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第十三話 オーバーキル

結局こうなるんですね。

でもラブな展開は進みません。

超絶鈍感主人公です。

「お待たせっすリンネ君」


頭を冷やして、とりあえず落ち着いたクロエは湯あみから戻って椅子に座った。

無意識ではあるが、少しボーッとリンネを見つめてしまうが、リンネがそんな視線には全く気付いていない。


「おかえり団長。準備も出来てるから食べようか」


俺とクロエは焚火を真ん中に挟み、正面に向かい合って座っている。

そうして、いつも通りリンネが作った料理を二人で食べていた。

食事も終わり、次はリンネが湯あみに向かい、クロエが片付けを行った。

そしてクロエが片付けを終え、リンネも湯あみから戻ってきて夜も遅いので寝る事になった。


「おやすみ団長」


「おやすみっすリンネ君」


リンネがテントに入るのを見送ったクロエは自分もテントの中に入っていった。

しかし、いまだにさっきの事が頭から離れず、落ち着きを取り戻す事が出来ていないクロエは一つの失態をしてしまった。


夜も更けて二人とも寝静まり、外には微かな木々の揺らめく音などが静かになっていた。

そして寝静まってから少し時間が経った時、クロエは自身の右手に違和感を覚えた。

どうも右手がこそばゆくて目を覚まし、暗くて何も見えない為、「光源ライトニング」を唱えるとクロエの右手には一匹の虫がいた。

いつもは防虫・侵入防止の魔法具を設置して寝るのだが、今日はそこまで考えが至らず設置を忘れ、現在クロエの右手には虫がくっついていた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!火球ファイヤーボール!!!!!!!!!!!!!!!!」


クロエは右手の虫を振り払い、全力で火球ファイヤーボールを放ったのだ。

些細な虫に火球ファイヤーボールは当然オーバーキルの為、跡形も無く虫が吹き飛んだのだが、同時にテントにも大きな穴が開いてしまった。

そして残ったテントも火球ファイヤーボールの火が燃え移っている状況だ。

急な轟音があった為リンネも目を覚ましテントから飛び出してきて


「何やってんだ団長?」


「虫が…魔法具設置を忘れたっす…」


「まったく。水魔法で消火出来るか?」


「出来るっす。レイン


クロエが魔法を唱えると、小さな雲が発生して雨が降り、テントに付いた火の消火を行った。

込める魔力でサイズも変わるが、戦闘には向かず農作業など生活魔法の一つだ。


「消えたっすよリンネ君」


「ほら、明日も早いから寝るぞ」


そう言ってリンネはクロエの手を取って、リンネの寝ていたテントへと連れて行こうとした。

それを何をどう勘違いしたのかクロエは


「何をするっすリンネ君?いきなりっすか?やっぱりリンネ君も男の子っすか?」


クロエは無い胸を両手で覆うように隠し、身体をねじって半身になり、リンネの顔を見つめるのだ。

そんなクロエの行動を見て、リンネはふざけていると思い


「何ふざけてるんだ団長は。団長のテントはダメになったし、こっちで寝るしかないだろ?一応二人用のテントだから初日みたいに狭くはないぞ。それに、既に一回一緒に寝てるし、このぐらい平気なんだろ?」


「はえ?あっ!当たり前っす!このぐらいへっちゃらっすよ!ほら一緒に寝るっすよ!なんならまた私の下着を見るっすか?」


「前回は団長が勝手にはだけただけだろ?持ち上げてボタンが千切れたのはすまないと思ってるが」


「まーまー、遠慮するなっすよ。とりあえず早くテントに入って寝るっす」


今度はクロエがリンネの手を引っ張りテントへと入っていった。

テントに入ると確かに一人用に比べればずいぶんと広くなっている。

普通に寝ていれば二人が接触することは無いだろう。


「それにしても二人用のテントを買っておくなんて、実はリンネ君は私と寝たかったすか?」


「団長の事だから、もしもの為だ。実際役に立ってるだろ?」


「はい、非常に助かってるっす」


「だから、女性に土下座をさせる趣味はないから、やめてくれ」


「了解っす!じゃあ、お詫びに抱きしめて寝てあげるっすよ。ほらリンネ君横になるっす」


「いやいや、離れて寝れるようにわざわざ二人用テントを買ったんだが?抱きしめたら意味がないだろ?」


「そんなのは気にしないっす。ほらここに来るっす」


クロエは先に横になって腕を出し、そこに来るように床をバシバシたたいている。

つまりは腕枕をするようだが、それはさすがに近いような…

しかし、歳も倍近く違うし、子供と一緒に寝る感覚なのかな?

そんな風に考えながら、全然譲る気はなさそうなクロエを見ていると


「はぁ、じゃあ後ろ向きでもいいか?」


「もちろんっすよ!ほら来るっす」


「わかったよ団長」


そうして俺は背中をクロエの方に向け、腕枕をされる形で横になった。

魔力が一回でも尽きると、魔法で回復しても疲れが残っているようで、いつもクロエはすぐに寝てしまうのだが、今日はリンネの方が先に意識が無くなっていた。

リンネの寝息を聞きながらクロエは


(あぁ、リンネ君の匂いっす。これヤバイっす。これはダメっすね。私リンネ君の事が好きみたいっす。あぁ、何で団長なんて呼ばせるようにしたっすか?私はバカっすか?リンネ君にはまたクロエって呼んで欲しいっす。でも流石に団長としてそれはダメっす。あぁ、でもホントに良い匂いっす)


クロエはリンネの事を背中から抱きしめながら、そしてリンネの匂いを嗅ぎながらそのまま眠っていった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

もし楽しんで頂けたなら幸いです。

ブックマークや評価をしてもらえるとモチベーションがあがりますので、もし良ければおねがいします。

なるべく毎日更新はしていきますので、良ければ今後も読んで頂けると嬉しいです。

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