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姫様見参  作者: さん☆のりこ
18/30

舞踏会~2

女性の裏側は怖いのよ?

妹姫様のシーンからスタートです(◎_◎;)

 「姫様、素晴らしく美しゅう御座いますよ」


 侍女達の渾身のお世辞を、何を当たり前の事をと耳なんぞ貸さずに妹姫は鼻で笑った。妹姫はかなりポジティブな性格をしているらしく、彼女の中には客観性と言う概念は無いらしい。

己の容姿の残念な現実や日頃の態度の悪さは<どっこいしょ>と棚に持ち上げて、ひたすらに周囲のライバルを引き下ろす事で己の優位さをアピールするタイプの様だ。たとえそれでライバルが下げられたとしても、自分の評判や実力が上がる訳でも無いのだが、その辺の所は別に気にしないらしい。

彼女の中には不思議な絶対評価が有る様だ。


侍女達にしたって苛烈な報復を恐れて、誰も本音を言えないだけなのに、そんな事は露ほども考えつかないないらしい。・・ある意味自分に激甘な、羨ましい性格をしていると言えよう。生きるのが楽しそうで何よりだ。


『ふん、これだけ豪華で完璧な衣装を身に着けていながら、美しくなかったら・・衣装を作った針子達は鞭で叩いて引きずり回してくれるわ』


衣装負けと言う概念も無いらしい、負けてはいない・・確実に殺しに入っている。


朝から好きでも無い風呂に漬けられて、野菜の如くにゴシゴシと洗われ(風呂ギライだから酷かったのだ、色々と・・そんな事実など姫の耳には入れられない、粛々と作業を進めるだけだ)霜降り肉を作るが如くに揉みくちゃにされ、腹が減って来ていた姫は少々オカンムリになのだ。


「お腹が空いた、何か持って来て!」


侍女達は顔を見合わせ、恐るおそる提案する


「御仕度の進行が遅れて(あんたが協力しないからだよ)いますから、軽食でご勘弁いただけないでしょうか。姫様の髪を結い上げている間に食べて頂く形となりますが」

「えぇ~あんた達って、ほんとドン臭いわね。

いいわ仕方ないわね、肉を挟んだパンで我慢してあげる取り敢えず3っね」


その量は軽食ちゃうわ!侍女達の心の叫びがハモった。





「流石に牛だな、噂にたがわずよく食べるもんだ」


 アニィとJKの2人組、今はシャコウと鷹匠・・約してジョウの姿だが、天井裏の隙間から妹姫の様子を伺っていた。アニィは美味い物に目が無い方だが、一応アマチュアと言えども格闘家の端くれなので体重管理には五月蠅いし、肉体系労働者だからたらふく食べても太る事も無い。

ダイエット?食わなきゃ良いじゃん・・とか平気で言う輩でも有る。


 細く金色のリボンを髪に編み込んで、複雑な形状を構築しその上に真珠で出来た高級そうな飾りが次々に装着されている。


本日の髪色は真っ赤だった、眉毛は茶色いから染めたのか?

以前見たホルスタイン柄も染めていたらしい御洒落なのだろうか?

異世界の美意識って良く解らない、まぁ日本の昔も細目・鉤鼻がイケてた時代も有った事だし?あまり余所様の文化をとやかく言うのは失礼と言うものだろう。


デカい顔に更に髪を盛り上げるものだから余計頭がデカく見える、其処にゴテゴテと髪飾り付けるものだからたまらない。デカい頭と胸のすぐ下から広がった衣装で(ウエストのくびれの無い所をカバーしているのだろう、デザイナーさんも大変だ)遠くからシルエットを見たら<テルテル坊主?>の様だ。


『舞踏会の天気でも気になるのか?まさか血の雨は降らないだろうな』


あの妹姫を見ていると何だか心配だ、無性に心配になり嫌な胸騒ぎがしてくるJKだ。

例えるなら・・保育園のダンスの発表会に、出来の悪い我が子を送り出さなければならない親の気分とか?子供どころか彼氏もいないが、妹姫がトラブルメーカーなのは確のようだ。




「ほらな?髪型はシンプルな方が断然良いだろ、ポニテはやっぱり神だな、髪飾りだって俺様が作った方が全然イケてるし」


余り布で作った造花だが、白が清楚な雰囲気で姫様のイメージに良く合っている。店子として姫様に情でも湧いてきたのか、アニィは娘を持つ親父の気分にでもなっているのか満足げにウンウンと頷いている。


「それにしても、おまえ探索組で良かったのか?女は舞踏会とか、ドレスとか好きなんじゃないのか、滅多に見られないイベントだろ」


むぅ~と口を尖らすジョウ君。

何度も埴輪に出入りしているうちに動きも滑らかに、表情も豊かになって来た。心なしかポッカリと空いている目の穴も、不満げに細められている。


「俺様の従姉妹に糞生意気なJKがおってな、これが何か心に引っ掛かる事が有るとペチャクチャ燥ぎ出して五月蠅ぇのなんのってな。さっきのお前みたいによぉ、無理に燥いで不自然たらありゃぁしねぇ。何か有るなら話せや、悩み事は潰しておく方が良いだろ?」


シャコウが短い腕を伸ばしてジョウの頭をポンポンする。


『憧れの撫でポンが埴輪だなんて・・しかも中身は脳筋男かよ』

これは異世界で、しかも埴輪だから今のはノーカン!JKは心の中で叫んだ。



「なんか苦手なんだよね・・」

「舞踏会がか?」

「ちゃう・・あの人、キャリさん・・あや婆に似ていて」


あや婆とは、JKが通っている高校の古文の教師で担任なんだと言う。

口癖が<常識が無い>って言葉で、生徒が何かやらかすと常識が無いとか、親の躾が悪いとか言ってくるウザイ婆先生なんだと。

何かにつけて<あなたの為だから言うのよ>とか恩着せがましくするが、自分の持つ常識からはみ出す者を許せないだけって感じがしているそうだ。

第一その常識って奴は何なのだ?そんなマニュアルや公文書でも有るのか?

あや婆のマイルールだけなんじゃないのか。

世界には沢山の人がいて、それぞれの文化が有って、異なる常識が有るとしたらどうするんだ?殴り合いの喧嘩でもするのか、瞬殺で負けそうなくせに!

あや婆の常識ってそんな絶対的なモノなのか、本来常識とは地域や時代で人の生活と共に変わっていく、あやふやなモノなのではあるまいか?常識とは!!


腰に短い手をあてて、もう片っ方の腕をブンブン振り回して地団駄を踏んで喚きだした・・猛烈だね・・ストレスMAXなのだろう。

JK in ジョウの演説は続く。


「なんかさぁ、キャリさんが勝手に<こう有るべき>みたいに決め付けて来るのが嫌なんだよね、自分原理主義者って言うの?自分以外の意見はみんな駄目、馬鹿話は認めないみたいな?

あの人、先生でも親でも無い訳だしさぁ、お互い異世界では初心者なんだから説教されたりする謂れも無いよね?うちら偶然にも一緒に召喚されてしまったけど別に仲間でもないし。なに命令してくれてんのって感じ」


「婆さんは年寄りだし、年長者として導いていかなくちゃ!とか、ハッチャケてる感じじゃねぇの?」


「そんなの別に頼んでない・・ねぇ、あたしたち帰るんだよね。たとえ体が無くなっていてもさ、あっちに帰るって決めているんだよね」


「どうした?なにテンパってる」


「あの人・・キャリさんってこのまま帰れないのなら、このまま姫様になり替わろうと考えそうで何だか怖いよ。今、確かに体は動いているけれど、それは姫様の意志じゃないし望みだった訳でも無いでしょう。なり替りと乗っ取りとどう違うの?・・悪い事をしている感じがして、何か凄く嫌だ気持ちが悪い」


JKはそう言うと体育座りをして膝に顔を埋めた、手足が短く頭が大きかったので上手くいかず後ろにコロンとひっくり返ったが。



   ******



 ドレスを着付けて軽食を食べ、お茶を飲んでいたらエスコート来た。

別に素敵な王子様やカッコいい騎士を期待していた訳では無いが・・モノクロ・・だった。舞踏会と言うのに安定の黒さ加減、隠遁の術でも使いたいのかと小一時間問い詰めたい感じだ。君はTPOと言う言葉を知っているかね?


モノクロは手元のメモを見ながら俯き加減に部屋に入って来て、姫様のドレスの裾に気が付いて歩みを止めた、そうしてゆっくりと顔を上げると固まった。

スマホの画面に字を入れるとしたら<カッチン☆>とかになるのだろうか。

表情の読みにくい目が僅かだが細められ、反対に口は間抜けにもカパーっと河馬のごとく開けられている。


「・・・・・・・・・・・」


『見惚れているな、あんた見惚れてんだろう・・ふふんだ!勝った』

何と勝負しているのだか、皆目自分でも解らないのだが、仄かな満足感がキャリさんを満たしていく。


「・・・っ、失礼いたしました」


象牙の塔で研究ばかりしている魔術馬鹿は女性を褒める言葉も知らないらしい、小首をかしげて上目使いで見つめてやれば・・・ボンッ!音がしそうな勢いでモノクロが真っ赤になった。



    *****


【45センチくらいの距離を開けて】

  長さの設定が細かいな・・・

【下から42度くらいの角度で、首は横に23度位傾けて・・そうそう】

  その細かい設定を仕事に生かしてくれれば助かるんだけど

【じっと見つめるの、瞬きしないと涙が貯まって来るからね~ウルウル】

  あざとい、実にあざとい・・・

【これで落ちない男はいないって、可愛い子限定の技だけど】

  アンタの言う可愛いの基準は何だ、芸能人で言う所の誰だ

【若ければそれなりにイケるんじゃないの?あのお局様には無理だろうけど】

  そうか、私では無理か、自分でもそう思う・・恥ずかしすぎて出来ない



疲れた頭を休めたくて女子トイレの個室に籠って一息ついていたら、派遣の女の子達が大挙して化粧直しに入って来た、今日は楽しい金曜日この後飲み会と言う名の合コンがあるのだろう。ちなみに会社の規約では派遣先の正社員を私事で誘うのは厳禁となっている、昔その手(異性関係の縺れ?)の面倒事が起ったらしい。しかし大手の商社に派遣されてくるお嬢さん達のほとんどは、玉の輿?(まぁ給料的にはそうなのかもしれない)の男性社員狙いでやって来るので、この規約には相当な不満が有る様だ。

しかし会社の方針なので如何ともしがたい、一お局様の個人的な意地悪ではないのだが・・なのに何故か派遣さんからの風当たりが私だけに強い・・解せぬ。


【お局は今日も残業?ホントよくやるよね~】

  あんたのミスをカバーしてんだが

【仕事もいいけど、女は忘れたくないよね~】

  女である事が、仕事上どんなに不利益をもたらすか理解もしないで



 過ぎ去りしあの日あの時、トイレの個室で痛む頭に優しさで出来ていると言う薬をくれてやりながら、出るに出られず、力なくお喋りスズメ達の話を聞いていたのだったが。


     ******




やってやりましたよ!派遣のお姉ちゃんたち!!

お姉ちゃん直伝、男の落とし方~その1

異世界でしかも他人の身体なんだけどな、リベンジじゃないんだけど気分はそんな感じ。自分の身体ではとても出来ない事だけれど、ほら私って謙虚な性格だから。でもさぁ~、私だって一度くらい恥ずかし気も無く、あざとい真似やってみたかったんだもん!


何処か体の隅で、お婆さんの呆れた溜息が聞こえたような気がしたが。

この位のご褒美が有っても良いでしょう?


真っ赤になって直立不動で立ちすくんでいるモノクロに、スッと手を差し出してエスコートするように促す。何か映画でこんなシーン有ったよね、何だったっけか・・往年の名作映画。

親の趣味も有ったけど、小さな頃は結構古い映画を見せられた。

綺麗だったよね、ローマの休日のヘップバーン嬢とか。

清楚で初々しくて可愛くて、華奢で守ってあげたくなるような女の子。


この頃映画を見る暇も無かったけど、近頃のヒロインは強くて逞しくて男を庇って<戦う女>って感じだからね。卵を産み付ける凶悪宇宙昆虫と戦ったり、未来のアンドロイドと戦ったり・・昨今の憧れの女性は戦える強い女なのかもしれんがな。

私は守られたいのよ!大丈夫かハニーとか言われたいの!!意外や意外、自分は妖精系のお嬢様がお好みの様だった。


『今日の中の人はオードリィ(トゥーウスの人では決してない)主演のローマのお休みタイプで行こうかしら、深窓の令嬢で世間知らずだけ汚けがれていないピュアな感じ、姫様にはピッタリな気がするし』



「何をお考えですか?」


モノクロの奴、話しかけ方まで丁寧になってる・・いつもの雑さはどうしたんだ、畏るべし美少女のドレスアップパワー。


「王妃様に贈られたドレスが大きすぎて、お直ししたんですけれど・・こちらのドレスコードに合っているかどうか・・私・・不安で」


   *****


【男は庇護欲が本能的に有るからね、相談されると頼られていると感じて、男心の自尊心が刺激され満足するものなのよ。頼って良いですか+涙目、これが狩りのキーワード】


 会社で営業補佐しているより、男心を掴む心理学の本でも書けば良いに。

・・いや?誰かが書いた本の受け売りなのか?

その手の本が有る事を考えもしなかった不勉強な自分が悔やまれる。

別にモテたい訳では無いし、庇護欲も発揮出来そうも無いが、仕事を頼みやすくなるなら読む価値が有ったかもしれない。自己啓発も多方面にあった様だ。


    ******



男の落とし方その~2 

実験の結果、モノクロは急に気が付いた様にドレスを舐める様に眺めた後、大層興奮して褒めまくってきた、大丈夫です!大変似合っていますと太鼓判を押してくれた。・・が、褒める語彙が少なくて、綺麗を13回連呼していた。大変綺麗です・凄く綺麗です・非常に綺麗です・・。


薄っすらと微笑んで見せると、ヒユッと息を詰める音が喉で鳴っている。


この人、どんだけ女に免疫が無いのか。

まぁ、私も人の事は言えないけど、予備知識が有るし(キャリさんの予備知識とは舶来のロマンス小説だ、実戦経験は聞いてくれるな)舶来の方が非現実的で面白いのだ。

設定が日本だとね、突っ込みどころが多過ぎて、鬼女さん仕様になってしまって、頭に来て話をぶち壊したくなってしまう(苦笑)。




 長い階段を降り、歩いているうちにだんだん通路が豪華に装飾されて来た、この辺から王城の中央部分で舞踏会のホールが有るのもこのあたりなのだろう。

左右に並んでいる警備の騎士達が、目だけを動かして姫様を凝視しているのが面白い。見られると減るとでも思ったのか、モノクロがマントを翻したりして姫様を隠したりして無音のブーイングを浴びている。


「すいません、躾がなっていない連中でして」


魔術師と騎士は仲が悪いのか?神官との不仲は既に聞き及んでいるが。


 既に会場のホールからは音楽が流れて来ていて、貴族達の騒めきが聞こえている。王族はオオトリを飾るようで、ひとまず近くの控室で休憩を取るそうだ。結構長い距離を歩かされたからね、姫様の身体には負担が掛かっただろう・・膝が笑っている。


モノクロが合図をするといつもより綺麗なマントを羽織った騎士達が恭しく扉を開いてくれる、中でソファで寛いでいた人物たちが振り返った。


会いたくもない王と王妃と妹姫か・・・。

妹姫が驚いた様に椅子から立ち上がり、姫様の正面に躍り出て来て向き合った。



・・・・ガンの飛ばし合いですか・・・・・・・・・・・・・・・



見つめ合い、目だけで頭の天辺からつま先まで往復する事3回。

その間、約10秒約・・何気に可動域広いな目!

驚愕している妹に、顔の筋肉はほとんど動かさず目だけで冷笑を贈ってやる。

・・敵はテルテル坊主だった、勝ったね!


妹姫は口元をワナワナさせて、今にも噴火して喚きだしそうだ。



『おっかし~な~、オードリィの清楚さの予定だったのに』


全力で喧嘩売ってしまいました(笑)。


派遣先の労働規約はそれぞれです、正社員との交際・17時以降の交流禁止の所も(たまには)あるようですよ(´Д`)


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