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ユグドラシル~時の記録  作者: あおい聖
プロローグ
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プロローグ04

『何言ってるんだ!』


『冗談はよせ!』


『運営!どうなっている!』


 など批判的な声のする中


『帰る方法は?ここで死んだらどうなる?』


 と声が聞こえるとシーンと静まり返り、


『帰る方法はある。しかし教えることは出来ん。』


『何だそれは!』


『説明しろ!』


 すると


『我はもうすぐ死ぬ・・・故に我の知る方法では帰ることが出来ん。それとこの世界での死は、本当の意味での死だ。努々忘れるなかれ・・・』


 そこから何を言っても返答なく、他のプレイヤーの声も聞こえなくなった。


「うそ・・・そんな・・・」


「スズネ・・・」


 今にも泣きだしそうなスズネであったが、次の言葉で場が崩れる


「な~んてね。ねぇ驚いた?驚いた?」


 あっけ来とられていたキョウは


「ス・ズ・ネ~!」


「御免なさい。でも大丈夫!大丈夫だから!」


 キョウは不意にスズネを抱きしめた。よく見るとスズネは虚勢を張っているのが分かったからである。


 抱きしめられたスズネは大声でわんわんと泣き出した。


「大丈夫。私が守るから・・・この命に代えても守るから。」


「ぐすん・・・命に代えるのはダメ・・・必ず一緒に生き残るの・・・」


「ああ、一緒に生き残って帰る方法を探そう。」


「うん・・・」


 いつの間にかトムさんは部屋からいなくなっていた・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


 しばらくして身なりを整え執務室に入るとトムさんが仕事をしており


「ん?もういいのか?大賢者様も酷なことをなさる。」


 キョトンと2人がしていると


「何を惚けておる。この世界に居る者は大半が知っておることだ。争いが絶えないこの世界を救うにはリソースとかいうのが足りなくて、そのリソースを持った者たちをこの世界に召喚すると大賢者クリフト・ファーム様が全世界に発したのが発端だな。」


(クリフト・ファーム・・・VRアナザーの基礎理論を構築した開発責任者の名前・・・何か関係があるのか?)


「お主らのメニューやヘルプと言ったものは大賢者様が自身の命と魂を引き換えに構築したものだ。帰還方法は・・・大賢者様の庵にでも行くしかないな・・・」


「それは何処にあるのですか?」


「儂も知らんし、分かっておらん・・・5年位前までは聖王国のどこかに住んでいたと聞いたが・・・」


「聖王国?遠いのですか?」


「かなり・・・それに今のLvで海は危険だ。最低でも20は無いと・・・」


「そうですか・・・でもその聖王国にいるプレイヤーが見つけてくれるかもしれませんわ。」


「ん~それは難しいじゃろ。」


「何故ですか?」


「お主らの同胞を利用しようとする輩が邪魔するだろう。」


「それに5年前というのが気になります。」


「どういうことですの?」


「私たちの世界でVR技術が立証されたのが5年前・・・科学者の名がクリフト・ファーム。」


「つまり資料は私たちの居た世界と言う事も有りうると言う事ですわね。」


「そういうこと・・・でも何らかの方法で異世界に渡る方法があるというのも事実だね。神がかり的なものなのか、魔術的なものなのか、実例と思しきものがあるんだから。」


「そう言う事なら儂の昔の伝手を使って調べてみよう。」


「お願いします。」


「よろしいので?」


「うん。トムさんは曲がったことが嫌いな性格だからね。その点は信用できるよ。」


「クッハハハッ主は200名の1人か?うむ。その経験は大事だぞ魔術で作られた仮想世界とはいえ人々はそのまま同じであるからな!だが時の流れまで同じとは限らぬ。」


「はい。理解しているつもりです。」


 1人分からないという顔のスズネに


「この世界の人は同じでも、私たち1200名は違う行動をとるということだね。」


「あっそう言う事ですか。」


「うむ。分かっておるならええ。」


「では、生き抜くために始めようではないかのぉ?」


「そうですね。」


「はい。」


・・・・・・・・・・・・・・・


 異世界生活1日目


「それでは、上旬の活動だけれど、トムさんは村の警備。」


「おう。任せろ!」


「スズネは商業開発!」


「まずはこの道路整備100bですね。」


「そして私は農業開発、治水工事100bを行う。何か意見はありますか?」


「ないな。」


「あっこの村のデータって見れるのかな?」


「これになる。」


 ステータスと同じように半透明のプレートが表示され


泉の村

テンマ国所属

領主:キョウ

代官:-

人口:40人

農業:10

商業:5

漁業:5

鉱山:0

防衛:100

資金:3250b(毎月+190)

兵糧:210(毎月+150)

兵数:15

相場:1b=兵糧10


「おや?資金が増えておるが?」


「私の持っていた資金を加えました。クローズドβの時もそうして早めに開発を進めましたから。」


「じゃあ私も資金3000を入れてっと。」


「うむ。これなら兵糧を増やしておいた方が良いだろうな。討伐任務で兵糧は減るのでな。」


「じゃあ250bを兵糧にっと」


資金:6000b(毎月+190)

兵糧:2710(毎月+150)

相場:1b=兵糧9


「ではここからそれぞれの任務に必要な100bづつを引いてっと」


資金:5700b(毎月+190)


「それでは皆頑張りましょう。」


「「おお!」」


 各自それぞれの任務地へと向かって行った。


 月の初めの10日間を上旬、次の10日間を中旬、最後の10日間を下旬と言い、1か月は30日、1日は24時間となっていて、1年は12か月、春の1月、2月、3月と続き、次が夏の1月となる。


 だから計画は旬の頭に行われるのがこの世界の一般的なものである。

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