第二十七話 エルシーVSシャロン
エルシーが絡むと、基本的に肉体バトルになります。
エルシー=脳筋で、少し頭の弱いお馬鹿ちゃんです。
数多いる魔法師を剣と拳でねじ伏せていきます。
「死んだらさすがに回復できないから、死なない程度に頼むぞ、二人とも」
「承知したのじゃ」
「わかったぞリンネ」
「戦姫」
エルシーが魔法を唱えると、その美しい赤い髪がさらに深い赤色に染まり、さらに光輝いている。
そして、全身からも赤いオーラのようなものが湧き出ていて、戦場に舞い降りた一人の姫のようだ。
「闇の特級魔法戦姫は身体強化とは訳が違うからな。行くぞシャロン!」
「来るのじゃ、エルシー!」
二人の間合いは一瞬でゼロ距離となり、二人の右ストレートがぶつかり合った。
「小回復」
その一発でシャロンの右腕が失われてしまった為、俺はすぐにシャロンの右腕を回復させた。
シャロンとしてもさすがに予想外の様子で、俺が右腕を復活させるとすぐに
「竜化」
シャロンは両腕をドラゴンの腕へと変質させ、エルシーの方を向き直す。
エルシーとしても、予想以上の力を発揮していたようで、目をぱちくりさせていた。
「おぬしに言われた通り竜化はせんかったが、あれは素の我など圧倒しとるぞ。少し本気を出させてもらうのじゃ」
次の瞬間にはシャロンがエルシーとの間合いを詰め、その右手を突き出した。
少し戸惑っていたエルシーだが、すぐにシャロンへと意識を戻し、その右手を左手で防ぎながら、今後はエルシーがシャロンに右手を突き出した。
シャロンもエルシーの拳に反応しそれを躱しながら背面に回ろうとするも、エルシーもすぐに反応しシャロンの動きに合わせて振り返る。
それを見ていた俺とクロエだが
「リンネ君、エルシーさんは魔法師っすよね?あの動きは完全に武人の動きっすよ?」
「エルシーの両親は剣士と武道家なんだよ。エルシーは魔法の才能があったから魔法師になったが、小さい頃から両親に剣技と武術を叩き込まれていたからな」
「それにしても、あそこまで動ける魔法師なんて見た事ないっすよ。多分あの動きに対応出来る魔法師なんて限られてるっすよ」
「俺もよく相手をさせられたが、エルシーはゴリラみたいな女だからな」
「誰がゴリラだリンネ!あとでぶん殴るぞ!」
「エルシー、シャロンに集中しないとやられるぞ?」
「うっさい!それぐらいわかってる!シャロンは本当に強い!でも私は絶対に負けないからな!」
「我とこれだけやれるとは、将来が楽しみじゃの。しかし今はまだまだじゃぞ。今日はこれぐらいにするのじゃ」
シャロンは今までは全力では無かったようで、一瞬でエルシーの後ろに回り込むと手刀でエルシーの首を殴打した。
エルシーはその一撃で意識を刈り取られ、そのまま気を失ってしまった。
「エルシーは大丈夫なんだろうなシャロン?」
「安心せい。気を失っとるだけじゃ。それにしてもエルシーは強いのう。まだまだ伸びるぞエルシーは」
「その為にシャロンの所に連れて来たんだ。エルシーの相手は頼んだぞ」
「ふむ、我もエルシーの成長は楽しみじゃ。任せるがいいのじゃ」
こうして、エルシーVSシャロンの一日目はシャロンに軍配が上がって終わったのだ。
その後エルシーを回復させると、非常に悔しそうにしていて、すぐにでも再戦をしたそうにしていたが、魔法を覚えたり魔力付与値の更なる向上も必要になる為、シャロンとの手合わせは一日一回と取り決めた。
「さてと、エルシーは野営は初めてだよな?」
「そうだな、私は野営なんてした事なんてないぞ」
「おぬしらは野営するのか?我の屋敷に泊まればいいのじゃ」
「ダンジョン内に屋敷があるのか?」
「白竜族がこのダンジョンの守護を任されておるのじゃが、長期間ダンジョンにいないといかんからの。屋敷ぐらいはあるのじゃ」
「そうだな、どうする団長?エルシー?」
「白竜族の屋敷は興味あるっす!行くっすよリンネ君」
「私も構わないぞ」
「じゃあ、お願いするよシャロン」
「わかったのじゃ。我についてくるがいい」
こうして俺たちはシャロンの住む屋敷に行く事になった。
屋敷に行くには少し距離があるみたいで、再度俺がエルシーを抱えて空を飛んで移動した。
俺たちは屋敷に付くとその見た目に目を引かれた。
「これはまた凄いな」
「全てが白いっすね」
「綺麗な屋敷だぞシャロン」
屋敷は土台から外壁、屋根にいたるまで真っ白だ。
「白竜族は白以外の住まい等落ち着かんからの。どうしても白一色になるのじゃ。部屋は沢山あるから、好きに使うがよい」
「ああ、ありがとうな」
「じゃあ、あの一番奥の部屋にするっすよリンネ君。他のより豪華な扉っす」
「いや、そんなに豪華な部屋じゃなくていいだろ?奥まで行くのも面倒だから、一番手前の部屋でいいだろ?」
「しょうがないっすねリンネ君は。じゃあそうするっす。さあ入るっすよ」
俺とクロエは一緒に一番手前の部屋に入っていった。
そして扉が閉まったと思ったら次の瞬間には扉が開き
「何やってんだリンネ!?何で普通に団長と同じ部屋に入ってるんだ!?」
「「…………」」
俺とクロエは、一瞬エルシーの言っている意味が理解出来なかったが、すぐに何を言っているのか理解すると、完全にやらかしたと思い知るのだ。
「ああ、これはだな。そうダンジョン調査の間、テントを壊した団長が俺のテントで一緒に寝てたんだ」
「そうっす!私の不注意でテントを燃やしちゃったんすよ。それで約一カ月も同じテントで寝てたっすよ」
「若い男女が一つのテントで寝泊まりしてただと?何を言ってるんだリンネ?それにこんなに部屋が沢山あるのに、ここでもわざわざ一緒に寝るのか?はぁ!?リンネと団長はそんな仲だったのか?」
「違う。ついこの一カ月の癖で一緒が当たり前になってただけだ。一緒に寝ていただけで、別に何かがあった訳じゃないぞ?」
「そうっすよエルシーさん。確かにリンネ君には抱きしめてもらって寝てましたけど、それは不安な私の為っす。決していかがわしい事なんてしてないっすよ」
「ほぉ~抱き合ってたと。その話、もっと詳しく聞かせてくれるか団長。リンネ!お前の口からも良い訳でも行ってみるか?」
「虫におびえてた団長が不安で寝れないっていうから、それで抱きしめて寝てただけだ。それ以上は何もない」
「本当に何もしていないんだな?リンネも団長も誓えるか??」
「ああ、誓って何もない」
「ハイっす。何もないっす」
「はぁ、まあいい。じゃあこれからは私も一緒に寝るからな」
「おいエルシー、何でそうなるんだ?」
「うっさいリンネ!黙って一緒に寝ればいいんだよ。わかったか!」
「…わっ、わかった」
こうして今日から、右側にクロエ、左側にエルシーと言う状況で寝る事になった。
ちなみに、最初に入った部屋は一人で寝るサイズのベッドしか無かった為、シャロンの厚意で一番奥の一番豪華な部屋で寝る事になった。
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