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仮面をつけた王宮魔道師団の長  作者: 叶奏
合併任務@仮称:紫の世界
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五十五 報告!



 この世界についての情報はわりと手に入れることが出来た。じゃあ次に何をするか?

 無論、報告である。


 そういうわけで、テニーチェ一行は本部のテントに戻ってきていた。


 昨夜テニーチェから報告を受けていたことから、第二の団長ムスーミュス=デュオ・クスッタロスは予定を変更し本部のテントにいた。テニーチェから端的にして結構内容も伴っている報告を受けたムスーミュスは陽気な声でなるほどと頷く。

「ありがとよう、テニーチェさん。お前さんたちのおかげで今年の探索任務も無事終わりそうだなぁ」

 多分これはテニーチェたちのお陰っていうよりかは、たまたま運が良かっただけなような気もするが。

 報告ないようがばり纏まっていたのは、第七の姫様による要点が程良く連ねられた美しきメモのお陰である。あと帰り道にテニーチェがきちんと話す内容を考えていたお陰もあるかもしれない。


 予定よりも早く事が進んだっていうこともあり、そのことを国王陛下へ報告しに、テニーチェが代表として向かうことになった。ムスーミュスは一応この探索の総隊長も兼ねているので、現場である紫の世界を離れるわけにはいかなかったのである。


 主だった緊急事態というわけでもないが、実は割と魔力を消費する転移門をたった一人の為に発動させるのもなんだったので、テニーチェは国王のいる謁見室への直接転移を使うことにした。

 ちなみにテニーチェ以外の四人、ヒュドア・ウィルフィーアとイーグル・アトリボナ、アウウェン・トルス=ブロントロスにロコ・パートイーサたちは本部のテントで待機しているらしい。あんまり変な行動がしなければいいなぁ、なんて願うテニーチェでもあった。


「おっ待ちくっださいなぁ! アージュスロ様ぁっ!!」

「えっへへぇ、ロコロコもだんちょ〜といっしょに行きたいんだよぉ、えへっ、えへへへへへぇ〜」


 第七の中ではわりとマトモ寄りのヒュドアに全てを託すことにした。



 それはともかく、テニーチェは直接遷移で国王陛下の元へと向かう。急に現れたテニーチェに、されど国王はそれといった驚きの声を上げることもなく、いらっしゃいと迎え入れてくれた。多分これは国王の精神が図太いだけでなく、事前に万が一の緊急時の際は謁見室への直接転移を使うことを決めてあったからなのかもしれない。

「あらテニーチェちゃん、どうかしたの?」

「実は――」


 ムスーミュスに話した時と同じように、テニーチェは端的かつ明快に説明をした。理解したことを頷きで示したのは、無論、相も変わらず顔を闇色のヴェールで隠したナミスシーラの十三代目である。

「了解したわ。探索任務の方は世界会議で一週間は行うと決めてしまっているから、もうちょっとそっちに滞在して欲しいのだけれど、それでもいいかな?」

「畏まりました」

 跪いたテニーチェと玉座の前に立ったままの国王陛下。互いに互いの表情を伺うことは出来ないが、意思疎通は可能なのである。


「ありがとね、わざわざ報告に来てもらっちゃって」

「いえ、仕事ですので」

 そこで一度テニーチェは言葉を切った。少し悩みを含ませてから、再度口を開く。

「ところで、国王陛下。一つお尋ねしたいことがあるのですが」


 さらなる発言の許可が降りてから、テニーチェは疑問を吐き出した。


「ウィルフィーアさん、ヒュドア・ウィルフィーアについてお聞きしたいことがあります」


 言葉に、国王の闇のヴェールが僅かに揺れた。それがテニーチェの発言によるものなのか、はたまた単に体勢をちょっと変えたかっただけなのかは分からないが。



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