七十八 唐突すぎて急すぎる
お久しぶりです。
最近書かなさすぎてヤバいので、できる限り毎日投稿目指しつつ頑張ります。
(毎話の量少なくなってしまいますすみません……)
状況を整理しよう。
第七王宮魔道士団の前長の見目にそっくり(副団長談)らしい海空さん。
けれど海空さん本人は自分がそうであった記憶はないと言っている。
つまりは矛盾が生じちゃっているわけで。
「……わかりました」
なのでテニーチェ。
溜め息ひとつ洩らすと、結論を出した。
「この場は一旦引きましょう。海空様自身に記憶がない状況である以上、何が出来るわけでもありませんから」
『なんかごめんなさい』
「お気になさらないでください。ただ、今後も何かしらの検査にご協力いただけると幸いです」
『えと、わたしにできる範囲でしたら』
「ありがとうございます」
『いえ……』
ちょっと不安げな海空さん。
そりゃよくわからん集団がよくわからんとこから急にやってきて、その上今後もよくわからんことに巻き込まれろというのだから不安なのもまぁ当たり前っちゃ当たり前である。
とはいえ、どうも第七の前団長の生き写しとかいう見た目してるらしい海空さんを放っておくこともまた、出来ないのである。
そんなことしたら多分ナミスシーラ王国の国王陛下にどやされるでは済まないかもしれない。
彼女に出来る範囲でという条件付きではあったが、一応言質は取ったので良しとしよう。
と、いうことで。
「さて、皆さん。帰りますよ」
こうして現第七王宮魔道師団団長のテニーチェ氏による唐突すぎる帰還宣言によって、海空迷宮の攻略は終わりを告げたのであったとさ。
本当に急すぎる。
☆☆☆
外への直通通路とかいう所謂チートな道を通って海空迷宮を後にした一行。
海空さんは道の最後までお見送りに来てくれて、ばいばーいとそこまでおおっぴろげではないけど手を振ってくれた。
急すぎる来客にも優しく対応してくれた海空さんとは、ひとまずはお別れだ。
また任務か何かで会える日が来るかもしれないというか第七関連でもやもやが残ったまま帰るのだから来そうなものである。
仮称・藍の世界から虹の世界へ。
テニーチェは未知探査を終えたと国王陛下に謁見の申請を、その他第七団員たちはテニーチェからの指示で先に第七に与えられた王宮の一角――つまるところ第七の本拠地へ向かった。
ちなみに謁見の申請は王宮の事務処理を行っている事務室ですることができる。
今度はテニーチェだけが一人っきりのお別れタイムとなったのであった。悲しい気持ちは……まぁ、なかった。
事務室へ向かう途中。
王宮を彩る装飾は、いつ誰に見られても心地の良い気持ちにさせるよう、丁寧に整えられていた。
もはや一種の芸術ともいえるそれらだけでも、ナミスシーラ王国の権威を窺い知ることが出来る。
安定した国は、国を存続させる為だけではなく国を魅せる為に力を使うことが出来るようになる。
それぞれの特徴はあれども、どこか安心する雰囲気を醸し出す。
それは国に限らず、何かしらの団体、どこぞの家庭、個人。少しだけ意味合いは違ってくるが、世界も同じようなもので。
超安定しきっちゃってる虹の世界は、少なくとも世界の存続で不安を抱えることはない。
そしてそんな虹の世界。
もうまもなく、暗黒の日を迎えようとしていたりするのであった。
テニーチェさん、そろそろ団長に就任してから一年が過ぎようとしていたらしい。
なんて、テニーチェは唐突ながら急に思ったのでありましたとさ。




