プロローグ01
白に近い青い髪をした少年が双剣を手に駆ける。
「スズネ!そっちに1匹行った。」
スズネと呼ばれた赤い髪の少女は
「任せてください。雷よ集いて敵を撃て!サンダーバレット!」
魔法書を片手に呪文を紡ぐと小石ほどの雷の塊がゴブリンを襲う。
「ガァギャァァァ!!!」
断末魔と共にゴブリンが息絶えた。
「キョウ!やりましたわ。」
飛び跳ねて喜ぶスズネを見ながらキョウはどうしてこうなったのか振り返っていた・・・
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クローズドβテストが終わりいよいよ明日オープンβテストが開始されようとした日のとある高校の教室で
「ユーヤ、いよいよだね。」
興奮した金髪の小柄な少年クリストファーが裕也の下へ駆け寄る。
「ああ、クリスは最初また放浪するのかい?」
「ん~どうしようかな?ユーヤはまた泉の村からかい?」
「その予定だけど。」
「なら近くの方がいいかな・・・」
すると長い髪を横に束ねた元気の良さそうな少女が駆け寄り
「何々!何の話ですの!もしかして時の記録ですの?」
「そうだよ鈴音。・・・それとここ学校だよ?」
裕也の言葉にハッとなり、
「コホン、ごきげんよう裕也様、クリストファー様。それで何のお話ですの?」
「プッアッハハハハ、スズネはいつも猫を被っていたんですね。」
クリスが笑い出すと鈴音は頬を膨らませて
「あ~ひどいですわ。私だって好きでこのようにしているのではありませんのに・・・」
段々表情が俯いていくのを見たクリスは慌てて
「わぁっえっとその・・・ごめん・・・ね~ごめんてば・・・泣かれるとボクがこまるんですよ~ね~スズネ~」
ヤレヤレと言った表情で裕也は
「はぁ、それくらいにしてやりなよ。」
裕也には見えていた・・・鈴音が俯いて行く最中・・・クリスが慌てふためくさまをニヤリと口の端を上げているのが・・・
「じゃあ仕方がありませんね。許して差し上げますわ。」
ケロッとした表情で鈴音がそう言うとクリスは
「本当にごめんなさい?・・・もしかしてボクからかわれた?・・・ひどいよ~スズネ~」
3人で笑い合った後
「それで時の記録の話ですわよね。先ほどの話わ。」
「そうだね。ユグトキで何処から始めるかって話だよ。」
「ボクは冒険者としてガードナからかな。」
「裕也は?」
「私もクローズドβと同じ泉の村の領主からかな・・・被らないと良いけどね。」
「大丈夫だと思うよ。あそこの村生産力無いから始めようと思うプレイヤーいないんじゃないかな?」
「じゃあ私も裕也と同じとこにする!詳しく教えてくださいの。」
「え~それだとユーヤが困るじゃない!それにボクが合流するのが遅れる~」
「裕也!一緒にいてくれるという約束ですわ。それがだめならゲームなんてさせませんわよ?」
「え~そんなことスズネが言う権利ないよ。ね~ユーヤ。」
「権利ならありますわ。親同士が決めた許嫁とはいえ、私と裕也はちゃんとおっお付き合いしてますわ。」
「そ~なのユーヤ?」
2人の視線が裕也に集中する。鈴音に至っては上目遣いの半泣き状態で・・・
「ん~まあ付き合ってはいるし、ちゃんと好きだよ鈴音。」
ボフンッと音がする勢いで鈴音の顔が赤くなる。
「そっそう言うことは人目が無いとこで・・・きゅ~~。」
しばらく鈴音が元に戻るのを待って
「まぁ約束だしね。何とかするよ。」
そう言って裕也は選ぶ国、選ぶ村を鈴音に教えて
「ん、分かりましたわ。」
「じゃあ明日ゲーム内で!ユーヤ、スズネあまり如何わしいことすると垢BUNされすよ~」
「クリスさん!!」
「わぁ~バイバイまたね!」
逃げるようにクリスは鞄を手に帰っていった。
「それじゃあ私たちも帰ろうか?」
「はい・・・」
鈴音はそっと裕也の腕を組み帰路につくのであった。
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翌朝、裕也は稽古を終え、汗を流して祖母が作った朝食を取り自室に戻ると、VRアナザーのインターフェースを頭に装着し、バイザーを目の位置までおろし、ゲームを起動した。
まずアヴァロンのロゴが現れ、音声ガイダンスで
『ようこそ!ユグドラシルの世界へ!さあ君のキャラクターを作ろう!』
するとまず性別を聞いてきたので
「男っと」
選択をして、続いて種族を聞いて来た。
「え~と人族にエルフ族、ドワーフ族、獣人族、竜人族、天人族、ディーネ族にフレアス族・・・それに魔族か・・・無難に人族でいいかな。」
「国は・・・テンマ国っと」
続いてスキルポイントを2pt使い≪指揮1≫をとり(部隊を使うんであればいるよね)、次に≪魔力1≫(攻撃魔法はステータス的に期待できないけど回復魔法は必要だからね)を取得した。
続いて20問からなるユグドラシルの知識の質問に答え、最後に名前を聞いてきたので
(ん~いつも通り如月裕也で、Y・KをもじってKY・・・キョウ)
ゲームスタート!!!