が来た。
「この、ゲームのお会計よろしくおねがいしますわ。」
タジタジになりながら、定員にゲームとゲーム本体を出した。
そして、定員はバーコードを慣れた筒木で読み取り、
「3万二千円になりまーす。」
と告げた。財布からお金を出しそれを支払った。
そして、定員から綺麗に袋に入れられた商品を渡されレジを離れ、赤髪の少女に合流した。
その時の顔は、安堵した表情をしており、ほっとした顔だった。
赤髪の少女はその後、出てきた満里奈に、
「私が、会計しているときすごい表情してたけど、どうしたの。」
と言った。それを言われた満里奈は顔がぽっと赤くなり、
「じ、実は、自分一人で会計をするのは初めてでしたの。」
と恥ずかしそうに下を向き、表情を隠しながら言った。
それを聞いた、赤髪の少女は少し驚いた表情をした後、
「あははっ!」
と言って笑い始めた。満里奈はその間、下を向いたままだったが、赤髪の少女が笑っていることに気が付き、上を向いて、
「笑うなんて、ひどいですわ!ほんとに緊張しましたのよ!」
と照れ隠しの様に赤紙の少女を見て言った。それを言われた赤髪の少女は、
「ごめんなさい」
と言いながら、笑いから出た涙を拭いながら、必死に笑いをこらえようとしているが、一向に収まらない。
満里奈は、
「もぉー」
と言いながら、赤髪の少女の笑いが収まるのを待っていた。
ちょこちょこ更新していきます。
モチベ―ション上がるので反応いいといいな