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儀式

今回は遅くなりました。

そしてファンデルが生まれてから五年が経った日のこと。

「さあ、神殿にいくわよ。ファンデル。」

ファンデルの母親がそう言って、神殿まで連れて行った。


なお、この時の母親から見たファンデルの評価は努力家で天才という評価だった。何故ならファンデルは本が好きで本を読み漁っていた。それが母親の高評価に繋がったのだ。


更にファンデルの髪の色が完全な赤色…いや紅色になっていた。母親曰く、これは5歳児にしては異常な程、火の魔力が大きいらしく、これは10世代に1人いるかいないかの火の魔力の素質の持ち主らしい。


そしてファンデルが神殿に着くと周りにいた他の母親達の目つきが変わった。

その目つきは羨望、嫉妬の目つきだった。


彼女らは当然ファンデルに良い感情を持っていない。何故ならファンデルは自分の子供どうぐの敵であり、邪魔な存在なのだ。それはサラブレッドの世界では当然のことだった…


しばらくしておよそ100組程の親子が神殿に集まった。

「ではこれより儀式を始める…手短に話そう。すでに知っているとは思うが名前を呼ばれた者からこの場に出て水晶に触れてもらう。この水晶は魔力の数値…火、水、風と上から映し出す水晶だ。」

「(やっぱりあるんだな…そういうの。)」

ファンデルはファンタジー世界なので魔力を測る装置はあるものだと感心していた。

「そして儀式終了後、それぞれの産駒…つまり父親の名前と領地を告げる。父親達はそれぞれの領地にいるので会いに行け。父親達はお前達のことを知っているが貴族であるので失礼のないように…」

「(命令かよ…)」

ファンデルはテキトーに儀式やっていればいいと思っていたがそうもいかないらしい。ファンデルのなかで貴族といえば、傲慢で高飛車で無駄にプライドが高い厄介者としか認識していなかった。


「では母アリス・ルーマニアの息子サーガ」

「(おいおい…そういう呼び方かよ。)」

ファンデルは心の中でそう思い苦笑いをした。

「はい。」

そして一人の少年が前に出て水晶に触れた。

すると…


159

120

120


「うっ…低い…」

「ふむ…火の魔力は平均より少し上くらいか。」

神官はそういうと手元にあった紙に魔力の数値を写した。

「ではサーガよ。そなたの成長を祈ろう。」

神官は目を瞑り、祈った。

「では下がれ。次の者…」


こうして儀式は順調に進んでいった。そして…最後にファンデルの番が来た。

「最後に母ワハキア・ターミナルの息子ファンデル。」

「はい。」

そしてファンデルが前に出ると少しざわつき始めた。そしてファンデルが水晶に触れ、手を離す。


1000

200

200


「なんと…!?ここまでとは!!?」

その結果に神官は目を丸くさせる。彼自身、火の魔力がここまで優れている人物を見るのは始めてだった。更に残り2つの魔力も平均を超えており神官の目を丸くさせるのは無理なかった。


「さすが…王弟の子…」

神官はあまりの凄さにポロッとファンデルの父親の身分をバラしてしまったのだ。


「王弟?あの英雄ピーター11世のことか?」

「ようやく納得出来たぜ…」

「ちきしょう…!なんであんな奴が…!」

子供達はざわつき始め、その半分はファンデルの素質の納得の声、もう半分は嫉妬の声…


この国の王弟ピーター11世は英雄と呼ばれていた。彼は格闘と魔法の分野に優れていたので王の息子として認められていたがそれでも現国王に劣等感を感じ、冒険者としての道を選んだ。ピーター11世は冒険者としての素質があり、魔法もかなり使えた。その魔法の威力は凄まじいものでドラゴンを一度の火の魔法で丸焦げにしてしまう程だった。そのことが冒険者ギルドに知れ渡り、史上最年少のSSランクの冒険者となった。そして冒険者として引退した彼は王の弟として迎えられた。そしてサラブレッド制度に基づいてファンデルの母ワハキア・ターミナルに種を入れたのだ。


「いや!なんでもない!儀式を続ける!」

神官はファンデルの魔力の数値を書いて誤魔化そうとするがもう遅い。王弟と単語を出しただけで手遅れなのだから。

ちなみに他の国ではそれぞれの先代国王の子供はいるが現国王の兄弟とは認められず王弟というのは彼のことしか表せない。

「では、ファンデルよ。そなたの成長を祈ろう…」

神官がそう言って目を閉じると神官の首が落ちた。


「…(な、何が起こった!?)」

ファンデルはかなり動揺する。それはそうだ。儀式の最中に首が落ちるなんてのは生贄を前提とした儀式しか聞いたことがないからだ。


【我が名はウイドル…】

するとウイドルの声が神殿に響き渡った。


「誰だ!?貴様!?」

一人の子供が偉そうにウイドルに怒鳴る。

【貴様らの祖先ユラシアに追放されし風神…とでも言っておこう。】

「なんだって!?」

更にもう一人の子供が驚きの顔をする。

【おかげで私の存在がなくなりかけている…だがここで皆殺しにすればいいだけのことよ…まずはファイアネスの使い魔…ファンデル!】

ウイドルがそういうと手をかざした。

「なっ…何をした!?」

ファンデルの髪の色が紅から緑へと変わって行った。

【何、お前は殺しはせん…だがその髪ではお前はファイアネスに見捨てられたも当然だ。】

「ふざけるな、元に戻せ!」

当然、ファンデルは怒る。この世界で緑色は死亡フラグの何者でもないからだ。

【やかましい。】

するとファンデルは急に眠気がして寝てしまった。


そして起きて周りを見ると最悪の景色が映っていた。

「ひでえ……」

ここにいた人間は全て刃物で切り刻まれた後があった。その中には自分のワハキアの姿もあった。


「…ウイドル!てめえは俺が許さない!」

この世界の自分の母は世界に染まってはいたものの優しかった。自分を転生させたとはいえその母を殺したウイドルが許せなかった。


だがファイアネス教に頼っても意味がない。むしろこの髪の色では殺されるのがオチだ。


なら…いっそのこと父親と同じ冒険者になって仲間をつくるのがベターだろうと考え、外へ出ようとしたが別の違和感に気がついた。


「…?髪が長くなっている?」

そう緑色の髪が長くなっていた。ファンデルは熱くなり過ぎて髪の毛が長くなっていたことに気づかなかった。

「邪魔くさいし街に出たら切るか…」

だがファンデルはこの世界にいて一度も髪の毛を切ったことがないことについて気づかなかった。

これで本当のプロローグは終わりです。次回から色々とお話しが進んでいきます。では感想があればどしどしください!

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