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永遠に

光範の南美と留美、結美とそれぞれの関係は……!?


最終話です

 南美が僕の前に立ち、ボロボロの僕を庇っている。

 どうしてここに……? いや、そもそもどうしてこの状況を知っているんだ?


「はぁ!? なにあんた……!? あんたは……あんたはこいつのなんなのよ!?」

「……私は」


 彼女は溜めながら言った。


「……いえ、彼は私の想い人よ。だから彼を傷つけるのはこの私が許さないわ」


 彼女の後ろ姿しか見えないから分からないが、クルクルパーマの女子達が後ずさりしているから、おそらく彼女はその子達を威圧しているのだろう。


「ちっ、この場は収めるけど、次は容赦しないわ」

「ちょっと、待ちなさい!」

「何よ!?」

「もし、留美さんをまたいじめらるようなことがあれば、貴女達と決めつけて制裁するから覚悟しなさい」

「……! ちっ!!」


 そう言ってクルクルパーマのメンバー達はこの場から去って行った。


「大丈夫ですか?」

「……あぁ、大丈夫。けどそこまでしなくて良かったのに」

「え?」

「僕のポケットの中に盗聴器仕込んでたから、彼女達の一部始終の音声が入っていたのに……」

「そうでしたか、それは申し訳ありません」

「いや、けど……助かっ……た……」

「光範さ……!? 光範さ…」


 そして目が覚めると、そこは真っ白い天井だった。


「ここは……?」

「ミー兄!? ミー兄!??」

「留美か……?」

「わーん、心配したよーー」


 彼女は僕に抱きつき、えんえんと泣く。


「こらこら、こんなところで抱きつくな! ……いつっ」

「あ、ごめん! ミー兄大丈夫!?」

「大丈夫、大丈夫たいしたことないさ」


 頭が少し痛みが走ったが、まぁいけそうだった。


「……ところでなーちゃんは?」

「南美さんは……」

「南美さんはこの保健室に連れてきた後、さっさと出て行ったわ」

「……そうか」


 うーん、彼女の行動がまだよく分からない。好きなのか、嫌なのか……。


「……ミー兄」

「ん? どうした?」

「今回も助けてくれてありがとう。ミー兄にはいつも助けられっぱなしね」

「なに言ってんだ? 普段は留美にお世話されっぱなしだ。それに…僕は……」

「……?」

「ずっと……お前の兄貴なんだから…」

「! …………そうね」

「……」

「……じゃあ僕は少し彼女のところに行ってみるよ」

「うん、分かったわ…」

「私も付いていくわっ」

「結美!」

「…少し話したいことがあるから」

「分かった……」

「瀬戸先生、今回もお世話になりました」

「良いのよ別に。生徒のケガと迷惑を引き受けるのが私の役目よ」

「……先生。……ありがとうございます。それでは」

「後のことは任せといてね…」


 そして留美を保健室に置いて、僕は結美と二人で校内の下駄箱に向かう。


「うーん、靴はあるなー……」

「……」

「そういえはなーちゃんに何か教えたか?」

「いいや? 私は何も伝えてないわ……」

「そうか……」

「……」


 そして僕はもう一度校内を見て回ろうとすると、結美は動かない。


「どうした?」

「ミー君……私……」

「……」

「私ね……!」

「いや、みなまで言うな」

「……!」

「確かに僕はお前のこと大切な存在だと思っている。けどそれは……」

「分かった……。みなまで言わないで」

「……結美?」

「私達は……ずっと幼馴染だもんね」

「……ああ、そうだ」

「……じゃあ、私はここにいるから南美さん探してきて」

「あぁ、分かった。探しに行ってくる」

「……」


 そう言って僕は学校の中を走り回る。

 どこだ、どこにいるんだ……、


「きゃっ!」

「あ、ごめん……。あっ」

「あ、光範さん……」

「……なんだ。佳純か」

「…………どうして分かったの?」

「見れば分かるよ」

「そう……」

「……」

「……」

「ところでなーちゃんは?」

「さあね。自分で探してみたら?」

「……」


 僕はさらに校内のあちこちを見て回ったがまったくいない。

 もう帰ったのかな?

 僕は校舎の風景を眺めながら、何を思う訳でもなくただ漠然と立っていた。と、その時背後からガサッと音が鳴る。


「ん? なんだ……?」


 見ても誰もいない。え? なんだろ…………はっ、も、もしかして!?

 僕は自分の近くの茂みの中や、木の裏、建物の壁際をくまなく探した。そしたら、


「はあはぁ、見つけた、なーちゃん」

「……」


◇◇◇


「まさかずっと後ろに隠れてたなんて……」

「ずっとではありません。気になった時ぐらいです」


 彼女は少しムスッとしながら言う。

 ずっと僕の後ろをつけてたんだ。見つかるはずないよな。


「それで私に何か用ですか?」

「んー、そうだな~……」


 僕は南美の方に振り向りむいて、


「君に告白をしに来た」

「……」

「正直に言うと僕はまだ君の本当の気持ちが分からない。僕は君の想い人とはいえ、許嫁解消したのも君だからね」

「……」

「でも許嫁じゃなくなってからずーと君のこと考えてた。許嫁じゃなくなった以上、君との盤石な繋がりがなくなったからね」

「……えぇ」

「それで気づいたのは、僕は今まで許嫁という太く脆い繋がりに甘えてたってことを」

「……」

「だから許嫁を止めてから素直に君をずっと僕とどう繋ぎとめるかばかり考えていたさ」

「……」

「だからね、なーちゃん。いや南美……」

「……」

「僕と結婚を前提に付き合って下さいませんか?」

「……」


 彼女は上を向きながらため息をはく。


「もう、このニブチンが……」

「……南美?」

「これからも末永く宜しくお願いしますね、光範()()

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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