四十 護衛はローテーションシステムを用いているらしい
???は決まり次第変更します。
前章とは違い、今回はおそらく変更がかかるかと思われます。
惰眠喪失に気絶しそうだったテニーチェに、国王陛下はちょっと笑いそうになりながらも新たな任務に対する説明を続ける。
「実はまだ、依頼する、って決めたわけじゃないの。今度開催される世界会議で、例年の流れを鑑みる限り依頼することになりそうかな、ってだけで」
おや? とテニーチェの顔に僅かな明かりが灯る。仮面のせいでアージュスロ以外は分かりようもなかったが。
もしかすると、少しは休みが貰えるかもしれない。
「だから、第七の団員たちにはまだ言わないで欲しいんだ。テニーチェちゃんには団長ってことで伝えたけどね」
「なるほど。承知致しました。ちなみに、依頼はいつ頃になりますか?」
「世界会議が終わってからだから……二週間後くらいよ。例年通りなら王都郊外にある転移門を使った遠出のなると思うわ。あと、第二王宮魔道師団との合併にするつもり」
「第二との、ですか」
あのダンベル二つを一定間隔で上げ下げしちゃってた筋肉ムキムキの団長がいるところじゃないか。
けれど、とテニーチェは疑問に思う。
「第二王宮魔道師団は少数精鋭であることを強みにした魔道師団と記憶しております。それ故、人数が必要なのでしたら第一王宮魔道師団でも宜しいのではないかと」
「ちゃんと理由はあるわ」
テニーチェの問いに、別段気を悪くした様子を見せずに返す国王。
「今度の世界会議で護衛に連れて行くのが、第二王宮魔道師団と、大人数の第一王宮騎士団なの。でね、世界会議で各国に頼まれる任務っていうのに、ナミスシーラ王国では毎回護衛した団に依頼しているようにしているのよ。
で、去年は第一王宮魔道師団だったからそのままで合併にしなくても良かったんだけど、ローテーション的に今年は第二王宮魔道師団の方に護衛してもらうことになってて。
ま、つまりは第二王宮魔道師団の人数だと足りないけどこれまでの慣習を破るのも、逆に他の国から色々勘ぐられ兼ねないから、今年は合併ということで人数を補おう、ということよ。これまでも護衛した魔道師団と他の魔道師団での合併での依頼はあったからね」
そんな理由があったのか、なんて内心驚くテニーチェ。こちらに来てから日が浅いせいか、実はまだ王国内だけでなく世界情勢にもまだまだ疎い方なのだ。
これから第七の長としてやっていくなら、休みの合間を縫って知識を埋めていかなきゃなぁ、と若干げんなり気味に思う。とりあえず遠ざかっていた惰眠は手にできそうなので、直近の休みはダラダラ過ごすとして、次の休みあたりから情報収集は始めることにした。
決して面倒くさそうだから後回しにしようなんて、そんなことはないのだ。……ちょっとはあるかもしれない。
「王宮騎士団の方はまた別の任務を?」
とはいえ、なにか知れることがあるなら知っておきたいテニーチェは、ついでといわんばかりに疑念を積み重ねた。
「そうね。まぁ、任務自体は魔道師団も騎士団もそれぞれ毎年同じものだし、第二の団長のムスーミュスくんに聞いておいてくれると助かるわ」
そろそろアタシも次の用事があるから、とテニーチェに立ち上がるよう指示する国王陛下。ちょっと長居し過ぎたらしい。陛下もここまでテニーチェに長々と話す予定ではなかったのかもしれない。
では、と再び頭を下げるテニーチェと、今日と明日は休みにしていいと告げた国王陛下。
「休みが明けたら、しばらくは普段通りの生活で構わないわ。合併任務については、正式に決まったらまた後日連絡するから」
「畏まりました」
結局帰ってきての一言以来何も話さなかったアージュスロの首根っこを捕まえ、テニーチェは謁見室を後にする。
とりあえずは惰眠を貪ることにした。




