ホスト。子持ち。
ちょっと間隔カツカツで読みづらいかもです。ごめんなさい。
飯田幸人25才。職業ホスト。独身。三人の子持ち。
俺に離婚歴は無い。かと言って昔付き合っていた彼女が身籠っちまった子でも無い。俺の兄貴、飯田龍樹が、医療ボランティアに行くといって預けてきた子供だ。兄貴の奥さん。つまりは義理の姉は10年くらい前に亡くなっている。
だったら実家に預ければ良いじゃん?と思うだろう。それが無理だ。実家は青森にある。いつ帰ってくるか分からない自分の為に家族をわざわざ転校させる必要は無い。だから俺に預けたと言うわけ。あれは、冬だったっけ…急に兄貴から電話が来たんだ。
「あ、もしもし幸人?悪いけどさぁ俺の子供達預かってくれない?」
「は?母さんとこに行けよ。俺んち汚いし。母さんも孫来たら喜ぶぜ?」
俺はあの子供たちが嫌いだ。昔お年玉あげたとき『これだけか』って言われたからな。
「いやー俺さ春から医療ボランティアに行くわけよ。そんでないつ帰って来れるか分かんねーから近場の親族に預けようと思ったわけよ。」
「そっか…でも養うには限界あるぜ?」
「大丈夫だ。定期的に生活費は送る。」
「なぁ兄貴…これってもう俺が預かるって流れになってない?」
「違うの?」
「はぁ…いいよ。分かった。あの一番上の詩乃だっけ?あの子が卒業するまでは預かってやる。」
テキトーに返事したのが間違いだったな…
「詩乃です。お久しぶり伯父さん。」
このナイスバディな天使みたいな娘が飯田詩乃。って活字じゃ、伝わらないか。
「愛衣…」
ツインテールのいかにもツンデレ属性です。みたいなのが飯田愛衣俺はこいつに『これだけか』って言われたんだ…出来れば昔よりマシになってくれって思ったけど無理だったか…
「亮馬です。どーも。」
このガキ…ケータイいじりながら挨拶してるし。どんな教育してんだ。親の顔が見てみてぇよ…
「じゃ、ヨロシクな。」
この三人の後ろで無精髭生やしてバカ笑いかましてるのが俺の兄貴、飯田龍樹だ。こんちくしょー!医者のくせに!って医者はカンケーないか。
「兄貴。頑張れよ。後は任せとけ。」
「心にも無いこと言いやがって。」
兄貴が去ると、俺の家は地獄と化した。
「亮馬…あんた告白されたんだって?」
「そうだけど。」
「この愛衣姉様が恋愛をレクチャーしてあげる。」
「小説とか漫画でしか知らない癖に…」
「うるさいわねぇ!私に従いなさいよ!」
すぐに愛衣だけがムキになる口喧嘩大会が始まった。
「いつもあんなんなのか?詩乃ちゃん。」
「そうですね。ママが亡くなってから二人ともパパに可愛がられて自由に育ちすぎましたね。」
「兄貴は楽しければなんでも良い人だからな。その人の個性を100%引き出す天才だし。これから大変だ…」
「これからお仕事じゃ無いんですか?」
「あ、そうだな。悪い!後任せた。」
詩乃は快く手を振り俺は急いで家を出た。築80年のオンボロアパートは階段を上り下りするだけでギシギシガタガタと音がする。いつか抜けるんじゃ無いのか?
階段下に停めてある自転車にまたがり俺は仕事場に向かった。
俺の職業ホスト。誇って言える仕事じゃ無い。兄貴と詩乃ちゃん位しか俺の仕事知ってる人居ないんじゃないかな。
繁華街の大通りに店を構える『エデン』
俺はそこのNo.1だ!
「よう!レイ!今日も社長出勤?やっぱNo.1は違うね。」
俺の源氏名はレイ。特に意味は無い。そしてこの人は俺をこの道に誘った吉見さん。
「兄貴が来ててね。遅れただけっすよ吉見さん。」
吉見さんは笑って「さっさと行け」と、促した。
俺は着替え。店に出た。
「さぁ!みなさんお待たせしました。レイです!」
俺は店の中央まで来て大声を張り上げた。
まぁ?案の定指名めっちゃ入ったけど?
「指名ありがと。レイです。」
仕事上女性に近づくのはよくあるが本当は苦手だ。昔同級生の女子に虫とかヘビとかトカゲとかプレゼントされて恐怖した思い出がトラウマになって…
「レイちゃん?どうしたの?」
「いや、奥さんに見惚れてしまって…」
この奥さんは確か…近所のコンビニの店長だったかな。やっぱこの姿だと気づかないか…
俺はいつも黒縁メガネを掛けて生活してる。仕事とプライベートを分割する為にな。
「レイさん。お電話です。詩乃さんと言うお方から。」
吉見さんが俺の元に来る。詩乃ちゃん?なんだろ。俺は裏に行き電話を受ける。
「どうしたの詩乃ちゃん?」
「あのー。コショウってどこにあります?」
「コショウ?えっとー…右の棚の奥にあると思うけど…」
「ありがとうございます。」
そこで電話は切れた。
詩乃ちゃん…仕事中だって分かってるのかな…
俺は仕事に戻る。するとまた吉見さんが来て。
「レイさん。お電話です。また詩乃さんから…」
「今度はどうしたの?」
「卵切れてたので買い足した方が良いですかね?」
「お願いします。レシートは置いといて。後で代金返すから。」
そしてまた切れた。
結局その後くだらない連絡が5回も来た。はっきり言って仕事にならない。
俺の勤務はやっと終了…
もう朝の4時。3人分の朝ごはんを作らないと…
俺は下戸だ。だから仕事では一切飲まない。飲ますのは抱き合わせのホスト達。
お陰で酒気帯び運転とかしないで済む。
俺は帰路を急いだ。
アパートに着くと何故か階段で詩乃ちゃんがエプロン姿で寝ていた。
「詩乃ちゃん?」
「ふぁ…伯父さん…おはようございます。」
「おはようございますじゃないよ!どうして?」
「伯父さんの仕事終わりが分からなかったので二人が寝た後ずっと待ってたら…」
詩乃ちゃんの体は少し暖った。詩乃ちゃんはぐったりしている。
「寒い中外で寝たからだよ!大丈夫?」
「大丈夫ですよ…」
俺は詩乃ちゃんを担ぎ家へ入った。
家では既に亮馬が起きていた。
「亮馬くん。詩乃ちゃんの保険証どこにある?」
亮馬は無言で詩乃のバッグを指差す。
詩乃ちゃんのバッグの中は綺麗に整頓されていてすぐに保険証が見つかった。
「亮馬くん。朝ごはんは近くのコンビニで何か愛衣ちゃんと買ってきてくれるか?」
亮馬は小さく頷いた。
そして、また外へ出て自転車の後ろに詩乃ちゃんを乗せ自転車を漕いだ。
朝の4時…どこかしら病院やってるだろうと思う。
とにかく急がなきゃ
不定期で書こうと思います。