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11 天使は小悪魔

お待たせしました。

遅刻理由やこれからのことを活動報告の方へ載せましたので、ご覧ください。



ヘレンちゃんの一言はとても私の頭を痛くさせた。

コウイマジン、翼のない種族、という言葉。

そしてヘレンちゃんの、それが当たり前の常識だと感じさせる態度。

とどめに、『私と同じ』という発言。


・・・あっれーー。おかしいなーー。

なんか、聞いたことのない国名、人間離れした綺麗な容姿、それから仮定として、高位魔人とかなー。

っべーなー。

このことが揃うと、恐ろしくて信じられない結論が浮上してくるんだけどなー。


で、思考に没頭したいのはやまやまなんだけど、会話の返事なりしないといけない。


どう返そうかな。

直球に「コウイマジンってなに?」って聞いてもいいけど、不自然じゃない程度に話に乗っかって、情報を集めてみるか。

悪どいやり方で悪いけど、私の方が大人で頭回るからね。

「そうだよー。翼がないから、空が飛べなくてとっても不便~。ヘレンちゃんは翼があるの?」

「あるよ!あるけどね、私の翼はねちっちゃくてまだ飛べないんだ!・・・ほら、見て!」

そう言ってヘレンちゃんはクルリと回って背中を見せた。

ヘレンちゃんのゴスロリチックな服は背中の布が重なった二枚構造になって隙間があり、そこから黒い蝙蝠の様な翼がパタパタと動いていた。


・・・うん。


もう驚かない。

たとえ天使の如き可愛い少女の背中から悪魔のものにしか見えない翼があっても驚かない。

人間の人体構造から大分、というか全然違っても驚かない。

私は不動の心を手に入れたのよ。

私は鉄の女なのよ。


「どう?やっぱり、カッコ悪い・・・?」


「ううん!すっごく可愛いよ!」


鉄の女、やっぱり返上するわ。

小悪魔の前では私も溶けざるを得ない・・・!!


・・・はっ!?


ヘレンちゃんの笑顔に興ふ、じゃなくて癒されてる場合じゃないよ!

自然に現実逃避してたよ、私!

よく見て!現実をよく見て!

私は私に叱咤して、会話を途切れさせないために口を開いた。

「でも翼、小さいね。」

「うん、そーなの。まだおっきくないから、まだ空は飛べないっておとー様が言ってたの。」

なるほど。

成長するのに合わせて、翼も大きくなる方式なのね。

だからまだ小さいヘレンちゃんは飛べないってことか。


「そっか。それはしょうがないね。」

成長途中だもの。お姉さん大きくなったヘレンちゃんが楽しみだなぁ。


ヘレンちゃんは再度自分の翼をしげしげ見たあと、私をガン見してきた。

正確には、私の腕を、だ。

私もヘレンちゃんの視線の先を追う。

そこにはずっと忘れていたものが4つあった。

「私の翼より、ミズキお姉ちゃんのタトゥーの方がかっこいいね!」

「タトゥーじゃないからね。入れ墨とかじゃないからね。ペイントだから。絵の具だから!」

ヘレンちゃんんんーー!

やめて!これをタトゥーとかと勘違いしないで!

私はヤのつく自由業の人とかとは違うから!

成り行きだから!

そしてこのペイントがカッコいいのは認めるけれど、憧れは持たないで!

お母さん、そんな子に育てた覚えないわ!


・・・ごめんヘレンちゃん。

私もヘレンちゃんを生んだ記憶ないわー。

謙虚な日本人としての性が、タトゥーを許してくれないよー。

とっても否定的な思いが暴走したよー。


ヘレンちゃんは私の言ったことを聞いて、困惑したような顔をした。


「え?それタトゥーじゃないの?」


「え?うん。友達に描いてもらったんだ。だからタトゥーではないよ、決して。」

ちゃんと否定の言葉を言わないとね。

タトゥーって思われてヘレンちゃんから距離を置かれたら、悲しいからね。

主に私が!


私が一人、ヘレンちゃんが離れていくさまを想像して凹んでいる間も、ヘレンちゃんは私の腕のペイントをじっと見ている。

ど、どうしたの?

見られすぎて、腕に穴が開いちゃいそうなんですけど。

そんなにタトゥーと見間違える程、上手く描かれているのかな。

それとも、何か気に入った絵でもあったのかな?

私は自分の腕を持ち上げて眺める。

そこには、変わらず存在感を放つ絵が4つ。

よかったね、春香。

恐らく地球じゃないここの美少女に、目が離せないほど君の腕が認められたよ。

そう春香に念をおくってみた。

・・・ま、届かないだろうけど!


私たちは森の枝が道に乗り出して、少し暗い場所に差し掛かった。


ヘレンちゃんは相変わらずその可愛らしい顔を難しくさせて、何やら考えている。

おー。

こんなにちっちゃい子でも、難しい顔すると大人っぽく見えるんだなぁ~。

美少女だからか。美少女だからなのか!


ふとヘレンちゃんが顔を上げて、私と視線を交わらせた。

「やっぱり、それ、タトゥーだよ。」

えぇ!?

まさかヘレンちゃん、ずっとペイントとタトゥーの違いを考えてたの!?

しかもタトゥーで結論が落ち着いちゃったの!?

え、私の懸命な否定の言葉は無視ですか!?


―――――――――ガサリ


私の腕のタトゥー論は、しっかりがっしり、大人げなく否定しちゃるよ!

私のそんな内心を余所に、ヘレンちゃんはまた口を開いた。


「だって、そのタトゥー魔力が―――――――っ! お姉ちゃんっ!!」


え?

ヘレンちゃんが話している途中で、凄く焦った表情で私のことを呼んだ。


それからは、まるでスローモーションだった。


周りの草むらから、今までどこに隠れてたんだって位の人数の人たちが出てきて。

私の背後で何かが動いたと思ったら、頭に衝撃が走った。

「ぐっ・・・!」

地面に倒れた衝撃と痛みから、私の喉から声が漏れる。

「お姉ちゃんっ!!」



一体、何が・・・。


「きゃあああぁぁぁー!触んないで!!・・・いやっ!!」

遠くでヘレンちゃんの声がする。

頭がグワングワンして、よく聞き取れない。

方目を開いたけれど、ぼやけてほとんど見えなかった。

「っ・・・!ヘレン・・・ちゃん・・・!」

頑張って絞り出した声は、掠れて自分でもよく聞こえない。

なに?なにが起きてるの?

私はどうして、倒れているの?

米神辺りから生温いものが伝い落ちる。


「やだっ!お姉ちゃんっ・・・むぐっ・・。」


這いつくばりながら、ヘレンちゃんの声がした方へ近寄っていく。

相変わらず頭は痛くてまともに思考が出来ないけど、たった一つの思いが私を動かした。


ヘレンちゃん・・・!!



「ふへへへ。おやすみぃ、おじょーさん。」



その声を最後に、私は意識を刈り取られた。


 

補足


ヘレン・アークライト

魔導国ヴォルグガンドの大貴族、アークライト侯爵家の第二息女。

外見は10歳程度な高位魔人の美少女。

ゴスロリな服を着ていて、紫の髪をツインテールにしている。

右目が紫色、左目が金色のオッドアイ。

翼は出し入れが可能で、普段は仕舞っている。

親切心と心配から優しく説教してくれた瑞稀のことを気に入っている。



・・・。

文ごちゃごちゃだし、直す時間ないし、もーやだー!

お家かえるぅーー!


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