留美の思惑
留美は仕掛けてくるが、何か隠してる?
もう気づいたら37話です
僕は代金を支払ったい喫茶店を出て、なーちゃんの言葉を反芻しながら、アパートに帰る。
──許嫁というのがもしかしたら光範君にとって負担になっているのではないだろうか、という話です……
──一度貴方を自由にさせようと……
なーちゃん……。
「あの言葉は一体どこまで本気……なのか……?」
そしてもやもやと考えながら自分ちのアパートのドアの前に立つ。隣のドアを見るが、それが返事する訳もなく、僕はため息をつきながらドアを開ける。
「ただいまー」
「あ、ミー兄、おかえりなさい」
「おー、留美もう帰ってたのか」
「なに言ってるの、もう19:00前よ。遅いのはミー兄の方よ」
もうそんな時間か。考えながら歩いてたから、幾分遅かったのか…。
「……ねぇ、ミー兄…」
「ん? なんだ?」
「服着替えてから私の部屋に来て。少し話があるの」
「?」
そう言った彼女は部屋に行き、僕は自分の部屋に入って部屋着に着替えて、留美のところに向かう。
ノックをして彼女の部屋に入る。
「おーい、留美入るぞー」
「んー。ここに座って?」
「え? ……お、おう」
彼女の部屋に入った僕だが、なにかいつもと違うよそおいに少し戸惑う。ライトのせいなのかいつもより薄暗く赤い。趣味でも変わったのか? それに眼鏡もかけてる。勉強の時以外はしないのに珍しい。
「あのさー、ミー兄」
「な、なんだ?」
「南美さんとケンカしてるんでしよ?」
「……やっぱり気づいてたか」
「まぁ、二人があんな空気してたらねえ」
「……」
まぁ、訳は分からないにしても、なんか良くない感じなのは気づくわな。
「本当にダメなんだからミー兄って、女の取り扱いがさ~」
「う……」
「子供ころからそうだよね。ミー兄がモテたの見たことない。女子と絡んでいるのって、精々結美さんといる時ぐらいだよね」
「……」
まぁそうだよなー。今まで見ず知らずの女子から告白とかなかったしー、知らない女子から声かかる時って大概優二についての話だったしな~~。でも……、
「けど2学期辺りから、あの結美さんのミー兄を見る目が怪しいのよねえ。なんか女の目で見ているというか……」
僕はドキッとしながら、夏休みの時の結美ん家の出来事を思い出す。あれは確かにエロかったなー。や、やばっ、思い出すだけでちん……が……っっ。
「なに~? 結美さんともなんかしあった訳~?」
留美はこの薄暗い中で目を細める。表情が少し読み取れないが機嫌が悪く見える。
「い、いや……別に…?」
僕はバレないように、彼女からふいっと目を逸らす。
「……ふーん、そっ」
ほっ、、、……ビクッッ!? んえっ!?
留美は足の裏でなんと僕の膝辺りをすりすりし始めた。
「留美……おまっ、何して…!」
「なにって……ミー兄の太もも触ってるのよ…?」
「!?」
彼女の足の裏で僕の膝から太ももの内側にかけてスススとさすってくるから、僕は想像を超えるほどゾクゾクとする。その表情を見ているのか、彼女はやたらニヤニヤとしている。
「あら……、ミー兄は内ももがお気に召して?」
「馬鹿いえ……、そんな訳ないだろ……?」
「ふーん、なら……」
彼女はしゅっと僕の両太ももに手を添えて、その間に顔を潜り込み、ジーパン越しの股間のところにチュッとキスをした。
「!?」
「ミー兄のこんなところにも唇を触っているのは私が一番乗りねっ」
「馬鹿…! 何して…」
「あらあら、その割には体は正直よ?♡」
「!!」
彼女は僕の股間の先っぽを人差し指で優しく擦ってくるから、刺激されてどんどん下半身に血液が流れる。僕は彼女を払いのけるのは容易いが、触ると余計変な気分になりそうで触るに触れない。彼女はニヤニヤしながら、俄然僕の股間の前にいる。
(ダメだ……、このままではいやらしい流れに~……)
留美は僕の股間から顎まで指をなぞるように上へ触っていき、ニヤニヤしながら僕の顔に自分の顔を近づけ、
「ねぇ、もうそろそろこの辺で私と手を打たない?」
僕はぼ~っとしながら彼女の目をただ眺めた……ら、
……うん?
「お前……目が赤く充血して、なんか疲れてるようだが大丈夫か?」
「!」
彼女はぱっと僕の目を見るのを止め、急によそを向く。
「きょ、今日のところはここまでよ! 部屋から出て行って」
「え……でも……」
「良いからっ!」
そう言われるままに僕は留美の部屋を出て行く。ムラムラする一方で僕は彼女のあの充血した目が気になる。
(留美のあんな悩んでいる目を見るの久しぶりだな)
勉強では滅多に躓かない彼女だ。他のことと言えば人間関係か?
(まさか……またいじめ……? いやいや、高校生にもなってまさかな…)
そう思い直した僕は飯を食べる前に、自分の部屋に戻って一発ヌくことにした。
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