潜入調査だ(キリッ)
おおおくっておおがおおいですね(*´ω`*)
姫様内部チームが色々とやらかしているうちに、アニィとJKの外部埴輪チームは王城の伏魔殿こと後宮に潜入していた。後宮とか大奥とか言うと、なにやら妖しげな色っぽい雰囲気が漂っているものと勝手に期待していたのだが。現在生息している住人は牛母子のみなので、悲しいかな大奥のテーマソングが脳内に流れるような処ではなかった。・・・物悲しく、うら寂しい場所って感じか?
「何だかイメージしていた所とだいぶ違うね」
「王のプライベート空間だからな、金が手元不如意な今、不必要な見栄を張る気も起らないんだろう」
姫様の閉じ込められている塔よりは余程様子は良いが、それでも色褪せた壁紙とか欠けた所を直しましたよ感に溢れる調度品はこの国の財政の苦しさを如実に感じさせていた。
整えられた美しい室内と美味い食事、どちらに限られた予算を使いますか?と、問われれば確実に食事を選択するであろう母子である事は容易に察せられたし。
まぁ、その点についてはアニィと気が合いそうな母子なのだが。
本日は舞踏会、後宮に仕える人員も表向きの仕事に駆り出されて要る為なのか人影はない、探し物をするには好チャンスと言えよう。既に騎士達には宝石の行方を探索して貰ってはいるが結果は捗々しくなかった、唯一探せなかったのがこの後宮なのである。
「騎士の一人が後宮のメイドしている彼女さんに探りを入れて貰ったらしいんだけど、そのメイドさんでも入れない部屋が一つ有るんだって。王妃の衣裳部屋らしいんだけれど、どうやらセキュリティーに魔術を使っているらしいんだ。凄く怪しいでしょう~」
「最奥の間・開かずの扉とか言う類の奴か」
チュウ達は器用に家具の隙間や下を通って、目的地まで最短コースで連れて行ってくれる。凄いねナビシステム搭載 鼠なのか?
重厚そうな王妃の部屋の扉も直ぐ脇の壁に穴が有っては台無しだ、人間は入れないだろうが小さな生き物にはちょうど良いゲートだ。家具を置いて隠しているつもりだろうが、そんな偽装では我々の目は誤魔化せない。
へへん~んっだぁ~っ
易々と侵入を成功させて気分はアゲアゲだ、舞踏会とやらのつまらなそうなイベントに参加しないで本当に良かったとJKは心の中で思っていた。コッチの方が断然面白そう!
脳内では有名な名前を連呼する泥棒さんのテーマソングが鳴り響いている、猫姉妹の目にしない辺りは僅かな謙虚さと言った所か。
『異世界と言ったら冒険・魔法・逆ハーでしょ』
JKのワクワクは止まらない、傍観者為とは無責任に楽しむ為に居るのだ。
果たして、苦労してたどり着いた衣裳部屋の扉は開けっ放しであった、用心の欠片もねぇ、どうせ自身には大したお宝など無いのであろう。
義理の娘(姫様)のお大事までバックレるくらいだからな、しかも親の形見を狙うなんざ糞根性が悪いおばさんだ。
「さてルンパン3世君、どうやって例の扉に侵入するつもりかね」
「任せろ六右衛門、策は有る」
・・何でさ、そこはブジコちゃんでしょうよ。
JKがブツブツ言っているが、此処は身の程を知った方が良いだろう。
王妃の部屋の衣裳部屋?4帖半ほどの狭いウオーキングクローゼットの奥の壁に小さな扉が有った、これが隠し扉・・最奥の間と言う奴だろうか。
その扉は、大人が屈んで頭をぶつけない様に注意しながら潜らなければならないほどの高さしかない、茶室の躙り口くらいの感じか?
扉の周囲は確かに何か黒っぽい、禍々しい靄の様な物に覆われていて嫌な感じがしている。これが魔力セキュリティーとか言うモノなのだろうか。
普通は魔力なんて見えないはずのモノなのだそうだが、今は魂が姫様の魔力に包まれてブラッシュアップされている状態だから特別に見えているのかも知れないと謎の魔術師赤紫蘇が言っていた。
身体と言う器が無い今、魔力センサーは感度が良好の様だピッピッー!
「何だか嫌な感じだね、これセットしたのって、もしかしなくてもモノクロなんじゃない?雰囲気が似ていると言うか、本人を感じさせる黒々しさと禍々しさが溢れていると言うか」
「空間収納の魔術ってのは高度な技術らしいからな、そうそうできる奴はいないらしい、あいつあれでも偉い奴らしいからな」
「ゲームではおなじみのアイテムなのにねぇ、案外使えんね異世界の魔術師」
「このままじゃ触れんらしい、センサーに感知されてモノクロにばれると言ってた」
「誰がさ」
「赤紫蘇」
<報・連・相>を順守するアニィはあの日の帰還後、キャリさんや魂の皆に赤紫蘇の事は報告していた。
だがすべて報告していた訳では無かった、何故か・・それは赤紫蘇がそうしろと言っていたからだ。美味い物をくれた赤紫蘇(好感度高い)とほぼ初対面なキャリさんだったら、協力したいと思えるのは赤紫蘇だった。
それに赤紫蘇は必死に土下座する様にアニィに頼み込んでいたのだ、お茶目な土偶姿のアニィにである。
『君たちは今後の方針をまだ決めていないんだろう、これから姫様の身体をどうするつもりなんだ』
『魂の欠片を集め復活させる・・か・・』
『出来るかどうか前例はないが、禁忌になっている古代魔術にそんな記述が有ったような気もする』
『そのことに関しては私が調べよう、魂の復活にも手を貸すつもりだ。だから君たちは姫様のお身体がこれ以上傷つかない様に守ってやってくれ!頼む!』
「フ~ン、そんな話もしていたんだ。でも何でそんな大事な情報今まで話さないで隠していたの」
「今後の方針で意見が分かれるかも知れないからな、俺達はこの城を出て自由に生きたいと思うだろうが他の奴らは解らんし、今は不必要な仲間割れを起こさないためにも黙っていた方が良いと・・・赤紫蘇が言っていたんだ」
なんだ、自分の判断では無いんかぃ・・でも、気持ちは解るとJKは思った。
「キャリさんか・・あの人ならこのまま帝国に乗り込んで、皇帝を垂らし込んで正妃にまで上り詰めて、天下捕っちゃるとか言いかねないよね、何か無駄に上昇志向が強そうだし」
『姫様はお優しい方で人を傷つける事を何より嫌っていた、今回の事故だって何か深い理由・・脅されて追い詰められての事かも知れない』
「俺らは体を間借りしている店子に過ぎない、大家の意志を尊重するべきだろう?」
『姫様は静かで穏やかな暮らしを望んでいた、いつか母上の生まれた国に行ってみたいと言っていたんだ』
『脱出の手はずは整える、どうか姫様を守ってくれ』
『頼む!お願いだ』
大の男がこんな妙チクリンで得体のしれない土偶に、頭を擦りつける様に土下座してまで頼んだのだ。こいつ本気で姫様に惚れているのかもしれないな、アニィはそう感じて赤紫蘇に協力する事を約束したのだ、惚れた女を救いたいとか泣かせるじゃ~ないのぉ。
アニィは下町育ちの江戸っ子だからか、義理人情と浪花節には弱かった。
「美味い物もくれたしな一飯の恩って奴?お姫には一宿の恩か。キャリさんがどんな野望を抱こうと勝手だが、それは己の身体でするべき事だ。赤の他人の姫様の美貌と地位を利用するのは、人として仁義に劣るってもんだろう?」
「そうだよね・・」
『そう言うアニィは筋肉だるまの様なムキムキマッチョの身体に入り込んでいたとしたら、間違いなく<俺強ェ~~ヒャッハー>をやりたそうな感じだが・・』とJKは心の中で思っていた。
アニィは肩に乗っているスライムを地面に下すと、おもむろに手を突っ込んだ、アニィの手より小さなスライムなのだが不思議な事に彼の手を飲み込んでいる。
「中にアイテムが入っているそうだ、え~と、相手の魔力を打ち消すとか何とかの」
アニィがスライムから手を引き抜くと濡れたタオルの様な、ズルズルとした得体の知れない物が引きずり出されて来た。
色は御馴染み赤紫蘇色である、何だか酸っぱい気分になって来るから不思議だ。
「ねぇ、もしかしてこれって」
「赤紫蘇の魔力じゃね?ギリギリまで出すなと言われていた、敵に感知されるからって」
アニィはタオル?状の物の端を掴むと扉にまとわりついている黒い靄、モノクロの魔力?に向かってブン投げた。
ブチャァッ
魔力らしくない音が狭い部屋に鳴り響いた・・何だか道路にへばり付いたガムみたいなんだが?
魔力が濡れたタオル・・・(/ω\)




