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仮面をつけた王宮魔道師団の長  作者: 叶奏
長期休暇@ナミスシーラ王国王都
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八十四 私服どうしよう

お久しぶりです。

ぼちぼち頑張ります。



 さて、何をしようか。


 起床直後のテニーチェ=ヘプタ氏は、ふとそんなことを思った。


 思えばこれまで生きてきた中で、一週間も好きなことやっていいよなんてことはなかった気がする。

 覚えていないだけであったのかもしれない。

 でも多分、なかった。割と忙し目な人生送ってきてたテニーチェさんである。



 しかして、考えなきゃいけないことはあるのだ。


 第七の団長に就任して、もうすぐで一年。


 暗黒の日だって近付いている。


 人生のターニングポイントとかいうやつになるんだろうな、ってことはテニーチェも理解していた。

 ここでの決断が、テニーチェの人生の岐路を大きく分ける。

 なんなら世界そのものの命運さえ変わっちゃうかもしれない。なんてことは、流石に言い過ぎだろうか。


 言い過ぎでは、ないのだろうか。


 正直テニーチェを取り囲む何もかものうちたったの一つでも崩れちゃったりでもしたら、……なんて、考え過ぎだ。



 世界が滅びるかも知れなかったとしても、これからのことはどちらにせよ考えねばならない。

 後悔しない選択肢を選びたくはあるけれど、いつだって後悔のない選択肢があるとは限らないから。

 ひとまず、起床したばっかりであんまり頭の働いていないテニーチェさんはお着替えをすることにした。


 今日は休暇の日。

 つまるところは団長服を着なくってもいいというわけである。


 ここで一つ問題発生。


「…………私、私服持ってませんね」


 かつてテニーチェの友人であり妹でもあり姉でもあるとかいう存在は、自身の体を――すなわち、テニーチェの体でもあるそれを着飾ることが好きだった。

 暇な時は彼女の得意分野でもある細々とした手作業によって、それはもう既製品だと言われても疑われないであろうレベルのアクセサリーを作っていた。

 彼女が外出をすることはほぼなかったから、服とかも自ら作るかテニーチェが任務帰りに買ってくるかの二択で揃えられていた。

 どれも、テニーチェの元々住んでいた家に置いてきたけれど。


 そう、置いてきたからこそ、私服などというものが今手元に無かったりする。


 おしゃれにはとんと疎かったりするテニーチェさんだが、仕事でもない日に仕事と関係のないことをするために仕事の服を着て出かけるのもなんとなく嫌だなぁと思ったりはするのだ。

 任務がない日は、彼女の選んだ部屋着を着て、時には彼女の望んだ服で己を着飾ったりして、過ごしていたから。



「なら、私服、買いに行きましょうか」


 そう小さく独りごちつつ、テニーチェは小さく微笑んだ。


 自分で選んだことはないけれど、彼女が好んでいたものはよくよく覚えている。

 これから買うだろう初めてテニーチェが選んだ服は、彼女の目に一体どのように映るのだろうかと考えながら、第七の王宮魔道師団の長さんはほかほかお布団から抜け出したのであった。



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