第八十五話 成長
リンネのしごきはナデシコ。
シャロンのしごきはミヤビ。
あとはそれぞれの限界値と同じ級の天使が担当としてそれぞれにつくことになった。
しごきの内容は至極単純。
常に戦闘訓練で、限界ギリギリまで戦い続けるのだ。
天使族は戦闘力も規格外だが、治癒魔法に関しては全員がリフレと同等以上で、限界まで戦闘訓練を行い倒れてしまっても、その疲労も無かったことにされ、一日20時間は永遠と戦闘訓練を行っている。
全員が限界値の相手との戦闘訓練の為、当然最初は全くかなわないのだが、1ヶ月・2ヶ月と毎日毎日しごかれ続けていると、徐々に力が増しているのが実感出来てきた。
「さすがはミヤビの息子だな。すでにミヤビの力は超えているぞ。だいたい5級といったところか。すでに魔神など足元にも及ばんほどだな。それに他の連中もずいぶんと成長が早いな。期待以上の奴らだな」
約3ヵ月が過ぎ、リンネの力は5級相当までになっていた。
他のメンバーはクロエが5級、リフレが8級、エルシーが7級、シャロンが9級でシオンとイミルが10級だ。
現時点で、リンネ・クロエ・リフレ・エルシーであれば単騎で魔神に勝つことが出来るほどだ。
「特にクロエと言う娘が、一番成長が早いな。今ならリンネとクロエがやり合えば、どっちが勝つかわからんぞ」
「クロエは天才だからな。俺は才能がないから、どうしても成長も遅いんだよ」
「そうは言っても、リンネも5級相当だから、十分に成長は早いからな。それより、地上にいる天使から報告があったんだが、どうやら一級魔族が地上に現れたらしいぞ。どうする、このまましごきを続けて限界まで強くなるか?それとも地上に戻るか?」
「限界まで強くなるにはどれぐらいかかるんだ?」
「成長速度から見て、クロエであと半年、他のはおおよそ一年といったところだな」
「その間に地上が滅んだりしないか?」
「お前たちが行かなければ、まず間違いなく滅ぶだろうな」
「じゃあ、俺たちは行くさ。地上を守る為に力をつけているのに、滅ぶのを見過ごしたら意味がないからな」
「まあ、今の力でも誰一人として一級魔族に負ける事はないから大丈夫だろう。じゃあ、全員を集めるから待ってておくれ」
約3ヵ月のしごきの間、リンネたちは仲間と会う事は殆どなかった。
一日の大半をしごきの時間に当てられていた為、3ヵ月の間にあったとしても片手で数えられるほどだ。
「久しぶりっすねリンネ君。私、強くなったっすよ」
「らしいな。俺とクロエが戦えばどっちが勝つかわからんらしいしな」
「私も頑張りましたよリンネさん」
「私だって強くなったぞ!」
「リフレにエルシーも、すでに母さんを超えたらしいな。それにイミル達も一級魔族と同等以上の力なんだってな」
「ギリギリ10級相当になれただけで、リンネ君たちに比べたら全然だよ」
「そんな事ないだろイミル。元々魔法の才能が無いなんて言われていたところから、人間では最強にまでなったんだからな」
「えへへ、そっか。ありがとうねリンネ君」
「さてと、全員揃ったな。これからお前たちを地上へ転移させる。一級魔族は現在ユグドラシル神国におるから、そこへ転移をする」
「世界樹が狙いっすね。お願いするっすナデシコさん」
「世界樹と言うか結界が狙いだな。今回は結界を破壊するのに特化した二級魔族も一緒にいるから、もうすぐ魔神も地上に現れるぞ」
「マジっすか!それはヤバイっすね。転移をお願いするっす!」
「じゃあ、私の前に集まってくれ」
全員がナデシコの前に集まる。
ナデシコの横にはミヤビもいる。
「リンネ、私は迷子になるし、あまり地上には行けないから、たまにはここに来てね」
「ああ、また必ず来るよ母さん。じゃあ、ちょっと世界を救ってくるから」
リンネがミヤビに手を振ると、次の瞬間には一瞬でリンネたちは消えてしまい、地上へと転移したのだ。
「さてと、ここ3ヵ月は忙しかったし、少しはのんびりするか。ミヤビ、息子と離れる事になったけど、そんなに悲しそうな顔をするんじゃない。またいつでも会えるさ」
「ん?疲れて眠かっただけだよお姉ちゃん。私は温泉にでも行くし、お姉ちゃんもどお?」
「ミヤビ…。そうだな、温泉にでも行って疲れを取るとするか」
目を擦りながら、ミヤビはナデシコと共に温泉へと向かった。
そして、リンネたちは転移した先で以前まったくかなわなかった一級魔族、ケルベイトスと再会する事となった。
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