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南美と留美による部屋の中での闘い

許婚と義妹の争いが勃発です


4話です

「光範様、お早く~」

「あ、待ってよ、なーちゃん」


 僕達は上村のおじさん(南美の父)の実家からほど近い川へと向かう。この小さな川は昔から彼に連れられて一緒に行ったものだ。

 その家自体は少し田舎の方で草木が生い茂り、川の水も綺麗な印象だ。


「どうですか、ここの川の綺麗さは?」

「うん、いつ見ても綺麗だね」

「では一緒に水遊びしましょー」

「うん、そうだね!」


 そして彼女と一緒に川の水をかけあう。


「やったな~、それ~っ」

「わー、冷たいです」

「それそれ~」

「きゃ~~」

「あ、待てっ。…わっ!」


 後ろからどんと誰かに突かれ、川に倒れて体中が浸かる。あれは一体……、


「光範様、光範様ー」


 ……


「光範様~、起きて下さいー」

「……え?」


 どこからか良い匂いがして、声の方を向くとベッドの隣に南美がこちらを見ながらにこにこしてした。


「…なーちゃん、え? なーちゃん?」

「はい、貴方の許婚の南美ちゃんですよ~」

「どうして僕の部屋に……!? てかそもそも部屋にどうやって!?」

「友春様に外のドアを開けて貰いましたの」


 親父のやつ~~~!


「さあ、もう朝なので起きて下さい。そろそろご飯……」

「ミー兄、朝だぞ。起き……!? ちょ、なんでミー兄の部屋にあの女狐がいるのよ!?」

「……」

「それは許婚だから当然よ?」

「いやいや、それは妹の仕事だからっ」

「妹と言っても義妹じゃない?」

「そんなの実だろうが義理だろうが関係ないわっ」

「けど許婚は結婚を誓う相手なんだから、妹より光範様の近くに寄り添うものでしょ?」

「まだ家族じゃない癖にそんな義理はないはずよ!?」


 二人は少しも口が減らずに喧々囂々と言い合う。

 あー、朝から勘弁してくれ……。


「あら、もうこんな時間。光範様早くご飯を食べに行って下さいな」

「え? なーちゃんは?」

「彼女のご飯の分はないけど……」

(わたくし)は先に自分の部屋でご飯を食べてますので大丈夫ですよ」

「え? そうなの?」

「岸田家の家庭には迷惑はかけないよう、私もそれぐらいは弁えております」


 確かに彼女はもう制服に着替えており、荷物も既に準備していた。


「そうか。じゃあ行ってくるよ」

「いってらっしゃいませ」

「……」


 ダイニングでご飯を食べるのだが、留美は機嫌悪そうにむしゃむしゃと食べている。


「どうしたの留美? 朝からご機嫌斜めね」

「……だって、ミー兄の許婚()()()があそこの部屋にずっといるんだもん。私ですら一人でいたことあんまりないのに……」

「許婚なんだから良いんじゃない?」

「だってそれだと私とミー兄の一緒にいる時間が減っちゃうわ」

「それで何か問題あるの?」

「え……う……」


 流石はお義母さんだ。留美は義妹とはいえ妹は妹、その妹が義理とはいえ兄と付き合うとなると周りが小うるさくなるのは必至。彼女も流石にそこは弁えているのだろう。言葉に詰まる。

 そして静かにご飯を食べ終えた後、部屋に戻るとなーちゃんは部屋の片付けをしていた。


「あ、お帰りなさい。暇なんで掃除しておりました」

「あ、ありがとう」


 僕の部屋はいつもゴミが散乱気味で、ついつい掃除も怠ってしまう。しかし南美が来てからは掃除をしてくれて、部屋が綺麗に維持出来ている。

 このままだと許婚として廃る思いだ。南美に何かしないと。


「いつも掃除してくれる…って訳じゃないけど、何かお返ししたいんだ。だから何が良いかな?」

「いえ、別に見返りを求めてしている訳ではないので」

「いや、それでもっ」

「……うーん、そうですねー」


 彼女は悩んでいると、急にもじもじする。


「では……それならデー……」

「ミー兄、早く行かないと遅刻する……。まだ着替えてないの!? 早くしてよっ」

「お、おう。なーちゃんなんて?」

「いえ、別にっ」


 少しムッとした表情でぷいっと顔を逸らす。そして僕は急いで着替えた後、二人と玄関を出ると、結美が待っていた。


「もう、ミー君遅……ちょ、なんで女狐までこっちにいるのよ!? あんたの部屋は隣でしょ!?」


 結美は怒りながら南美に問う。


「まったく、二人揃って女狐なんて失礼しちゃうわ」

「だったらなんで貴女が岸田家の部屋にいるのよ!?」

「まぁ、この部屋には私の味方がいるから」

「……それは……ずるぃわ…」


 結美はぼそっと言いながら、文句としかしどこか悲しみのある表情を浮かべていた。


「さてもう行こう。時間がない」

「貴方が言いますか」

「ミー兄が一番遅かった癖に」

「あ、ちょっと待ちなさい!」


 こうして僕は彼女達3人と一緒に学校へ登校することになったのだ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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