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0日目「旅の始まり」
平和社会。そう呼ばれるようになってから10年目に突入するが本当にこの世界は平和だろうか?
確かに戦争なんて起きていない。それでも死人は増え続けている。今日も200人がこの国でも亡くなったそうだ。死因は殺人。
先進国が平和な分こんな地方の国では殺人が横行している。考えてみれば当たり前だ。食料はごく裕福な層の人しか食べれないし、下の層の人はそんな人たちの奴隷となるか、自分達で時給自足して暮らすしかない。最もそうして出来た食料を巡って戦いが起きるのだが。
戦争は必要なものだった。あれが亡くなってから人口増加は止まるところが見えず、そうして拡大する住宅地と反比例して食料難は続いている。今日も家の前では隣人通しがパンを巡って争っていた。
紹介が遅れたが僕は赤崎雫。旅人だ。これからこの旅行記を読む全ての人に伝えたい。僕はこの世界を変えようなんて思わないし、ましてや先進国に抗おうなんて考えない。
ただ自由を求めて放浪するだけ。そうそれだけ…