留美と遊園地 前編
兄妹遊園地に行く
17話です
日曜日になり、僕と留美二人で遊園地に向かう。義母からは車で送ろうかという提案もあったが、留美の要望で電車に乗って行くことになった。
「なんでわざわざ電車なんだ? あの遊園地はそこそこ距離があるから、お義母さんに送ってもらったら良かったのに……」
「むー、これで良いのー。ほんとミー兄って鈍感!」
不満そうに言う留美を横目にしながら、僕は。電車は不規則にガタンガタンと揺れながら、遊園地近くの駅まで向かう。
とはいえ彼女をちらちらと見てしまう。可愛らしくひらひらして肩辺りまで開いた首元に、淡い赤色の花びらのデザインがかった白生地の上着を着て、紺色っぽい色に黒のメッシュの折り目の入ったミニスカートを穿いていた。それになんかうっすらと化粧している気がする。
な、なんというかものすごい気合の入った服に感じた。これじゃあまるで本当にデートみたいじゃないか! 血はつながっていないとは言え仮にも兄妹なんだから、こういうのはどうなのか……。
しかし彼女の顔を見ると、どこか幸せそうな表情を浮かべる。
…………。
「留美」
「? 何?」
「その…………可愛い……よ?」
「なにその疑問形? ほんとミー兄って女の子を怒らすのは得意なのねっ」
「……」
「でも、ありがとミー兄♡」
「~~」
可愛いじゃないかっ! 我ながら妹にキュンとしてしまった。
そして到着先の駅に着き、そこから歩いて約5分かかる遊園地に向かった。
「きゃー、久しぶりの遊園地! 懐かしいー! ミー兄、早くこっちこっちー!」
楽しそうにはしゃぐ留美に手招きされて、僕は彼女のところまで走り、一緒に遊園地内を散策する。
「まずどこ行きたい?」
「そうねー、まずはやっぱりー」
◇◇◇
「きゃーー!!」
「ぎゃーー!!」
いきなりジェットコースターを乗った。しかも立ち回り回転式のだ。めっさ怖い! いくら遠心力があるからって、怖いものは怖い。
「あー、楽しかったー」
「はあはぁ……」
「ミー兄、次行こ次ー!」
そしてメリーゴーランド、コーヒーカップに乗る。メリーゴーランドはまだしも、コーヒーカップは留美が思いっ切り回転させるから、ひえ~ってなった。
僕はベンチに一人座って、力が抜けている。
「はい、ミー兄。ソフトクリーム」
留美はソフトクリーム屋に行って、二人分のを買ってきたようだった。僕はバニラ、彼女はチョコ。
「おー、サンキュー……」
「ごめんねー、楽しくてついとばしちゃった」
「とばしすぎだよ……」
「だってここに来るの久しぶりなんだもん」
「……そうだな~」
実は両親が再婚してから僕達を連れてここによく来たものだった。あの頃はまだ留美が小6で、お互いに家族の認識はなかったものだから、僕に心をほとんど開いていなかった時だ。
懐かしいな~。
「はいミー兄、あーん」
「ん?」
留美はソフトクリームの一部のチョコをスプーンに乗せて差し出してくる。
「え? なに?」
「なにって? あーんよ」
「やだよー。こんなところでするの恥ずかしー」
「えー、早くしないと溶けちゃうよ。早くっ」
「……」
おのれ留美っ。謀ったなっー!!
僕はしぶしぶパクリと食べた。しかし食べ物に罪はない。
うん、美味い。
「はい、ミー兄もあーんして?♡」
「やだよ。恋人じゃないんだから」
「……」
僕は無言でむしゃむしゃとソフトクリームを食べる。
「あっ、あそこにアンジェ○ーナ・ジョリーがっ!」
「え!? どこどこ!? ……いないじゃん。……あ」
ソフトクリームの高さが少し変わっていた。そして彼女を見ると美味しそうに食べていた。
……こいつ僕の分食べやがったな。
そして食べ終わった僕達は歩くのだが、留美は僕の腕を両手を使って組んでくるもんなから、柔らかい胸が当たり気持ちがい……じゃなかった、歩きにくい。
「おい、離せって。恥ずかしい」
「良いじゃん別に! 仲良し兄妹なんだから~♪」
そう言いながら、顔も猫のように僕の腕にすり寄せてくる。
……ったく。
そして色々な遊具に乗って僕達は楽しんだ。
「あー、疲れたー」
「うーん、そうねー」
「大体回ったんじゃないか? どうする?」
「うーん、そうねー。あ、ちょっとこっち来て?」
彼女は少し人影の少ないところに僕を連れて行く。
「どうかし……」
「しっ。静かに」
「?」
そこは少し入り込んだ人が来なさそうな小さな空きスペースだった。
「こんなところに連れてどうした……!?」
留美は突然僕にぎゅっと抱きついて顔もうずめてくる。むにゅとした弾力のある胸が僕のみぞおちの高さ辺りにぎゅーっと当たってくる。
「お、おい。留美どうした!?」
「ミー兄……匂い……」
「え?」
「あのね、こっちに南美さんが来たじゃない」
「う、うん……」
「確かに許嫁として凄いわ。よくミー兄のこと思ってる」
「あぁ、そうだな」
「それによく尽くしてくれている」
「それはそうだが、どうし……?」
「けど私は彼女に…負けたくないの!」
「!」
「こっちも攻めなていかないと、私も負けてしまう!」
「留美……」
「だから私は言う。私はミー兄のことが好き」
「……そりゃあ僕だって留美のこと好きさ、きょ……」
「ううん。私は兄妹としてじゃなくて、一人の男子として好……」
「駄目ーーーー!!」
とその時、ガサッと草むらから二人の女子が叫びながら出てきてこけた。
「え? なーちゃんに……結美!?」
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