不安定が有るからこそ安定させる事が出来る
数十年前、ニュートンが偶然見つけた重力の法則のようにそれは発見された
【剣陣】
世界を確実に変えたそれは革命の種そのものだった
「行ってきまーす!」
家の扉を勢い良く開けて少女は駆け出し、ある程度いった所で家の方に向く
「絶対凄い剣陣召喚士になるからそれまで待っててね!おばあちゃん!おじいちゃん!」
そう身送ってくれている家族に言い
再び走り出す
シェルン・ハート始めての旅
「あの子大丈夫ですかね?爺さんや」
「まぁ、大丈夫じゃろ…可愛い子には旅をさせろって言うしの」
そう言って祖父と祖母は自分の娘を見送った
ーーーーーーーーーーーー
「まずは首都に向かわなきゃ…」
地図を広げて首都までの道を確認する
「おや?お嬢ちゃん首都に向かうのかい?」
後ろからいきなり話しかけられて少し驚いたが大丈夫だ問題ない!
「はい!そこで立派な剣陣召喚士になりたいと思ってます!」
「剣陣召喚士だって…?」
「はい!」
おじさんは少し何かを考えた後話し始めた
「ならこの道を真っ直ぐ行って山を越えたら直ぐに首都だよ」
地図を確認したら確かにそれは最短ルートだった、しかし…
「うーん結構険しそうだけど大丈夫かな…」
「今すぐにでも首都に行きたいんだろ?ならその方が良い、善は急げだ」
「なるほど…ありがとうおじさん!私頑張ってみるね!」
そう言って私は首都直行の山越えを選んだ
「今日はなんでも出来る気がする!」
ーーーー30分後ーーーー
「と思ってた時期が私にもありました…」
私は盗賊のアジトの牢屋に捕まっていた
まさか山賊に後ろから不意打ちされるとは…
テンションがうなぎ登りした直後のこれは流石に気が滅入る
気を落としていると誰かが歩いて来る足音が聞こえた
やがて足音は大きくなり、足音の主が牢屋の前に立った
「貴様が召喚士か?」
無精髭を生やした明らかに盗賊のリーダーみたいな人間が私に話しかけた
「そーですけど…」
「ほーう…貴様みたいな小娘がねぇ…嘘付いてんじゃねぇだろうな?」
「なんで嘘付かなきゃいけないのよ」
「普通なら剣陣出して逃げるだろ」
「あっ…」
「え?」
その手があったか…
「まさかお前…」
「の、能ある鷹は爪を隠すのよ!」
「召喚士って言ってる時点で隠す気ねぇだろ」
「力を温存してるのよ!」
「さっき人が居なかった時が力の使い所だろ」
「…………」
「…………」
やばい!馬鹿だと思われてる!?
「お前…」
「おっと!それ以上は言ったらダメです!私は馬鹿じゃありませんからね!」
「いや自覚してるじゃねーか」
おばあちゃん、おじいちゃん私馬鹿なのかもしれません
「もう怒りましたよ!?剣陣出しますからね!出しますからねぇ!?」
半泣き状態で剣陣召喚の詠唱を始める
「契りを交わせ!剣陣《契り剣》!」
シェルンの真下の地面に陣が描かれ、剣陣が具現化していき完全に顕現した所でシェルンは剣陣を手に取った
「驚いたぜ、本当に召喚士だったとはな」
「今更謝ったって許しませんからね!」
そう言い私は牢屋の鉄の檻に斬りかかった
ガチィンッ!
鉄の檻に弾かれ手に持っていた筈の剣陣が宙を舞う
「あ、あれ?」
「剣陣が凄くても召喚士がこれじゃあ、宝の持ち腐れってもんよぉ!ハッハッハ!まぁせいぜい頑張りな!」
そう言って盗賊のリーダーっぽい男はその場を立ち去った
「そんな…」
絶望…いや単純に悔しかった
跳べると思ってた跳び箱に失敗したかのような感覚
酷い脱力感
「………」
私は壁を背に眠りについた
『君には剣陣を扱える適性が有る』
フードを深く被った男はそう私に言う
(あぁ夢か…)
『剣陣を呼ぶ時はね…』
(懐かしい夢だな…
確かこの人が私に剣陣の素質が有るって言ってくれたんだっけ…)
『その力は君を守ってくれる筈だ…』
(いつか会ってお礼言わなきゃ…)
ー《盗賊団アジト正面入口付近》ー
「シケット」
俺は木の陰に隠れながら隣りに居る猫耳フードを被った少女に話しかける
「ニャ?」
「ニャ?じゃねぇよ、まだなのか?」
「もうちょっと待つニャ、そろそろ見張りが1番手薄になる時間ニャ…お、噂をすれば…」
盗賊団アジトの正面入口の見張りが三人から二人に変わる。どうやら休憩に入ったらしい
「行くぞ」
「了解ですニャー」
俺は正面に飛び出し、抜いた剣の腹で相手の頭を打ち付け、シケットは相手を柔道の如く投げ飛ばし見張りを無力化させる
「よし、目的の再確認するぞ、ここに居る賞金首の頭領を倒して賞金を手に入れる、良いな?」
「捕虜はどうするのニャ?」
「うーむ…お前に任せる」
「了解ですニャ」
「よし、じゃあ行くぞ」
俺は頭領を倒しに行き、シケットは捕虜を確認しに牢屋を目指した
ーー《牢屋》ーー
「ぐわあっ!?」
「ひぇっ!?」
いきなりの叫び声に驚いてしまった…
「えっ、えっ何!?」
私は状況の確認を試みようとするが、牢屋の中に居るので確かめようがなかった
「うーん、あんまり捕虜居ない感じっぽいですかニャー?ん?」
牢屋目の前を通った少女がこちらに気付く
「だ、誰ですか…?」
「通りすがりの猫ですニャ、そっちはなんで捕まってるのかニャ?」
いや質問に答えてないでしょそれ
「た、多分私が剣陣召喚士だから捕まったんです…」
「剣陣召喚士…!?」
目の前の少女は驚きを隠せない様子だった
「じょ、冗談キツイニャ…だって召喚士ならこんな鉄の檻ぐらい簡単に脱出出来るニャ」
召喚士が鉄の檻に捕まっているのが余程意外だったらしい
「私が未熟者なだけです…」
「そうあからさまに落ち込まないで欲しいニャ」
ガチャン
目の前の少女は先程盗んだであろう鍵を使って牢屋の戸を開けた
「私の名前はシケットですニャ♪とりあえずここから脱出するニャ」
「あ、はい…えっと私の名前はシェルン・ハートです」
「よろしくですニャ!さっそくだけどここを脱出するニャ」
シケットは私の手を取り走り出す
その際に自分の荷物を手に取る
「あのシケットさん?」
「何ニャー?」
「シケットさんはなんでここに居るんですか?」
「頭領の賞金首を狙ってるニャ、まぁそれは建前なんだけどニャー」
「?」
少し走った後出口が見えてくる
「そろそろ出口……っ!?危ない!」
私は訳が分からないままシケットさんに突き飛ばされた
「わっ!?」
ガッ!
突き飛ばされたのと同時に何かで殴りつけたような音がする
「んぐぅっ!!?」
シケットは横から受けた衝撃をもろに喰らい壁に叩きつけられた
「貴様ら…侵入者だな?」
通路に置いてある荷物の影から現れたのは、フードにマントをつけた男
というよりなんでそんな所に居るんですか…いやそんな事よりも…!
「大丈夫ですかシケットさん!?」
「うぅん……」
ダメだ、当りどころが悪くて気絶してる…
「仲間の心配より自分の心配をした方が良いだろう」
そう言われた直後、腹部に蹴りが叩き込まれる
「あぐぅっ!?」
更に首を掴まれ外に投げ飛ばされた
「痛っ…!」
「忘れもんだ」
そう言い投げられたのは…
「シケットさんっ…!?」
ギリギリの所でシケットをキャッチをしたが、キャッチした衝撃で背中が地面に叩きつけられる
「んあっ…!」
「貴様、確か捕虜の剣陣召喚士だな?」
「だったら…なんだって言うんですか…?」
「貴様の剣陣の力…測らせてもらう。
蛇足を刈れ剣陣《蛇剣》」
盗賊の目の前に剣陣が具現化し、男はそれを手に取った
「ひっ…!?」
男が手にした剣は不規則に揺れており、柔らかそうな印象を受けた剣だった
「さっさと剣陣を出せ」
「いや…私はその…」
「死にたいのか?」
「ひぇっ!?いや…その…!」
「腰抜けが」
そう男は言い、剣をムチのようにしならせ振るう
ま、守らなきゃ…
私はその行動だけに頭をフル回転させ
シケットさんを剣から守るように庇った
ゴメン…!おじいちゃんおばあちゃん…!
キィンッ!
痛みが来ると身構えていたがその痛みは来ず
金属音が頭上で聞こえただけだった
「えっ…?」
恐る恐る反射的に瞑った目を開け頭上を見上げる
「よっ、俺はホーロット、連れが迷惑かけたな」
剣撃を防御しながら自己紹介する男は凄く奇妙だった
「えっ!?えっと…!?」
「自己紹介はまた後でした方が良いな…っと!」
フードの男の剣陣を弾き飛ばし、ホーロットは目の前の相手と相対する
「ホーロット…?貴様があのホーロット・メインズだと言うのか…?」
フードの男は何かを確かめるかのようにホーロットに問う
「その剣で確かめてみな」
「…そうさせてもらおう」
フードの男は剣陣《蛇剣》を無造作に振るい、剣は再び不規則な軌道を描きながらホーロットの首を狙うが…
キィンッ!
ホーロットは難なく蛇剣を弾いた
直後、ホーロットは剣を逆手に持ち直しながらフードの男に向かって疾走、フードの男に辿り着いたのは一瞬だった
「やはり本物か…」
そう呟きながら男は懐から取り出した短剣でホーロットの攻撃を受ける
「今日、貴様と戦う予定は無い」
「俺がお前に用が有るんだよ」
「知ったことか」
そう言い男はその場を去ろうと走り出す
「待ちやがれ!」
男は追いかけようとするホーロットを確認した後で短剣をシェルンに向かって投擲
「くっ!?」
ホーロットはそれをギリギリで弾く
そして同時にフードの男は森に身を投じ姿を消した
「逃げられたか…」
「あ、あの…?」
「ん?なんだ?あっ、自己紹介が途中だったな、俺はホーロット好きな食べ物はサンドイッチだ」
「わ、私はシェルン・ハートです…あの…一体あなたは何者なんですか…?」
「俺は探し物をしてるただの剣士だ、お前は?」
「私は一流の剣陣召喚士を目指して旅をしてます…」
自信は無くしてしまったけど…
ホーロットはシケットをつまみながら話しを続けた
「じゃあ、お前は首都を目指してんのか?つかそろそろ起きろシケット」
「うーん…」
シケットは項垂れるだけで起きる様子は無い
「ダメだなこりゃ…」
「とりあえず今は首都を目指そうと思っています」
「じゃあ一旦山を降りないとな、盗賊が設置したトラップが沢山有るし」
「えっ!?でもそれだと遠回りに…」
「急がば回れ、って言葉も有るしな、とりあえずゆっくり行け」
「そ、そうですね…はい…」
「そうあからさまに落ち込むなって、俺達も首都に用が有るから、そこまでは一緒に行こうぜ」
「えっ!シェルンちゃんも一緒に来るのですかニャ!?」
つままれた状態のままシケットが反応する、見るからに猫である
「現金な野郎だな」
「失礼な、今起きたばかりニャ」
「で、でも私足引っ張っちゃうかも…」
「旅は道連れだ」
「そうですニャー!一緒に行くニャ!」
「そ、そこまで言うなら…」
「わーい!」
こうして首都に到着するまでの間、ホーロットとシケットに私、シェルン・ハートは一緒に旅をすることになった
「ちなみに、遠回りだと首都までどれくらいなんですか?」
「5日ぐらいはかかるかもな」
「ふぁっ!?」
NEXT
《特訓訓練練習習得》
作者「初投稿でミスは絶対何処かに有ると断言出来る作者でーす!」
シケット「自慢出来る事じゃないニャ」
作者「ちなみに、この作品は気分次第で投稿ペースが決まるので注意ですぞ♪」
シケット「酷い話しですニャ」
作者「それでは最初なのでこれぐらいにしておきましょうかね、次回!ソードサモナー《特訓訓練練習習得》!お楽しみに!」
シケット「次回も見て欲しいですニャン」