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猫生活

作者: 朱雀桃子

私は猫で、名前はモモコ。

名前は飼い主がつけてくれた。


初めて飼い主の家に来た日に、

【あなたは桃みたいに顔がまん丸だから、モモコだね!】

と言ったのを、今でも覚えている。


私の飼い主は、とても私によくしてくれる。

お腹が減ったら、ご飯をくれるし、寂しくなったら甘えさせてもくれる。

おまけに私専用の小屋まで用意してくれた。

だから私は、毎日快適に過ごすことができている。


最近私に友達ができた。

近所を散歩していたら、パン屋のおばあさんが私にパンをくれた。

私はそのとき、お腹が減っていたので、ぺロっと食べた。

おばあさんは嬉しそうに

【まあ、あんたはパンが好きなんだね。よしよし、名前はパン君だね。】

と言って、私の頭を撫でた。

【お腹が減ったら、またおいでね。パン君】

私がニャーと甘えるように鳴くと、おばあさんは

【よしよし、私たちは友達だからね。パン君にこれをあげよう】

そう言って、おばあさんがポケットから取り出したのは、鈴だった。

【この鈴を聞いたら、来たってわかるからね】

おばあさんはそう言って、私の首輪に鈴を付けてくれた。



【まあ、モモちゃん、その鈴どうしたの?】

仕事から帰ってきた、飼い主は不思議そうに私の鈴を見た。

私は眠かったので、聞こえないふりをして丸くなっていた。

【誰かがモモちゃんにくれたのかな。良かったね、モモちゃん】

と言って、私の首をいじり始めた。



私はお腹が減ったので、パンを食べに行こうと思った。

おばあさんいるだろうか?と思いつつ、鈴をリンリンと鳴らしながら、歩いていた。

パン屋の前に来ると、一人の少年がいた。

少年は寂しそうに、パン屋の前のベンチ座っていた。

私は気にもとめず、おばあさんが鈴に気づいて、外に出てきてくれるのを待った。


そうしていると、少年が私に近寄ってきた。

【やい野良猫、ここにいても、誰も出てこないぞ・・】

少年はしゃがみこみながら、私に言った。

私は少年の言っている意味がわからなかった。

【お前もパン屋のばあちゃんに会いにきたんだろ?】

私がニャーンと鈴を鳴らしながら答えると

【俺もだよ。】

と少年はポケットから、私が首輪に付けている鈴とまったく同じものを出して、

リンリンと鳴らした。

【ここのばあちゃん、俺みたいな貧乏な子供にさ、パンをくれるんだよ。それで、お腹が減ったら、いつでもおいでって言ってくれたんだ・・。鈴を鳴らせば、外に出てくるからって・・ばあちゃんが言ってんだよ・・。】

そういった少年の目からは涙がこぼれていた。

【でも、ばあちゃん・・・死んじゃったんだってさ・・。お前が来る前に、ばあちゃんの旦那さんに言われたよ。】

私がニャンと鳴くと、

【お前もばあちゃんから、パンを貰ってたんだな。仲間だな・・・。】

と少年は言ったあと、ワンワンと泣き始めた。

私は泣き止むまで、少年の傍にずっと立っていた。


家に帰ると、飼い主がとても怒っていた。

【遅い!モモちゃん!心配したじゃない!】

しかし私はこういうとき、どうすればいいのか知っていた。

私は飼い主の唇をぺろぺろとなめ始めた。

こうすれば、飼い主はもう怒らないのだ。

【もう、モモちゃんにはかなわないな。ほら、ご飯だよ】

そういって、私の大好きなペットフードがでてきた。


私は、今日も鈴をリンリンと鳴らしながら、生きている。

どこかで、鈴を付けている人や動物を見かけたら、それは私の仲間だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ことある出来事を箇条書きするような書き方ですが、猫と言う動物を描くところではプラスになっていると思います。 また、動物の心情を表現するにあたって単純な思考かいろで話を進めていて参考になり…
[良い点] 猫の視点で書かれた小説は『我輩は猫である』しか知らないので新鮮だった。 小説ではないが漫画やらではたまにあり、そういうのを読めば烏とかから見た人間はどう見えるのかとかを考える。 [一言] …
[一言] よくあるほのぼのですね。類似品が多く、存在価値ゼロです。
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