第三十二話 二日目と三日目
ゴウはあっさりと敗退したものの、第十宮廷魔法師団は既にレベルが違います。
元々が力ある宮廷魔法師なのに、さらに数段レベルが上がっています。
初戦二日目十五回戦
クロエVSビター(魔法強會第一支部支部長)
注目カードの一つが始まった。
「よおクロエ、久しぶりだな」
「久しぶりっすね、ビター君。相変わらず変な身体強化系の魔法を研究してるっすか?」
「変とは失礼な奴だな。魔法師なんて結局は魔法に頼りっきりでモヤシが多いからな。極限まで上昇させた接近戦には弱い奴が多いから、俺様たちのやり方なら宮廷魔法師団にも負けてないさ」
「宮廷魔法師団の中にも接近戦を得意とする魔法師は多いっすよ。それだけじゃ足りないっすよ。他にも魔法も覚えないと宮廷魔法師団には及ばないっす。だからビター君も宮廷魔法師になれないっすよ」
「五月蝿いクロエ!お前なんてモヤシの代表みたいなやつが言うんじゃねえ!本戦で一度として勝てたことも無いくせに!今日も俺様に負けるんだからな!」
「そんな事言ってるから、ビター君もまだまだなんすよ。まあ、言葉でこれ以上言っても無駄っすよね。ほらかかってくると良いっすよ。私も接近戦でやってあげるっすから」
「チビが、本当に生意気な奴だ!接近戦でクロエが俺とやり合うだと?はん!後悔しやがれ!」
「闘神」
ビターは闇の特級魔法の闘神を使い、極限まで身体能力を強化していた。
「俺様と接近戦やるなんて、ぶっ潰してやるからな」
「ビター君は闇の特級魔法っすか。流石っすね。でもそれぐらいじゃ私はやられないっすよ。あと、手加減出来ないかもしれないっすが、その時はごめんっすよ」
「竜化、狂戦士」
クロエは竜化で腕と足をドラゴン化させ、さらにそこに狂戦士を重ねて、人間の限界を超えた身体強化を施した。
「ウガァァ!」
狂戦士の効果で理性が弱くなっているクロエが、次の瞬間にはビターの目の前にいた。
「はぁ!何だそのスピードは!」
ビターに接近したクロエは強化された肉体を使い、ビターに右ストレートを放っていた。
ビターもその右ストレートに反応はしたものの、その右ストレートを左腕でガードするも、その一撃にて左腕の骨が粉砕され使い物にならない状態になっていた。
「ぐっ!あのクロエがどうなってんだ!チビの非力ヤローだったろうが!」
「ウガァァ!チビとかウルサイっすよ!!」
クロエはその後もビターに何度も拳を突き出し、ビターも回避やガードをするも既に両腕が使い物にならない状態になっていた。
そして、最後にはクロエの右手の拳がビターの腹部に突き刺さり、ビターはそのまま意識を失っていった。
結果としてはクロエの圧勝で幕を閉じたのだ。
そして、初戦最終日三十回戦
エルシーVSシャム(獣人連合豹族族長)
初戦最終日戦にて、予選注目のカードが始まった。
「お前強いんだってな!私は楽しみだぞ!」
「僕の相手はお子様ですか。お子様が僕のスピードについてこれますか?」
「なんだ!お前失礼な奴だな!私はお子様なんかじゃ無いぞ!それにスピードなら私も自信があるぞ!」
「ほぉ、あなたもスピード自慢ですか。ではせいぜい少しでも楽しませて下さいね」
「お前、なんか嫌いだ!」
試合が始まるとシャムは音速で移動を始めた。
シャムの動きは早く、観客の目では追い切れないほどだ。
そんなシャムに対してエルシーは
「それが本気か?随分と遅いんだが、それ以上早く動けないのか?」
「何を言ってるんですか?強がりもそこまでいくと滑稽ですよ。まあいいです。あなたは何も出来ずに敗退するんですからね」
「本当にそれが最高速なんだな。正直ガッカリだぞ」
「戦姫、加速、雷速」
エルシーは炎進力以外の身体強化魔法を使い、そのスピードは光速に到達し音を置き去りにして移動をしていた。
エルシーはシャムの動きに合わせて、ゆっくりとシャムの背面に移動を繰り返し
「なあ、本当にそれ以上早く動けないのか?」
「私はまだまだ全力じゃないんだぞ?」
「実はまだ、もっと早く動けるんだろ?」
「なあ、もっと早く動いてくれよ?」
エルシーがゆっくりと移動を繰り返し、シャムの耳元でずっと語り掛けていた。
シャムは今まで、誰一人として自身のスピードに着いてこれず、このスピードで他者を圧倒していた。
しかし今、目の前にいる小さな娘は、自身のスピードを圧倒し、余裕で背面に移動され、さらには耳元で囁き続けている。
そんな、今までに経験した事のない状況に対面し、その余りにもの体験に恐怖を感じ足を止めてしまった。
そして、シャムはその後、戦闘をする意志を持つことが出来なくなり、顔を青くしながら降参をしたのだ。
エルシーとしては、ただゆっくりと移動しながら会話していただけで、かなり消化不良な試合となってしまったのだ。
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