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プロローグ~ノリで始めるって事で。

また一つ、黒歴史を製造しました。

これからよろしくお願いします。

誤字脱字等は教えてくださると大変ありがたいです。

植物でパワーアップするような不思議な人間が、魔王にさらわれた姫を助けに行く某超有名アクションゲームを、皆は知っているだろう。

俺が思ったのは、まあなんとも勇敢な主人公だなと。魔王とかいう、デカくて火吐いて、その他諸々とにかくヤバい奴をためらいもなく倒しに行くんだぞ?


……。と、考え始めたのが小3の時だった。今では高校生になった俺。思い出したらちょっと笑っちまうような話だけど、俺はその時知らなかった。

まさか、魔王が姫をさらう……。そして、勇敢な主人公が戦う話が、現実になるなんて。


*


バスを降りて徒歩3分。俺の通う高校はそこにあった。

いつも通り、教室に入ると、静かに微笑みながら

「おはよう」

って、俺の彼女は言うんだ。だから俺も静かに

「おはよう」

って言う。男達はいつも、この光景を見るたびに嫉妬の顔を浮かべていた。俺と俺の彼女……。岬野 叶依(みさきの かなえ)は、このクラスでたった一組のリア充である。

叶依はいつも静かで、人と話す時に騒ぐ事は無い。ついでに言うと彼女には友達とまで呼べる存在はいない。まあ、俺も友達いないけど。

でも叶依は俺に対してだけ、積極的に話しかけてくれるし、笑ってくれるし、何でも俺に対しては"人間"らしい行動をとる。かわいい。

さて。席に座るわけだが、別に俺と叶依は隣同士じゃない。むしろ俺の隣ときたら……。

「水島君……。いや、(ひかり)君!好きです付き合ってください!」

隣の席の宮梨。俺の事が好きらしく、毎日告白してくる。俺には彼女がいるし、正直宮梨は好きじゃない。まあ嫌いでもないが。普通のクラスメイトだ。ただそのしつこさだけは普通じゃない。

「だから無理だって言ってるだろ。これで何ヶ月目だ?」

「6か月と26日ね」

「なんで覚えてんだよ」

「光君が聞いてきたから」

「あーはいはいすみませんね」

「ところで付き合って」

切り替えた話が告白とはなんて奴だ。

そんな時、またうるさいのが話しかけてきた。前の席の弓田だ。

「お前はいいよなあ、そんなにモテて。俺と同じゲームオタクの癖によ……。」

そう。俺はゲームオタクなのだ。これまで貰った小遣いなんかは、その殆どをゲームに使っている。まあ、最近だと叶依とのデートに使ったりすることも増えたけど。

「で、光は宮梨の事どう思ってんだ?」

「ただのクラスメイトだっていつも言ってるだろ」

「酷い光君!私は叶依よりいい彼女になるわ!」

「ありえないね」

普通、ここまで言えば傷つくものなのだが、宮梨は何を言っても諦めない。早く席替えがしたくてたまらない。

というか弓田によると、別のクラスとかにも結構、俺が好きな人がいるらしい。俺は特別勉強が出来る訳じゃないし、何か大きな事を成し遂げた訳でもない。顔もブサイクではないがイケメンでもない。

"ただのゲームオタク"なんだけどな。


と、騒いでいたのもつかの間、担任の大久保先生がやってきた。

「今日は特別な授業をします。どうぞお入りください」

そして続けて入って来たのは知らない先生だった。そしてその先生は俺達生徒に向かってこう言った。

「加野と言います。今日からこの学校で先生としてやっていきたいと思います。」

加野という先生は、口ひげがこっちから見て右半分だけ生えていて、白い髪であった。手元には"hell"という言葉が何十個と書かれているノートが。見るからにおかしい。で、加野先生は質問する。

「早速ですが、このクラスでゲームが好きな子はどれくらいいらっしゃいますか?」

クラスは40人くらいで、その半分以上が手を挙げた。勿論手を挙げた中には弓田も俺も含まれていて、特に俺はその中でも、この世の手を挙げる動作で一番美しいかもしれないと言われた。キマった。

「おお、こんなに……。ということで、この"リアル・ゲーム"をプレイするのはこのクラスで決まりですね」

リアル・ゲーム?VRの事だろうか。

と、俺と同じような事を考えていたクラスの男子が先生に質問する。

「それはVRということですか?」

「いいえ、違います。本当に、この世界で行うゲームですよ」

みんなこの言葉でがっかりしている。VRだと思ってたんだな。

「しかしがっかりしないでください。このゲームの内容は至って簡単。魔王にさらわれた姫を救うため、君たちが一丸となって冒険します」

リアルってなんだっけ、と考えてしまうほどに訳が分からない。

「やりたい人は手を挙げてください」

さっきの説明でみんな何が分かったのだろう。ほぼ全員が手を挙げた。俺もノリで挙げた。

「ありがとうございます。では早速、配役を決めましょうか。まず主人公をやりたい人は手を挙げてください」

もう話が進みすぎてよく分からないが、もうみんなノリでやってるんだろうな。

弓田が手を挙げようか迷っていたので、いたずらで勝手に手を挙げさせてやった。

俺は大久保先生に怒られた。当然ですな。

そして、大久保先生はこう言うのだ。

「罰として水島!お前が主人公だ。」

……。えぁ?

みんなが俺に向かって拍手を……。

まあ、別にやっても良かったんだがな。弓田が迷ってたから挙げなかっただけで。


加野先生は次に、

「姫役は誰にしましょう?」

その言葉を言った瞬間、全員が叶依の方を見た。

「やっぱりここは叶依でしょ!」

「叶依頑張ってね!」

「叶依もゲーム好きなんだし、いいんじゃない?」

女子達が叶依を応援、応援、応援!

……。いややめろ。このゲームの意味がさっぱり分かっていない今、叶依を巻き込むのはなんか嫌な予感がする。

俺がやめろと言いたいところであったが、女どもの声が過去最高にうるさくて絶対的不可能な状況だった。

で、叶依はこう言うんだ。

「光が助けてくれるゲームなら、喜んでやるわ」

はい来た、拍手のお祭り!出たよ女のキャーキャーキャー!先生までそろって喜ぶ喜ぶ!

もう手がつけられないので先に進むしかないか。つーか宮梨が号泣してるんですけどやめてください、本当に。

「では、ゲームスタートですね」

加野先生がそう言うと、すぐに弓田が聞く。

「え、魔王役とかは?」

「魔王?ああ、それなら……。」

その時、みんなは悲鳴をあげた。加野先生は鋭い牙に邪悪なオーラ、怪物のような見た目に変化した。

「この私がやりましょう。」

全てが……。ってほどじゃないけど、分かった。このオーラも、加野先生の姿も、とてもじゃないが科学じゃ説明できない。

「リアルアドベンチャーゲーム、スタートです。この学校は拠点として利用してください。あと、水島君と岬野さん以外のみんなは役割分担して水島君をサポートしてあげてください。」

すると、加野先生は、叶依を連れてどこかへ消えてしまった。


この世には、科学で説明出来ない事が山ほどある。今俺はそれを痛感した。

そしてこのゲームは、ノリでやるべきではなかったのだ。今から始まるのは、命がけのゲームなのだろう。

小さいころから俺はそういう不思議な事を信じるタイプだったから、意外と状況を飲み込めた。我ながらおかしい。

さて、みんな動揺してるし俺が主人公として先陣を……。と言おうとしていたのだが。

何だよ、みんなノリノリじゃないか。さっきの悲鳴はなんだったのか。

ま、こんなに平和ボケしてるクラスなら大丈夫だな。俺はそう信じた。

意味不明なゲームがスタートした。

次回以降は1話、2話、と進んでいくのですが、一つの話にAパートとBパートがあります。一つは光の話、もう一つは他の誰かとなります。

なお執筆や投稿が遅めになりますのでご了承ください。

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