第十九話 調査再開
ファンタジーに亜人はつきものですよ。
個人的には好きな部類の亜人ですけど、上手く描けているかは不明です。
「ダンジョン調査再開っす」
「朝から元気だな団長は」
「五日間何も出来なかったっすからね。今日からはまたジャンジャン調査するっす!」
俺とクロエは41階層を会話をしながら進んでいた。
41階層からは草原が広がっており、出てくるモンスターは動物系だ。
見通しも良いので急にモンスターに襲われることも無いので、多少の警戒だけをして歩いて進んでいった。
「そう言えば、今までは30階層までしか到達者はいなかったんだよな?」
「そうっすね。まあ公式ではっすがね。非公式にはわからないっす」
「公式と非公式ってのは何が違うんだ?」
「公式ってのは私たちみたいな宮廷魔法師や宮廷騎士とかっすね。他にはギルド所属の冒険者とか魔法協会所属の魔法師とか、何かしらの組織に所属してる人間の記録っす。非公式は完全に個人の人間や亜人っすね」
「俺は田舎に住んでたからよく知らないんだが、亜人ってのは何がいるんだ?」
「有名なとこだとエルフっすね。後は竜人に鬼人っすね。この辺は目撃情報はそれなりにあるっす。目撃が少ないのだと人魚とかもいるっすよ」
「じゃあ、その辺の亜人がもっと下の階層に到達してる可能性もあるんだな」
「そうっすね。それがどうかしたっすか?」
「探索に出してる小鳥型の小型人形が一体、人型の何かにやられたっぽい」
「マジっすか?確か魔力10万付与した小型人形っすよね?」
「ああ、SSランクモンスター程度なら瞬殺も可能だから、おそらくSSSランク相当の力はあるんだろうな」
「そうなると、エルフの線は薄いっすね。魔法は確かに凄いっすけど、個人でSSSランク相当の力まで行った個体は少ないっす。竜人と鬼人は今までに個人でSSSランク相当も相当数いたので、そのどちらかだと思うっす」
「団長はピョン子に護衛を命令しといてくれ。それでおそらく問題は無いはずだ」
「了解っす。リンネ君は大丈夫っすか?」
「俺は身体強化で1000万付与を発動するから問題ない。ブラックドラゴン程度ならデコピンで木っ端みじんに出来るぐらいだ」
「それなら大丈夫そうっすね。それで、小型人形がやられたところは近いっすか?」
「だいたいここから五キロぐらいの地点だな。全力で向かえば一瞬で行ける距離だ」
「私は一瞬じゃ行けないっす。置いてかないで欲しいっす」
「わざわざこっちから向かったりはしないから大丈夫だ」
俺は身体強化(1000万)を発動させておいて、クロエの横に立って周りを警戒しながら進んでいった。
昨日までとは違い、急いで進む必要も無い為、謎の人物は警戒しつつもクロエはダンジョンを念入りに調査していった。
ダンジョン内では至る所にアイテムや鉱石があることがある。
この草原では地上にはない薬草も生えており、気になったものは刈り取ってアイテムボックスにしまっておく。
第十宮廷魔法師団の団員で鑑定に優れた人物がいるみたいで、戻ったら鑑定してもらうようだ。
半日ほど歩いて調査をし、昼も終えて再度出発しようとした所、遠くからこちらに向かっている人物がいる事が分かった。
小型人形の情報は共有できているので、凄い速度で向かっている人物を捕捉している。
「団長、例の謎の人型の何かがこっちに向かっている。どうする?逃げるか?応戦するか?」
「どうしてここが分かったかはわからないっすが、逃げてもまた追いかけてくる可能性もあるので、応戦するっすよ」
「了解だ団長」
とりあえず出していた荷物は全てアイテムボックスにしまい、戦闘が出来る準備も整えた。
クロエはピョン子が守ってくれるが、クロエも一応魔法具を取り出して戦う準備はしている。
次の瞬間、俺たちの前に一人の男が現れた。
「こんなところに人間とは珍しい。というかこんな下層によく人間ごときが来れたもんじゃな」
フォルムとしては人間に近い物もあるが、髪も瞳も真っ白で肌の色も極端に薄い。
そして特徴的なのが腕に纏わりついている鱗だ。
それはまさしくドラゴンのそれだ。
「貴方は竜人っすか?私は一級宮廷魔法師のクロエっす。私たちに何の用っすか?」
「いかにも我は白の竜人、名前はシャロンじゃ。人間ごときが頭が高い。我の前に跪くのじゃ」
「ずいぶんと偉そうな奴だな。なんでお前なんかに跪く必要がある?」
「ダンジョン内は強者が全て。故にお前らは我に跪いておけばいいのじゃ」
「お前ごときに跪く必要なんてないと思うがな」
「生意気な奴め。少し痛い目に合わんと聞かんタイプのようじゃな。まあ良い、後悔しても知らんぞ」
シャロンは一歩踏み出すと一瞬で俺の目の前まで移動して腹部を目掛けて拳をぶつけてきた。
それで終わりと思ったようで、今度はクロエの方を向いて
「お前も我に跪く必要が無いとでも言わんよな女?」
「どうっすかね?でも一つ言えるのはリンネ君の方がカッコいいっすよ」
「何を言ってるんだ女?」
「これが全力のパンチか?偉そうな割にずいぶんと軽いな」
シャロンはあり得ない方向からの声に驚き、先ほど一撃を食らわせた人間の方を向き直した。
本来であれば竜人の一撃を耐える事の出来る人間など殆ど存在しないので、何も無かったかの様に立っている人間をみて意味が分からなかった。
「なんだと?お前はどうして立ってるのじゃ?いくら手加減したとはいえ、人間に耐える事など出来んはずじゃぞ?」
「そう言われてもな、特に力を入れた訳でもないが、手加減しすぎじゃないか?全力で殴っても良いぞ?」
「人間ごときが調子にのりおって。殺さずに手加減をしてやったというのに頭が悪い奴め。次は全力で行くのじゃ。死ね人間!」
シャロンは右手に魔力を込めて全力の一撃で俺の腹を殴りつけた。
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