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アインシュタインの罪  作者: Snow
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疑惑の心理

第二章

  現場に到着すると、すぐさま検証を始めようとする桃夏。その間で、参考人の詳細を聞く光樹。事件概要は以下の通りだ。刑事が書類を徐に、持ち出す。

 被害者夫婦を含む、参考人5名。事件発生時、参考人全てが同じ言葉を交わした。貸切ホテルの一室で事件が起きたのだが、貸切っていたホテルは、ワンフロアに寝室が四部屋、バスルーム、トイレ、キッチンと十分に機能は、満たされていた。計7名用でも、少し広すぎる様にも感じた。被害者は夫婦。現場は一室。検視資料では、無理心中と見ている。

ここで、光樹が気になる点を挙げてみた。

 光樹(被害者の夫婦は、パーティー中に先に離脱した。その後、無理心中をしたのでは?と記載があるけど、無理心中ならば、ホテル…ましてやパーティーを選ぶか?)

 刑事も思わず首を傾げる。確証はないが、人間の心理では、心中するのなら、自宅。または、二人の思い出の地ではないだろうか。だが、被害者の心理の中では、そこに、意味があったのか…。

 光樹(もう少し詳しく知りたい。勉強会の時にでも、参考人の方々からお話を伺いたい。)すんなり承諾する刑事をよそに、桃夏が戻ってくる。戻ってくると重たい口を開いた。

 桃夏(もし無理心中なのであれば、あの部屋を選ばないはず。物理的に考えて、デメリットしか見当たらない。)としきりに部屋のカドを指差す。カドには、ルームキーで解除する二重ロックタイプであることが分かる。しかし、部屋の鍵を持っていたとなると…。

 桃夏(無理心中か、完全密室になる。ただ、物理的には密室を作り上げるとなるとかなりの時間が必要で、更に、ホテルであれば、チャンスは1度。)と顰めた様子で話す。

 光樹(巧妙に仕掛けられていた可能性もなくはないってことになるか。)勿論、答えなど出るわけもなく、現場を後にした。帰り道、小さな公園を見つけたと、桃夏に誘われ仕方なく立ち寄った。

 光樹(物理学的には、立証するとすれば無理心中か密室の二択しかないの?)ブランコに揺られている桃夏にそっと聞く。言い方に曇りがあることは気が付いた。

 桃夏(そういえば、殺人であれば立証は、難しいと思う。でも物理的には見えない事が光樹には、見えるでしょ?)何気ない言葉ではあるが何故か、納得出来た。深層心理的にみたら…と物議を醸し出す。そんな事件であることは明白だった。

 事件とは、人を壊してしまう。勿論、誰しもがなりうる事項であることは間違いない。例えば、お友達の大切なものを壊してしまったら素直に謝れる人はどれくらいいるだろか?というように、人は隠し事を一度はするものだ。仮説を立てるなら個人的な意見では、密室殺人だと思う。そう早々と口にする光樹に啞然とする桃夏。

 桃夏(やっぱり、光樹は凄いよね。目線が違うっていうのかな?)ブランコに乗ったまま話す姿に少し不貞腐れているようにも見える。

 光樹(その代わり、桃夏には僕にはない、物理学があるだろ?)

 光樹の人への執着は今に始まった訳ではない事を知っているのは桃夏だけだ。人とは魔物だと感じたのは、僕が、中学生だった頃だが、事件に要因として、魔物はすんでいるのかと聞かれたら、確証はないけどね。

と微笑み交じりに言葉を交わした。

 プルルルル…。

光樹の携帯が公園で鳴り響く。刑事からの着信だった。すぐさま応答したのだが言葉を濁らせた。参考人の1人が殺害されていた。

 その一言を境に、通話が切れた。光樹の顔から笑みが消えたのはすぐの事だった。

数日が経った日、勉強会参加者が呼び出された。そこに、光樹の姿はなかった。首を傾げる桃夏のもとへ、教師が歩み寄る。光樹のことを聞かされた。

 桃夏(…ってことは、もう勉強会の会場にいるってことですか?)軽く頷く教師にため息交じりに。返事だけすると、すぐに、光樹へと連絡した。応答がないことになる少し腹を立てたが、ハッとした。深層心理ってことは、このままだと危ない。

 桃夏(私も、先に会場に行きます!)

そう教師に吐き捨てると足早に向かった。間に合って…と心中で願いながら。


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