第九話 ダンジョンへの道中
何でもない日常を描くのは難しいですよね。
だからと言ってバトルを考えるのも難しいので、どんな話も難しいって事になりますけどね。
俺とクロエは古代魔法の一つ幻影魔法に関するダンジョンに向かっている。
シルビアン王国から北へ歩いて五日程度の距離にあり、アイテムボックス内には野営の準備や食料品なども入っていて準備は万端だ。
万端のハズだったんだが…
「なあ団長、何がどうしてこうなってるんだろうな?」
「いやー、元々は一人で調査を予定してたもんすから、野営準備は一人分しかしてなかったっす!悪いっすねリンネ君」
ダンジョンに向かって一日目の夜、一人用の狭いテントの中で二人で寝る事になってしまった。
クロエは小柄なので、一人用のテントでもなんとか二人で寝れるが、それでもほぼ密着状態だ。
いくら見た目が幼女とはいえ、29歳のれっきとした大人の女性だ。
見た目が幼女なので変な気持ちは一切起きないし、クロエに関しても俺に対してと言うか、男に対してそんな感情が無いように見える。
「だから、俺が外で見張りをするから、一人で寝ていてくれていいんだが」
「見張りはピョン子がいるから大丈夫っす。それに私の可愛い団員を外に追い出すなんて団長として出来ないっす」
どんな団長のプライドなのかはわからないが、クロエとしては団員に見張りなんてさせる事は出来ないらしい。
俺の提案に対してもきっぱり断り、結局狭いテントの中で二人で寝る事になってしまった。
「それにピョン子以外にも私の魔法具で結界も張ってあるっす!なので、何も気にしなくて寝るといいっすよ」
「わかったよ団長、おやすみ」
基本的に人の話を聞かないクロエなので、ここまで言っているので何を言っても無駄だろう。
だったらここは素直に従って、おとなしく寝るしかないだろう。
そう思い、俺は素直にクロエの言葉に従って寝る事にした。
「素直な子は好きっすよ、よしよし」
クロエはそう言って俺の頭を撫でたかと思うと、その数秒後には静かな吐息を漏らしながら寝ていた。
完全に子供に見ているのか(実際倍近く年齢は違うが)、何の警戒心も無くあっさりと眠っていった。
俺はそんなクロエに毒気も抜かれ、一日歩いた疲れもあったので俺もすぐに深い眠りについた。
「はぁ~、これが毎日続くって言うのか?これじゃあ身が持たんぞ」
朝起きると、俺の頭の上には服が少しはだけた幼女のような大人の女性が乗っていた。
狭いテント内、密着しているぐらいならまだ理解も出来る。
しかし、今のクロエの状況と言えば、服はたくしあがりお腹は出ていて、ズボンも少しずり落ちていて下着が少し露呈している。
そしてその露呈している下着が俺の頭の上にある。
つまりはクロエは寝ていた体勢から完全に上下が反転し、そしてクロエの尻が俺の頭の上にある。
「おい団長、いい加減起きてくれないか?」
「う~ん。まだ眠いっすよ~。も~ちょっと、も~ちょっとだけ寝かせて欲しいっすよ~」
そう言いながらクロエは寝返りを打って、今度は完全に俺に覆いかぶさる形になってしまった。
幸いズボンはずり落ちているが下着が露呈しているのは尻だけで前はしっかりとズボンで隠れていた。
しかし、その前の部分が完全に俺の顔にかぶさった事で息も苦しく、いい加減鬱陶しいので
「身体強化」
闇属性魔法である身体能力向上の魔法を使うと、右手でクロエの背中の服を掴んで持ち上げて
「重たいですよ団長。ほら、起きてください」
「う~ん。女性に重たいは失礼っすよ~。はぁ~~まだ眠いっすけどしょうがないっすね~」
クロエは俺に掴まれて身体を浮かせたままの状態で身体を伸ばして、「ん~~~~」と言いながらも目を擦りながら起きようとしている。
「それよりリンネ君、さすがの私でも恥ずかしいので、そろそろ下ろして欲しいっす」
「今日だけ寝相が悪いって事じゃないよな?じゃあこうなることぐらい予想出来たよな?」
「いやー、今日は大丈夫と思ったんすよ。それより服も捲れて下着も見えちゃってるので、ホントにそろそろ下ろして下さいっす。それとも、お姉さんの下着をもっと見てたいっすか?」
「まったく、朝から尻に敷かれて起こされた身にもなってくれよ。幼女の下着ぐらいじゃ興奮なんてしないから安心してくれ」
「幼女とは失礼っす!!」
クロエが掴まれたままじたばたとしながらポコポコと俺の腹を殴ってくる。
身体強化で強化してるので、全然痛いなんてことは無いのだが、あまり暴れないで欲しい。
そんな事を想いながらクロエを見ていると、次の瞬間にはクロエの服のフロントを止めているボタンが千切れてしまい、下着が完全に見える形になってしまった。
流石に女性のそれを凝視も出来ないので、俺は少し顔を赤くしながらも目線を逸らしながらクロエを横に下ろした。
「完全に見たっすねリンネ君」
「わるかったよ団長」
「それにしても、リンネ君も男の子っすね。照れちゃって可愛い所もあるじゃないっすか」
「子供をからかわないでくれます?団長はもっと大人らしくするべきですよ」
「悪いっすねリンネ君。ところでリンネ君、一つ大変な事があるんだけど聞いてくれないっすか?」
「何ですか団長?」
「いやね、光魔法の洗浄で服は綺麗に出来るっすよ」
「それは便利ですね。それで、それがどうしました?」
「服は綺麗に出来るので、寝間着を一枚しか持ってきてないっすよ。それで、その寝間着がこの一枚っす」
「つまりはどうしたいと?」
「さすがに私と言えど破れた寝間着でずっと男の子と寝るのは恥ずかしいっす。なので一回シルビアン王国に帰るっすよ!」
「団長は本当にアホですか?まあいいですよ。ついでにテントももう一つ取りに行きましょう。毎日尻を顔に乗せられるのもたいへんなんで」
「こんな美女の尻なんて役得じゃないっすか!」
「29歳にもなって苺パンツ履いてる人が何言ってんの?」
「私のパンツを見たっすか!?」
「いや、パンツで人の頭に乗っといて何言ってんの?」
「それはすまないっす!さあ、シルビアン王国へレッツゴーっす」
そうして、たった一日にてシルビアン王国第十宮廷魔法師団に戻ることになったのだ。
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