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姫様見参  作者: さん☆のりこ
19/30

舞踏会~3

舞踏会は女性の武闘会、やってやるぜぃ!

 眩い光が溢れる広いホールで舞踏会は行われている、このオンボロっちい城の中にこんな豪奢な場所が有った事実に驚きが隠せない。


『どんだけー』


姫様の居住スペースと雲泥の差では無いか、あからさまな冷遇を見せ付けられてキャリさんは内心穏やかではいられなかった、何たって今は私達が姫様なのだから。


分厚い緞帳の様なカーテンで仕切られて、一段高くなっている舞台の様な場所に仰々しい玉座が据えられている、座っているのは神経質そうな初老な男(王)のみなだが。威厳もへったくれも感じさせない、凡庸な感じだが・・少しイッちゃってそうな眼差しが妙に怖い。

その左側に王妃と妹姫の席が、右側に姫様の席が設けられていた。


『此処の世界では王と王妃は同席しないのが正式な配置なのかしら、王妃と呼ばれてはいるが単なる便宜上の敬称で実は正妻では無いとか?・・それともこの国のみが変わっているのかしら?』


漏れ聞けば皇帝にも未だ正妃はいないと言うのだから、此方の文化なのかもしれない。男尊女卑な世界感?前途多難な感じがヒシヒシとする。







 さて、王妃と妹姫は姫様と顔を合わせた直後から御機嫌の斜度が急勾配だ、何か色々と気に入らないらしい。

「下げ渡した衣装を何故着ないのだ、わらわの好意を無にするのか!」

とかいきなり怒鳴られ少しばかり驚きもしたのだが・・わらわ・・とか言う人初めて見たよ本当に居たんだ。


「この衣装は王妃様から下げ渡されたドレスをお直ししたものです、何しろ元のサイズが大きすぎて、私が2人入ってもまだ余る様な有様でしたので、とてもじゃないけどそのまま着られる代物では御座いませんでしたもの」


サラッとデスリ返したら、今まで姫様に口答えなどされた事が無かったのか非常に驚いた後、真っ赤になって睨みつけて来た。いくら睨まれ様とも視線からビームなど発射される訳でも無いので痛くも痒くも無い。優雅に扇で顔を隠して鼻で笑う、あくまでも控えめに・・あからさまでは無く・・しかし、馬鹿にしたのはハッキリと相手に伝わる様に笑う・・なかなかの職人芸を要する技だ。


『会社に勤めて~十年、変なスキルばかりが身に付いてしまったわ。売られた喧嘩は言い値で買ってあげないとね、大人しく黙っていたら舐められるだけ』


此方の悪意は確かに王妃達に伝わった様で、そのソーセージのような指で扇がバキリと折られた時には周囲の侍従たちに緊張が走った。

女同士の火花の飛ばし合いに気が付いたのか王がチラッと此方を見たが、サイズが云々のシーンで納得したのか興味も無さそうに視線を外した。




 そんなこんなで始まった舞踏会だが、目立っている・・姫様物凄く目立っている。


色とりどりの衣装・・と言っても自然由来の染料なのか発色は柔らかく鮮やかな色彩などない。金糸銀糸で刺繍でもされていれば別なんだろうが、誠に残念な事にそのような財力はこの国の貴族達は持ち合わせていないらしい・・の中で、生成りだが白い姫様の衣装は大層目立ったいた。デザインも細いウエストを強調した女性らしいシルエットが珍しいのか、男性陣は頬を染めて貴婦人方は百年の仇の様に睨みつけて来る。


      ・・・・・面白い・・・・・


今まで己の存在自体がその他大勢のモブだったので<ヒロインを羨望の眼差しで眺める>のが定位置だったのに・・死の間際に異世界トリップ(魂のみ)して、嫉妬の視線を浴びる立場に変身するなどとは、いやぁ・・お釈迦様でもご存じあるまいよ・・感想を伸べて良いのなら・・すいません、めっちゃ気持ち良いです。

ほほほほ・・・愚民どもひれ伏して、この至高の存在である姫様を崇め奉るが良い!などと高笑いしたくなってくる。オ~ッホホホ~~~。


        『コホン・・』


お婆さんから咳払いと言う教育的指導が入った・・

調子に乗ってましたね・・ごめんなさい・・





 舞踏会は王家の者達の思惑など関係もなく、至極恙なく進行され


「この度、かの帝国から強く望まれ、麗しき姉姫様が皇帝陛下に嫁ぐ運びとなりました」


と宰相?から発表され、盛大な歓声と拍手を浴びる羽目となった。

あんたら・・事前に知っていたくせに、何この無意味な猿芝居は?

姫様の座る椅子の前に王国の貴族達がお祝いを述べる為に列をなした、まぁ本日の主役何だから当然と言えば当然な事だよね?

このイベントは姫様の婚約発表の為の舞踏会なんだから。

しかし妹姫にとってはそれさえも気に入らないらしい、いつでもどこでも自分がセンターでは無ければ承知できない性格の様だ、アイドルグループに所属していて総選挙でもされて選外にでも漏れた日にゃ憤死しそうな勢いだ。




「姫様ほどの美しい令嬢なら、皇帝陛下からの御寵愛も嘸かし賜る事が出来ましょう。いやぁ~目出度い事ですな、王国の誉れです」


ピクピク・・

目の下の筋肉がピクピクと痙攣しているよ妹姫ちゃん、凄い形相だね。


「いえいえ、帝国ともなると各国から美しい花が集められていると伺っておりますわ、私などとても・・不安で眠れない夜を送っております」

「いやいや、ご心配には及びませんぞ、姫様は何処に行っても皆が振り返る程の美しさをお持ちだ」

「その様なお戯れを・・恥ずかしい限りですわ・・・」


気弱そうに俯きつつ、扇越しに流し目で妹姫をチラ見してやる・・ふふん。

それだけで沸点の低い妹姫は我慢できずに暴発した


「こんな根暗で痩せこけた貧相な女の、何処が美しいって言うのよ!」


興奮しすぎたのか、鼻から息がフガーフガーと湧き出ている、肩を怒らせて闘牛場の牛みたいだ。オ~レッ!



貴族達の御喋りで五月蠅かったホールの中もシーンと静まり返った、空気を読んだのか楽師によって演奏されていたワルツ?も不安げに尻つぼみに消えて行く。


「私の方が、私の方がズーーーッと美しいし、皇帝の花嫁に相応しいのに!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


時と言うのは本当に止まるらしい・・初めて知った。


言質は取ったぜ!


「えぇえぇ、まったくその通りだと思いますわ。

蔑ろにされて学ぶ機会も与えられなかった私とは違い、妹姫は良い教師も沢山付けられて研鑽を積んでこられたとか。色々と学識も豊富で貴族の常識もご存知ですもの、祖国が恥を掻かない為にも、この度の縁談は妹姫にお譲りした方が良いのかもしれません」


ションボリと、あくまでもションボリと悲し気に俯く・・可哀想なお嬢さんの一丁上り~。

同情はね買えるなら買っておく方が良いのですよ、無理して突っ張ってがむしゃらに頑張っても評価なんかされないものだからね?そんな理屈では解っていても自分自身では出来なかった事が、姫様の姿だと躊躇なくできるのは・・・やはり姿かたちの問題なのだろうか、美しさってパワーだよねほんと。

・・向こうの世界での私って、ほんと健気な奴だったと思う。




ザワザワザワと会場のホールは貴族達の囁きに埋め尽くされて行く、あら?この提案、案外支持されているのかしら?貴族の様子を見渡していたら、バイソンの様なガタイの良いご老人がズイィと進み出て来た。


「お爺様!」


妹姫が嬉しそうに叫んだ。

ほぅ?流石偶蹄類似の一族だ、牛姫の爺さんは野牛かい。


バイソン爺は姫様の前に恭しく跪くと、小声で圧を掛けて来た。


「くだらない話をしていないで、その口を閉じていろ・・敵国の売女の娘が」

「あらご挨拶です事、貴方はもっと野心家なのかと思っていましたわ、孫娘を帝国の宮廷に食い込ませる千載一遇の機会では有りませんか?王の後添いに牛の様な娘をねじ込んだぐらいですもの、孫を帝国に行かせるのが一族の繁栄の基なのでは」


バイソン爺は悔し気に低く唸り声を上げた・・ぐぅ・・・・。

爺とて本当は孫娘を行かせたい所だったのだろう、しかしかの皇帝は極度の面食いと知られている。下手な物を送り込んで不興を買ったら堪らない。


「貴様・・立場を弁えろ。

この地に残されている貴様の母の国の民達を、敵国の間者として摘発し牢獄に閉じ込めて拷問してやっても良いんだぞ」


濁った眼を殊更に歪めて、バイソン爺が脅しをかけて来る。

・・・くっ・・・ふふ・・・あははは・・・・


「貴様、何が可笑しい!」

「あんた馬鹿?あんただってあの召喚の間にいたんでしょうに、今の姫様の中身は誰なのかな?敵国も母国も知ったこっちゃないわ。私の故郷は遥か遠い異世界に有るの、この世界の事なんかどうでも良い」

「なっ」

「どうする?また姫様を殺める?別に構わないわよ」


跪いて見上げているバイソン爺だけに見える様に扇で隠してほくそ笑んでやる。


「この体から解き放たれたら、魂魄此処に留まりて悪霊となって其方たち一族を呪い殺してくれようぞ」




むかし芸人で今は俳優さんをやっている人が<笑いながら怒る人>ってネタをやっていたけれど<怯えながら脅す人>をやってみました。

遠目から見たら、腹黒爺に脅されている可憐な姫様に見えただろう。

爺はオカルト的に脅された経験など無かったのだろう(普通ないよね)、蝦蟇の様に脂汗をタラ~リタラ~リと流して姫様を見つめている。何だ?金縛りにでもあったのか、暗示が効きそうな爺だな、平安貴族かあんたは。


騎士の一人が姫様を心配したのか近寄って来た、あの騎士は確か結構身分が高いはずの人だ。


『チー、交代』


「姫様、如何いたしましたか」


傍らに蹲ったままのバイソン・・現蝦蟇爺に冷たい目をくれて、押しのける様に姫様の前に額ずいた。


「あ・・ああのぉ、わたし・・・」


いきなり交代されて困ったチーが涙目で騎士を見つめる。

うん、良いね!可憐だ!

うるうるうるうるうる・・・・・・・。



「気分直しに一曲踊って頂けませんか?沢山練習なさったでしょう、皆に見せてやりましょう」

「・・・・はい・・・・」


会話を続けるより踊っていた方がマシと思ったのか、チーはエスコートされてホールの中央に進んで行く、ホールドされた姿の美しさにギャラリーから「ほうぅ」とため息が漏れた。

姫様の周囲だけにピンスポットが当たっているように光り輝いている、プリンセス属性と言うやつか?



・・・妹姫、そんなに歯ぎしりすると歯が折れる・・やめぃ。


綺麗な花には棘がある・・綺麗じゃ無い花だって棘だらけ(´-ω-`)


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