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幼馴染と美人委員長はすごいなあ

「はい。今日の仕事はここまでにしましょう。おつかれさまでしたー」


 委員長がそう言って、今日の文化祭実行委員会の仕事はおしまいとなる。


「おつかれー直幸」


「おお、おつかれ」


 僕は、幼馴染に話しかけられ、そう返した。幼馴染は会計、僕は副委員長。二人とも文化祭実行委員会の幹部だ。


 僕と幼馴染は昔はご近所さんだったから、長い付き合いだ。今は僕が田舎に引っ越してしまっているので、お互いの家は遠い。


 みんなで荷物をまとめて、誰かの私物が荷物置き場に残ってたりしないか確認。


 それが終わると、みんなで部屋を出て、委員長が最後に鍵を閉める。


 そしてわらわらと下校する。


 いかにも普通の高校生の下校という感じである。


 しかし、僕はここからはあまり普通ではない。


 今から長旅が始まるのだ。


 父親の仕事などがいろいろあり、僕は田舎に引っ越した。


 つまり、東京郊外のこの高校からは、かなり遠い。二時間弱かかる。


 そして、もう一人、僕と同じ駅まで、長旅を共にする人がいる。


 それが、本木津だ。


 みんなでわらわら校門から出てすぐのところを歩いている時は、おおよそグループは学年ごとになる。


 僕の場合、委員長と幼馴染と話すことが多い。


「ねえ、この前の小テスト、どうだった?」


 幼馴染が、そんな話を始めた。


「えー、この前はノー勉だったから、92点。満点は逃したわねー」


「私も同じ点数! でも割とノー勉でもいけたよね」


「うん」


「あ、直幸はどうだった?」


「僕? 僕は90点だったけど」


「ふーん、大体一緒だね」


「そうだな。僕もノー勉だったわ今回は。なんだかんだで、文化祭実行委員も忙しいし、時間ないじゃん?」


「わかるー」


「だよねー。ほかにもやりたいことあるしー」


 幼馴染と委員長は同意してくれた。


 まあしかし、僕はそもそも今回の小テストはノー勉なんかじゃない。


 はっきり言って普通にみっちり勉強した。


 しかし、僕の頭では、それでも90点しか取れなかったのだ。


 でも、僕は、ノー勉で90点だったふりをする。


 それは、文化祭実行委員会の幹部として、ふさわしいキャラづくりをするためだ。


 基本的に、すごくいいわけでもないがまあまあの偏差値のこの学校のような環境では、ガリ勉は尊敬されない。


 みんなから人望を獲得する必要のある文化祭実行委員会の幹部である以上、「行事には全力、勉強はする暇はないけど成績は良好。なぜなら頭がいいから」このキャラがふさわしいと思うし、僕はそうでありたいと思っている。


 実際、このキャラを貫いているからか、校内での僕のうわさはいいうわさばかりだ。


 可愛くて成績優秀、運動神経だっていい幼馴染と、美人でリーダシップがあり、才色兼備な委員長。このすごすぎて有名な二人と、僕はセットに見られているのだ。


 こうして三人で話しながら帰っているところだって、多くの人に目撃されているわけだ。


 なんか、気分いいよね。やっぱり。僕は改めてそう思った。


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