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「武田先輩と話したいことリスト」を書く後輩

 ふー。


 塾の静寂な自習室は快適だ。


 フードをかぶりマスクをしている僕は、手元の参考書に目を落とした。難解な三角関数の問題だ。しかし、これくらいの問題はミスなく解きたいものである。と言っても、僕はバリバリの受験生ではない。


 見た目は数えきれないくらい浪人を重ねているニートに見えるかもしれないが、僕は武田直幸という、高校二年生だ。


 ……で、僕の話はもう終わる。というわけで、気の散る要素もないことだし、勉強を進めよう……としたいのだが。


 残念ながら、気の散る要素がある。


 目の前で、鉛筆を握ってルーズリーフを見つめて、時々何かを書いている女子高生。


 ちなみに、鉛筆にはゴム製のグリップが取り付けてある。小学生が使いそうなやつだ。しかもピンクのラメ入りである。


 その女子高生の名は、本木津ほんこつ美彩みさ。僕の所属する文化祭実行委員会の、一つ後輩だ。小学生っぽいヘアゴムで二つ結びをしているが、それが似合っていてなんか可愛い。


 まあ、知り合いが自習室の向かいの席にいるのは、まあそんなに問題はないだろう。


 僕が、フードとマスクをしていて、向こうに気づかれていないことも、そんなに問題はないだろう。


 しかし、問題は、本木津が、勉強をしていないことだ。


 では何をしているのかというと、それは、ルーズリーフの一番上にお花マークでデコレーションまでして書いてある題名を読めばわかる。


「武田先輩と話したいことリスト」


 それが、本木津が書いているものの正体。本木津は、一人でにこにこ笑いながらこれを一生懸命作っている。普通に怪しい人だなあ。周りからしたら僕の方が怪しく見えるだろうけどね。


 ちなみに、武田先輩というのは、どう考えても僕のことである。


 困った。申し訳ない。


 というのも、普通だったら、本木津は僕のこと好きなのかなって思ってもいいところなんだけど。


 この場合、そう断定はできないのだ。

 

 なぜなら、僕と本木津は、長い間、話してなくてはいけない。


 その理由は、きっと、塾の自習室から、文化祭実行委員会室に場面を移せば、じきにわかるだろう。


 

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