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ソードサモナー  作者: 猫の手
8/12

対立

戦いは何も生まない?


それは偽善の者の考え方だ


戦いは勝利、地位、名声、力の証明を生む


死ぬかもしれない?



そんな些細なデメリットを気にしてたら何も手に入らない


昔も今も変わらない、これからも……






ーーーーーーーーーーーー

《森》




「久しぶりだねシェルン、確か5年ぶりだっけ?もうちょっと後だったかな?」

アルドはそう言って微笑を浮かべる


「あ、あの……」


「ん?なんだい?」

「これやったのって……」

シェルンは周囲を見渡しながらアルドに問う


「僕だよ、そこの魔導騎士団達はちょっとわからないけどね」


「アルドさん…なんでこんなことしてるんですか…?」

「僕の友達が殺されそうだったから」

「だからってこんなっ…!こんな酷いことしなくたって良いじゃないですか!!」


「確かにね…どんな理由であれ人を傷つけてはいけない……」

「分かってるならなんで…!?」


「約束なんだ、とある子とのね…」

「……………約束…?」

「その約束を守るために僕は人を傷つけ続けるよ」



「そんな約束ッ…!守らなくたって良いじゃないですか!!

契りを交わせ!剣陣《契り剣》!」


シェルンは剣陣を召喚


「君とは戦いたくない」

「あなたがどう思おうが私はあなたを止めます…!

ソロモン72柱……従えラウム…!」


契り剣の力によりシェルンはラウムを召喚

「おぉ…ちゃんと剣陣使えるようになったんだねシェルン」

「馬鹿にしないでください!」

私は走り契り剣でアルドさんの剣陣を叩き落とそうとする

「うん、筋も良くなった…誰かの弟子にでもなったのかな?」

「っ!?」

脳裏にホーロットさんの顔が浮かぶ


キィンッ!

「あっ!?」


一瞬の間にシェルンの剣陣は弾き飛ばされる


「強くなったけど、まだ僕には勝てないかな」


「ラウムさんッ!」

「任せな!」

ラウムさんはそう言い、倒れている魔導騎士団の剣を二振り盗みシェルンに渡す

更にシェルンは受け取った剣を振るい再びアルドの剣陣を狙う


「君には剣の才能が有る、まぁ当然と言えば当然なんだけど…でも、僕とは潜ってきた場数が違い過ぎる」

キィンッ!


一振り


ただ一振りで両手の剣は弾かれた



「そんな…!?」

「剣術は誰かに教わってるみたいだから別に良いかな…」

アルドはそう言い剣陣 《ヘル》が青く光り始める


「僕からは剣陣の使い方の応用を教えてあげる、ちなみに今から見せるこれはコトハから剣陣を受け継いだ人にしか使えないから」


「何を言っ……!?」


「○○○○」


アルドさんが何かを言った直後私は意識が飛んだ



ーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア》


「ん…?」

何か今…いや気のせいか…?

「どうしたのニャ?」

ホーロットが立ち止まったのが気になりシケットは問う


「いやなんでもない…」

なんだろうな……胸騒ぎがする…



ーーーーーーーーーーーー

《森》


「それで君はどうするんだい?」

アルドはルインに問う

「コトハの約束は守った、後は自由にどこか旅にでも行く…」

「ルインさん…」

「どうしたコトハ?」

「私達と一緒に来ませんか…?」

「…………別にそれでも良い、だけど聞きたい事がある。おいアルド・ゲート」

「アルドで良いよー」

「お前が指名手配されたキッカケになった事件の女王殺し…なんで女王を殺したんだ?」

「殺したいから殺した」

「嘘だな」


即答

まるでそう言うと分かっていた、そういうレベルだった


「そんな奴じゃないはずだ」

「根拠でも有るのかな?」

「コトハがお前に助けられたと言っていた。そんなお前がただ殺したかったなんて言うとは思えない、何かそう言わないといけない理由があるはずだ」

「………………へぇ」

「図星か?」

「君には99点をあげよう」

「後の1点は?」

「君が真実を知った時にあげるよ」

そう言ってアルドはシェルンに向かって歩いて行き、気を失っているシェルンの前で止まった


「約束は守るさ」




ーーーーーーーーーーーーーーーー

《魔導騎士団ベースキャンプ》



「はっ…!!?」

私は気がつくとベッドに居た

「ここは……?」

辺りを見回してみると


グラン君、フラム、テイル君、ラギ君、ルプスさんがそれぞれのベッドで寝ていた


「私……確か…」

さっきまでの出来事が鮮明に思い出される

「ルイン君ッ…!」

私は立ち上がろうとした所で偶然部屋に入ってきた医者に止められる

「ちょっ!?君安静にしないと!」

「安静なんかしてられません…!」

「シェルンの言う通り……」

そう言ってベッドから起き上がったのはルプスさんだった

「君はもっと重症だろ!良いから寝てなさい!」

「先生!大変です!!」

急いで部屋に入って来たのは看護婦だった





「テレスクレアにギークダイムが戦争を……!」



「え………?」


静まる場

「今何て…?」

ドサッ!!

私が問おうとしたところで、ルプスさんがベッドから落ちた

「君!安静に…!」

「ななゑはまだ寝てる……!助けに…!助けに行かなきゃ…!」

医者と看護婦が止めに入るもののそれを振り払おうとするルプス

「そんな…私どうすれば……」

その時の私は頭が真っ白になり何も考えられずに居た


ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城壁》


「防衛線を張りなさい!そして民衆には避難を!」

セルフィは各隊に指示を飛ばす


「なんでこんな時に…!」

ななゑはまだ目を覚まさない、ルプスは留守…まるで謀られたようなタイミング…

「セルフィ!敵が見えてきたぞ!」

私はタキリから望遠鏡を奪いレンズを覗く


遠くから多くの兵がこちらに向かってくるのが分かった

持っている武器は剣ではなく…


「確かあの武器は銃って言う武器だったかしら…?」

「石ころ飛ばす武器だろ?」

「それは昔の話よ」

どれだけあの武器が進化しているかは未知数…でも私達には剣陣が……



ドオォォォォォォォンッッ!!


少し離れた手前の所で爆発音が鳴り響く


「なッ!?」


石ころ飛ばすなんてレベルじゃない…!?

ふと頭上を見上げると無数の玉が降り注ごうとしていた


「この世の理よ…我に従え…!

剣陣 《森羅》!!」


剣陣を召喚したセルフィは続け様に詠唱を唱えた

「【炎弾】ファイアバレット!」

剣陣から放たれた炎の弾はそれぞれ無数の玉に当たり爆発する


全ては防ぐ事が出来ず取り残した1個はそのまま落下していく


「しまっ…!?」

「任せろ!

斬り払え!剣陣 《見切》!」

タキリが剣陣を召喚し迎撃し損ねた玉を斬り払おうとする

「バカ!?斬ったら爆発するわよ!?」

「分かってるって!!」

タキリはそう言いつつ手に持った剣陣で玉に沿うように振った

そのまま玉は軌道を変え、住宅の無い広場に落下していった


「うしっ!」

「相変わらず滅茶苦茶ね…」

「そんな事よりどうすんだよこれ、これじゃあ一方的にやられるぞ?」

「私に良い考えが有るわ」

そう言ってセルフィは城壁の外にジャンプした

「なっ!?ちょっお前!?」

セルフィの姿が完全にタキリの視点から消えた直後、セルフィが何かに持ち上げられる様に上昇


「【土壁】グランドウォール!!特大型!!」


全ての城壁を覆うように土の壁が出来ていく

「バケモンかよ……」

「流石序列2位ですなぁ……」

いつの間にかタキリの横にはティグスが居た

「いつ来たんだティグス…?」

「今階段登って来たばかりですよ」

「今回のギークダイムの動き的にどう思う?」

「タキリさんでもそういう事を考えたりするのですなぁ〜…」

「おいコラ」

「冗談ですよ、そうですね…元から仲が悪い国でしたのでいずれは戦う事にはなると思って居ました…ですが一つ気になる点が…」

「ん?」

「相手にとってタイミングが良過ぎる……序列1位と3位の不在は戦況を大きく変えるでしょう…相手にとって絶好の機会…何故相手はこのタイミングを狙えたのでしょう?」

「ななゑが負けて気を失っているのは結構大事になったから向こうが知ってても不思議じゃないと思うんだが?」

「そこです」

ティグスはそう言って俺の意見に指摘する


「この戦争、相手ばかりにアドバンテージがある戦いじゃ無いんです」

「どういうことだ?どうみても相手が有利だろう」

「序列1位のななゑさんに勝ったホーロットさんがこの国に居たとしてもですか?」

「おぉ…確かに…」

「ここでの試合を相手の国の密偵が見て報告したのだとすれば、相手は慎重になると私は思うのです。なんせ英雄が復活したようなものなんですから」

「んー…?じゃあなんでギークダイムは攻めてきたんだ?」

これだと矛盾する。ギークダイムが試合を見て攻めて来たのなら確実にホーロットを警戒するはず…でもギークダイムは攻めてきた、ということは試合を見て無いのか?だがそれではななゑの存在がデカイはず…


そもそもなんでルプスが居ないのを知ってるんだ…?


「これは私の推測なのですが…おそらくこの戦争に関わっている第三者の仕業ではないかと思っています」

「第三者……」

真っ先に思いついたのは例のフードを被った連中だった


「レジスタンス…!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

《魔導騎士団ベースキャンプ》


ルプスさんは今鎮静剤を打たれて寝ている

医者いわく傷口が開くのを防ぐ為の処置らしい

「どうすれば…」

「悩んでいるようですな」

隣りのベッドで寝ていたフラムが目を覚ます

「フラム大丈夫?」

「これぐらい全然大丈夫ですぞ、脳筋の握力で締め付けられた時の方が苦しかったですな……」

マジですか…

「そんな事より大変なんです!!」

「戦争の話の件ですよな?」

「え!?なんで……」

「なんで知ってるのかって?実は狸寝入りして起きていたのです。」

「なんで狸寝入りなんか……」

「シェルン、貴方なら行けるはずです」

「え?どういうこと…?」

「私の剣陣 《クロノス》怪我を治す事が出来るのです。正確には私の技の【早送り】による治癒速度向上ですが…」

「え!?じゃあ何でルプスさんに使おうとしなかったの!?」

「ルプスさんの怪我は治すのに時間がかかるのです…というか私の体力が持たないのですぞ、でもシェルンの怪我なら短い時間で治す事が出来ます」

「でも私……」

「大丈夫!シェルンは強いですからな!」

そう言ってフラムは私の治療に取り掛かった


ーーーーーーーーーーーーーーーー

《ギークダイム軍 キャンプ地》


「ふむ…やはり現れたか…」

軍服をまとった中年の男は望遠鏡を覗きながらそう呟く


「どう致しましょう?」

中年の男の部下がそう問う

「攻撃は続けるんだ、だが勢いは落とせ、あの壁が壊れ次第全員突撃だ」

「し、しかし…あの壁が壊れるとは到底思えないのですが…」

「大丈夫だ、既に手は打ってある」

中年の男は再び望遠鏡を覗き込む、そこには土の壁を全力で登っている鳥が見える

(いやあれはただ鳥などでは無いな……)


鳥は炎を身に包んでいた





ーーーーーーーーーーーー

《【土壁】グランドウォール頂上》


「ふぅ……」

土壁を巨大化を止めセルフィは一息を付いた


ここまで大きくすれば攻撃はもう届かないだろう…そう思った矢先




目の前に巨大な鳥が現れる

それもただの鳥ではなく、その身には炎を纏っていた


セルフィは魔法国家フォレストンでの出来事を思い出す


「これは……!!?」

「ピンポーン!大正解ー♪」

火の鳥の姿が消え現れたのはフォレストンで戦った男だった。そして既に火の鳥の背中に乗っていたであろう二人が現れる


「なっ…!?」

「悪いが貴様を利用させてもらう、蛇足を狩れ…剣陣《蛇剣》」

「少ししか遊べないけど遊びましょっ!騙し偽り欺け剣陣 《トリックスター》!」

「再生の鳥よ!その身に焔を纏え!剣陣 《火の鳥》!」


三人それぞれが剣陣を召喚する





ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア軍本部 指令室》


「非戦闘員や国民の避難を急ぎなさい!」

軍の最高司令官であるアスハが指揮を飛ばしていた

「どうしていきなり…!」

愚痴をこぼしながらアスハは自分の剣を取る

「司令官!伝令です!!」

「どうしたの!?」

「ギルド序列第2位のセルフィが作った土壁の魔法が…!崩れました!!」

「なっ…!?」

なんで……!?何があったのセルフィ…!?

「土壁の魔法が崩れた直後敵兵が進軍を開始し始めたという情報も有ります…!どうしますか司令官!?」

「軍の警戒レベルを最大まで上げなさい!!ギークダイムを迎え撃て!!私も出るわ!」


部屋を出ようとした直後ドアが開く

「アスハ」

指令室に入ってきたのはホーロットだった

「ホ、ホーロット!?」

「ギークダイムが攻めてきたんだろ?」

「知ってるならなんでそんなにのんびりしてるの…?」

「いやギルドのメンバーだけで十分と思っていたからな…だけどセルフィの土壁が消えたのが気掛かりで…何か知ってないか?」

「それを確かめる為に今から前線に行くわ…ホーロットも行く?」

「あぁ、嫌な予感しかしないからな…」



ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城壁》


唐突にそれは崩れた

頭上から降り注ぐのは

土の塊


既に抜刀していたタキリは無数の土の塊を斬り払っていく

ティグスは杖の魔障石から作り出した光の剣で土の塊を吹き飛ばす


「何が起きてるんだよ!?」

「タキリ上です!」

珍しくティグスがタキリを呼び捨てにする

タキリは反射的に剣陣を上に振るった


キィンッ!!

「へぇ、なかなかやるじゃん」

そこに居たのは炎の翼を生やした男

タキリは一旦男から距離を取る

見た感じタキリよりも若い青年だった


「レジスタンスか!?」

「御名答…」

次々とフードの集団が降りてくる

「こいつの命が惜しければ武器を渡せ…」

降りてきた男が人質にしていたのはセルフィだった


「セルフィ!?」

「動くな」

男が剣をセルフィにの首ギリギリに持っていく、当の本人は気絶しているようだった

「ちっ…!渡せば良いんだろ…!」

「仕方ありませんな……」

タキリは剣陣を投げ、ティグスも続いて武器である杖を投げた



「少しの間気絶してもらう」

投げられた剣陣を男は踏み砕こうとするが…


ガァンッ!!

「何…!?」

剣陣は勢いよく踏みつけられたが折れる様子は見当たらなかった

「そんな簡単に折れるかよ、なんたって俺の剣陣だぜ?」

「大したものだ…」

折るのを諦めた男は剣陣を少女に渡し

人質であるセルフィをジャックに任せる

「ジャック、メストお前達はこの2人を見てろ」

男は2人の青年と少女にそう言った

「殺らなくていいのかよ?」

「おそらく反撃され事態が悪化するだろう、それよりもここで時間を稼ぐのが先決だ、俺も奴の始末が終わり次第戻る」

そう言って男はテレスクレアの住宅街の家の屋根を伝い侵入した

「奴の始末……?」

タキリは思考を張り巡らせるが誰の事を言っているのか分からなかった



ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城問外》


「盾を構えるのですッ!!」

アスハはそう部下に命令し、部下達もその指示に従い盾を前方に構える

「お前偉くなったなぁ」

ホーロットはそう言ってアスハの頭を撫でる

「か、関心してる場合じゃないでしょ!?後子供扱いしないでください!」

「悪いな、昔を思い出しちまった」

「もう…ところで何で盾何ですか………?」

アスハはそうホーロットに聞いた

盾を出す案を出したのはホーロットだったからだ

「俺が旅をしてた時にギークダイムの話を聞いた事があってな……基本的に遠・中距離で攻めてくるはずだ」

「だから盾?」

「あぁ、そうだ」

「弓矢や石程度だったら剣陣で…」

「ッ!?来るぞ!」


ドォォォォォンッ!!


爆発音

「な、何あれ!?」

「『大砲』って武器だ、遠距離から爆弾を飛ばしてくるぞ!」

「えぇ!?じゃあどうすれば良いのよ!?」

「防御に専念するんだ!だけど出来るだけ大砲の弾は撃ち落とせ!」

「しょうがないわね…!だけど防御だけだったらこっちが不利になるだけよ!?」

「防御に専念している間に俺が全員斬る!

アスハお前はセルフィの安否を頼む!」

「わ、分かったわ…って全員斬るって大丈夫なの!?」

「ななゑの代わりは俺が務めるさ」

そう言いホーロットは全力疾走で敵陣に突っ込む



ーーーーーーーーーーーーーーーー

《ギークダイム軍 キャンプ地》


「伝令です!英雄ホーロットがこちらに接近しているとのことです!」

部下の伝令を聞き上官である中年の男はニヤリと笑う

「よし、手筈通りだ……弾幕を張れ、そしてレジスタンスに連絡しろ『最後の戦力を引き出したとな』」

「了解です!」

「これでチェックメイトだ……」



ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア住宅街》


「来たか……」

フードを深く被ったレジスタンスの男は上空を見上げそう呟く


上空には無数の鳥の影

これも作戦の内だ


敵勢力を城門に集中させ

反対側から鳥の魔物により進軍

率いているのは俺の仲間の一人のアロイ

魔物の作り出した張本人である

基本的には犬の魔物などで学校を襲撃させたり気絶したメストを回収したりなどのバックアップが主なのだが今回ばかりは彼の存在は必要不可欠だった

鳥の魔物達は彼により調教されておりギークダイムの兵士達も乗せている。調教出来るのは彼のみなのだ


上空を見上げていると一羽の魔物が降りてくる

「マルクス無事カ?」

俺の名を呼びながら降りてきたのはアロイだった

「あぁ、これから舞浜ななゑを殺害しに行くところだ…」

「ソウカ…ソレサエ達成デキレバ…」

「あぁ、あいつに帰る場所を作る事が出来る」

「失敗スルナヨ?」

「俺の台詞だ」

そう言って俺達は二手に分かれた



ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城問外》

部下の一人が急いでアスハに伝令を伝える

「司令官!伝令です!!」

「何よ!?」

「テレスクレア上空に無数の魔物の鳥の影が!」

「なんですって!?」

「それと城門の上に向かった部隊ですが、全滅したとの情報が…!」

「くっ…!?今こっちで手一杯だって言うのに…!?」


ホーロットは突撃して以来戻ってくる気配が無い、おそらく敵の攻撃を掻い潜って戦っているのだろう


「部隊を再編成してテレスクレア内の防衛に当たりなさい!今すぐ!!後、防衛線を張っているギルドに至急連絡を!街での戦闘に備えなさい!」


セルフィの安否も気になるが今は撃退が優先だと私は判断した。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア中央病院》


「ここか……」

マルクスは病室に入る、病室の名札には舞浜ななゑと書かれていた


入るとすぐ目の前のベッドに舞浜ななゑが寝ている


「早速だが死んでもらう」

「それはお断りですニャ」


完全に気配の無い空間から突如として繰り出される殴打

「蛇足を刈れ、剣陣《蛇剣》」

殴打をギリギリ剣陣で受け止めようとするマルクス

しかし、結果的に言わせてもらうとそれは悪手だった


「猫技、猫パンチ」



ズガァァンッ!!

「くっ!?」

受け止めた衝撃は凄まじく、病院の壁に叩きつけられそのまま壁を壊し病院の外に出る


幸い元々が曲がる前提の自分の剣陣は折れずにいた


「前に会ったのは盗賊のアジトに行った時でしたかニャ?」

「邪魔をするな…!」

「いやですニャ」

猫耳パーカーの少女はそう言い自分の前に立ち塞がる


「ホーロットの予想は的中ですニャ」

「ちっ…!またあの男か……我々の邪魔ばかりを…」

「猫技、猫パンチ」

シケットは再びマルクスに殴りかかる


「良いだろう…貴様から殺してやる」

マルクスはそう言って剣陣を構えた




ーーーーーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城壁》


「くっそ……」

タキリは焦っていた、このままでは街が壊されてしまう


「なぁ、まだダメなのか?」

ジャックと呼ばれた《火の鳥》を操る剣陣召喚士は隣りの少女、メストに問う


「ダメだよ」

「ケチ♪」

「精神崩壊させるよ?」

「じょ、冗談だって!?」


「俺はいつでも相手になってやるぜ?」

タキリはそう言い挑発する

「なぁメスト?」

「ダメだって、どうみても挑発でしょ?」

「ちぇっ……」


その会話の直後




「契りを交わせ、剣陣《契り剣》」

突然の上からの襲撃に対応出来ずジャックの手に持っていた剣陣が弾き飛ばされる



「なっ!?」

突然の事に戸惑いジャックは人質であったセルフィを離してしまう

「ソロモン72柱…!従えラウム!」

剣陣から現れたカラスはメストに向かい

タキリの剣陣 《見切》を盗み、それをタキリに返した


「誰だ!?」

ジャックは剣陣を拾い、メストは剣陣を取り出し身構える




「私はシェルン…シェルン・ハート……この戦争を止めに来ました」



シェルンは静かにそう言い、自分の剣陣を構えた


「シェルン!?お前フォレストンに居たんじゃ…!?」

タキリは驚きシェルンに問う

「鍛冶屋のおじさんに頼んで『じぇっと機』を飛ばしてもらいました」

どことなくシェルンは落ち着いていた


「シェルンお前…大丈夫か?」

「大丈夫です」

シェルンらしくないとタキリは感じた

別人とまでは言わない

だけど少しだけほんの少しだけ顔が暗いように感じた


「テメェ!邪魔すんなよ」

「私からしてみればあなたの方が邪魔です




消えてください」




「あぁ!?やれるもんなら…!あ…れっ……?」



いつ間にか背後から得体の知れない何かがジャックの肩を噛みついていた


「なんだ……こいつ…!?」

「ジャック!?」

メストがジャックの様子を見て驚く

フェイス系統である剣陣《火の鳥》を出しているはずのジャックの肩から血が出ているのだ


「…………」

バキッ!

「がぁっ!!?」

得体の知れない何かが強く牙を食い込ませる


「ジャックから離れてッ!」

メストがジャックに取り憑いているものを剣陣で斬り離そうとする


「……」

剣陣を持っているその腕をもう一体の得体の知れない化物が噛み付く

「キャッ!?」

どこから来てどこから現れたのか、見当がつかなかった


「首謀者は誰です?」

シェルンは噛み付かれている二人に問う

「はっ!言うわけ無…」

「そっか」


「………グァ」

得体の知れない化物はメストの首を口で挟むギリギリで止める

「え……?」

メストはキョトンとしている

「それじゃあ…」



「ちょっと待て!?」

急いでジャックが止める

「何?」

「なんで俺じゃねぇんだよ!?」

「後で貴方も殺るに決まってるよ?」

「なっ!?」


「そこまでだシェルン!」

ティグスが止めようとしたが先に動いたタキリがシェルンを止めに入る

「先生…なんで止めるんですか…?」

「こいつらの確保は俺がやる、だから…」

「先生……」

「なんだ?」

「私を殺してくれませんか…?」

突如、具現化するほどの魔力が周囲に満ちる

「なっ!?」

「自分じゃあもう…抑えられないんです…」

溢れる感情は殺意


誰かを殺さないと気が済まない


なんでって?




分からない


………………………………………………………………………………………………………………………………………………後少しで思い出せそうなのに………思い出せない…





二重召喚デュアルサモン

シェルンの剣陣は姿形を変え

一冊の本になった



「『グリモワール』」





NEXT

#8《覚醒率50%》





作者「次回【覚醒率50%】お楽しみに」

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