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結美の部屋

少しHです


23話です

「お医者さんごっこ……?」

「うん、そう♪」


 僕は映画の音だけを耳にしながら結美を眺める。ただひたすら困惑した。

 いやいや、もうこの歳になって、子供がするようなお医者さんごっこはちょっと……。


「他の遊びはないのか? 対戦ゲームとかその……人生ゲームとかっ?」

「えー、折角駅前まで行って、ナースの衣装を買ってきたのに……」


 えぇ!? そこまでしたのか!? えらく本格的だなっ! そしてやたら落ち込んでるし……。


「…分かったよ。ちょっとだけだぞ?」

「……! うん!」


 そしてになった結美は室内のクローゼットのところまで行く。


「あ……、着替えるから、…ちょっとむこうに向いてて?」

「え? あぁ」


 そして僕は窓の方を向くと、スルッ、スルッと布擦れの音が聞こえ、ついどきどきする。


「ミー君、着替えたわ」

「おしっ。……!?」


 確かに彼女はナースの白い服を着ていたが、やたらスカート丈が短く、白のニーソを穿いていた。ナースとの服というよりか、ナースのコスプレっぽかった。まぁ、ナースの帽子被っているけど、それ以外はなんか違うんじゃないかな!?

 それにこいつバスケ部入っているから、運動部らしい良い肉好きの太ももで、少しきつめのニーソなのか、若干太ももに食い込んでいる。

 正直言って、エロッ!! エロすぎっ!


「どう……かな?」


 彼女は恥ずかしがりつつも、ちゃっかりポージングをする。

 いや、そりゃあ悪くはないよ? 悪くないけど……。


「……可愛くて良いんじゃないか?」

「そう……」


 僕はそれ以外なんて言えばいいか分からなかった。そして彼女に言われて、彼女のふわふわしたベッドへ横になる。

 さすがに女子のベッドで横になるから緊張する。それに良い香りがするし……。


「じゃあミー君は手と脚と腰が骨折した設定ね」

「僕は一体なにやらかしたんだ!?」


 そして僕はその設定に従い、出来るだけ手と脚と腰を動かさないように気をつける。


「それと私達は互いに知り合い同士だから。……はい、ミー君、おはよー」

「あ、おはよう」

「よく眠れた?」

「うん、まあね」

「まずは脈測るわ」

「はい」


 そして手でそっと押さえながら、脈を測ったり、聴診器を当てる。


「はい、大丈夫で~す。あとこのままの体勢じゃあいけないから、体勢を横に変えますね~」

「あっはい、お願いします」

「えーと、体位交換は確か……」


 彼女は僕の手を持ったら、次に僕を上半身を担ぐように抱く。そしたら結美の豊満で柔らかな弾力のある巨乳がむにゅ~と僕の大胸筋に当たる。

 あああああああああああああああああああああああああああ!!!! おっぱいがーーーーーーーー!!!!


「よいしょ、よいしょ……ん、んっ」


 おい、変に喘ぐな!

 とはいえさすがは運動部。筋力あるから男一人を少しもたもたしながらも横にした。


「ふー、出来た~」

「……」

「じゃあ次はお体拭きますね~」

「あ、はい」


 そしてタオルを用意し、上着を上に持ち上げ、僕の体を拭く。しかもいつもは雑な性格をしている癖に、左手で僕の体を触りながら、右手に持つタオルでやたら優しく丁寧に拭いてくれるもんだから、いつもとのギャップなのかどきどきする。


「んしょ、んしょ」

「……」


 とはいえまだ汗が残っていたのか、拭いてくれてなんかさっぱりした気がする。


「んー、じゃあ背中も……、あらっ、反対側だと向こうに壁があるから行けないじゃない」

「いいよ、そこまでやらなくても(僕の感情の問題で)」

「そういう訳にはいかないわ。あ、そうだ」

「? …………!?」


 彼女はあろうことか横になっている僕を跨ぐ。


「お、おい何して……!?」

「こうしたら拭けるじゃない。あったま良い~」


 そして彼女は僕の上を跨いだ状態で僕の背中を拭く。


「んしょ、んしょ……ふふ、なんかいけない気分になるわね」


 いや、もう既にoutだよ!!


「一応脚の方も拭くから、ズボン折るわね」

「え……あぁ。……え?」


 僕の目線には彼女の白のソックスを穿いた脚が見える。

 まさかと思いちろっと目線を変えると、彼女は僕の足の方に向いて懸命に拭いて気づいてないのか、思いっ切り白のパンツが見える。

 そして目線を上から移すと、綺麗にぷりっとした尻とその下を通る少しふっくらとしたラインが……。

(あーーーー!!!! 考えるな、考えるなっっ! 無念無想! 無念無想!!)


「ふー、これで脚の方も大体拭けたわ。体勢戻すわね」


 床に降りた彼女は僕をバタンと雑に仰向けに戻す。

(やけに雑だな~……)

 そしてクローゼットの方に行き、がさがさと何かを取っていた。


「あったあった、これこれっ」

「?」


 何かと思ったら採尿器だった。

 なんで、結美の部屋に採尿器が??


「うふふ、じゃあおトイレちまちょうね~~」

「え?」

「じゃあズボン降ろすから待っててね~」

「え? おい、やめろ!?」

「あっ、ちょっと、手を動かしたら駄目じゃない!!」

「馬鹿っ。そこまで承諾出来るか!」


 結美は僕のズボンを降ろそうとするが、僕は必死に押さえる。そしたら彼女は不満げになりながら、僕の上に乗る。


「おっ、おい何して!?」

「やだっ! せっかくここまでしたんだから、ミー君のおしっこ取るのー!」


 お、おいっ! こんなところで腰を揺らすなっ。我慢が、我慢が……あっ、駄目…………。


「きゃっ!? えっ? なんか固いのが…………」

「わーーーーーー!!!!」

「きゃっ!!」


 僕は恥ずかしさのあまり、起き上がって僕の上に乗っている結美を隣に突き飛ばす。そして彼女のPCに戻り、あせってなにか他の動画を探す。


「き、気分転換に他の映画みよ! 他の映画!! コメディとかっ! あ、これなんか良いな!」

「…………え?」

「これポチッと」

「ちょっと、勝手に……」

『あん、あんっっ!』

「……」


 部屋中に動画のパンパンパンという音が鳴り響く。なんかコメディっぽい題名を押したはずなのに、今やっている画面の右下には『幼馴染家庭教師の熱血保健授業』って書いてあった。


「えーっと、これは~……」

「……」


 彼女はうつむいて返事がしない。僕はめちゃめちゃ気持ちがムラムラしながら、どうフォローするかを考えていると、彼女にばっと近づき、いきなり僕をどんと床に押し倒された。


「わっ!」

「じょ……女子だって見るの! 悪い!?」

「いや、悪くないです……」

「……」


 そして気まずい無言の空気が続く中、彼女はゆっくりと僕の上に座る。


「おい、またそこに座ったら当たって……」

「いいのっ」


 彼女は強めな口調で言いながら、歯を少しきゅっと食いしばる。


「…結美?」

「私だって、私だって……ミー君のこと……あの子達に負けないぐらい…………。だから私のこともちゃんと意識してよ……」


 彼女は切ない声で僕に伝える。


「結美……」


 僕は彼女を幼馴染以上には見ていなかった。いや、見ないようにしていた。彼女の好意を知っていても、やっぱり今の生活を変えないように。

 僕はこれから一体どうすれば……。

 そう悩んでいると、下の階からなんかがやがやする音が聞こえて、次に誰かがダンダンダンと階段を駆け上がる音がする。そしたら、


「ねーーちゃーん! 光兄が来てるって!?」


 どこか嬉しそうに言う友喜が結美のドアをダーンと開ける。


「あ」

「あ……」

「あっ!?」


 僕達は硬直した。


「え? あー、ごめんごめん。お取り込み中だったのか……」


 そして彼はドアを閉めて大きい声で言う。


「母さーーん!! ねーちゃんがHな服着て、光兄に騎乗位してるーー!!」

「……」

「……」


 僕は無性に恥ずかしくなる。


「あの、……そろそろ帰るわ」

「あ、う……うん……」


 そして僕は1階にいる二人に軽く挨拶してそそくさと家を出た。


「もう帰るの?」


 と訊く二人の声がなぜか残念そうだったが、僕はそれよりもめちゃくちゃ恥ずかしくて、この家から直ぐにでも出たかった。そして僕は帰りしな、振り返って結美の部屋の辺りをしばらく眺める。

(……結美)

 そしたら結美の大きな声が聞こえてきた。


「友喜コ○すーーーーーー!!!!!!!!!!」


 僕は首を縮めて、早歩きで帰った。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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