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10 な、なんだと!?

あんな失敗、次からしない。





ううん?マドウコク?あれ、おかしいな。

ゲームとか小説を見ることによって培われたオタク的知識が、”魔導国”って漢字変換するんだけどなー。

おっかしいなー。

そう言えば侯爵とかって貴族とかの階級で使われてなかったかなー。

そして侯爵って結構上の所に位置するお偉いさんじゃなかったかなー。

ここ日本語圏だと思ってたんだけど、ヘレンって名前から察するにいつの間にか英語圏に来てたっぽいなー。

やばいなー。密入国かなー。

あれー。でも日本語で話してるじゃん。ってことは、ハーフとか?


ぐるぐる考え込んで、目の前の存在から目を逸らそう(世の中ではこれを現実逃避と言う)としていると、ヘレンちゃんは不思議なものを見るような目で私を見ていた。

「ミズキお姉ちゃん?どうしたの?具合悪いの?」

急に固まったから私の体調が悪くなったと思ったようだ。

私は今、君が盛大に落として行った爆弾発言に対していろいろ考えさせられているんですけどね!

なんかこの子見ていたら、どうでもよくなってきちゃったな!

「ううん。大丈夫。少し考え事していただけ。」

緩く頭を振って否定の意を伝えつつ、頭の中からちょっといかれちゃった思考を追い出す。

本当に爆弾発言をしてくれたね、ヘレンちゃん。

でもね、一つでけ君に確認をしなくちゃならない。

「ヘレンちゃん。侯爵ってすごい上の爵位だよね?」

ヘレンちゃんはその質問を聞いて誇らしげに胸を張った。

小っちゃい子のこうゆう動作、可愛くて心がホッコリするから嫌いじゃないよ。

「そうだよ!アークライト家はその中でも大きいんだから!」

でもそう言うと顔を下に向けて

「でもね、そのせいでお友達ができずらいの。」

と言った。

あぁ、もうね、声を大にして言いたい。


可愛すぎるんですけど、この生き物おおおおぉぉぉ!!


鼻から熱い思いが溢れ出しそうになるけど、そこはポーカーフェイス、無表情に流しましょう。

「そうか、それは残念だね。」

抱きしめたい。はぐはぐしたい。すりすりしたい。

だけどそんなことをしたら正真正銘犯罪者になる自信があるから、我慢だ我慢。

心のなかでこんなこと思ってても顔に出さないなんて、ありがとう普段ほとんど動かない表情筋たちよ!


おっと、可愛さのあまり話が脱線してしまった。

まぁどうしてこの爵位のことを聞いたのかと言いますと・・・。

「だけど、初対面の行き当たりばったりの私に突然、嘘偽りなく『侯爵家令嬢』なんていっちゃあぶないでしょう!まぁ相手が私だったから良かったものの、もし危険な思想の持ち主だったら誘拐とか、お家脅して金品を要求するとか危ない目にあっちゃうよ!」

そうなのだ。

このご時世、心が綺麗な大人ばかりではないんだ。金のためなら悪逆非道も辞さないって輩もいるんだし。

それにこんな可愛いなら変態さんがほっとかないよ。

ヘレンちゃんは私の注意によって自分の行動がどれだけ危険か分かったようで、その紫と金のひとみを潤ませた。

「ご、ごめんなさい・・・。まさか、そんなことになるかもしれないなんて…。」

目の縁に涙が溜まっていくのを見て焦る。

あれ!?泣かせる気なんてなかったんだけど!?

もしかして、小さい子にとって私の顔怖かったかな!?えっと!?

泣かれると私滅法弱いんで、泣かないでくださいー!

「 だ、大丈夫だよ!人間誰しも一回は失敗するしさ!うん!確かに後戻り出来ない大きな失敗っていうのもあるけど、ヘレンちゃんまだ若いし!!間違えた相手も、ほら私だし!!だから次から気を付ければいいんだよ!だから、泣かないで!」

あれ、なに言ってるのか自分でも分からなくなってきた。

ヘレンちゃんは私を見つめ、先程の言葉を繰り返して呟く。

「誰しも…、次から…。・・・うん!わかった!!次から気を付ければ、ミズキお姉ちゃんは怒らないんだね!」

「う、うん。怒らないよ。」

今も現在進行形でおこってないけどね。

けどま、あの自分でもなに言ってるのかよく分からなかったフォローのおかげで、ヘレンちゃんが泣かなくて良かったな。

本人のヘレンちゃんは、何かが嬉しかったらしくニコニコ眩しい笑顔をしている。

私の目が自然細まる。

あぁ、可愛すぎだよヘレンちゃん…!!

もう天使だよ!



「ヘレンちゃん、これからどうするの?」

今までヘレンちゃんの笑顔に癒されてて、忘れかけてた重要なことを聞く。

前の『お姉ちゃんも』っていう言い方から、恐らくヘレンちゃんも気づいたらここにいた、ということになる。

つまり、現在は遭難者が一人から二人になった、というわけだ。

天使…じゃなくてヘレンちゃんは少し目を下に逸らすと、すぐに私と目を会わせて困ったように微笑む。

「私ねここがどこか知らないの。だから、お姉ちゃんと一緒に行ってもいい?」

「もちろんだよ。」

私は頷いて、内心胸を撫で下ろしていた。

だって「どうする?」なんて聞いといて「一人で行く」って言われたら、私困っちゃうよ。

無理矢理、なんて良くないしね。

「私はこの道を真っ直ぐ行くつもりだけど、それでもいい?」

「うん。いーよ!」

私は地面についていた膝を手で払い、立ち上がる。

しゃがんでいた私より高かった身長は、立ち上がると私の腰より少し高い位の高さになった。

ヘレンちゃんは嬉しそうに笑って私の手を取ると、前に引っ張った。

「行こ!」

「うん。行こうか。」

私の手より小さくて柔らかい手を握り返して、私達は歩き出した。



*** ***



二人での徒歩は、一人の時よりずっと楽しかった。

道中ヘレンちゃんの絶えず変わる表情がとても可愛かったと言っておこう!

ヘレンちゃんは私を振り仰ぐと、確信を持った言い方で本日二度目の爆弾を投下した。



「お姉ちゃんって私と同じ位の高位魔人だよね!歩いて町に行ってるってことは、翼が無い魔人系統なの?」


・・・ぽかん。



え?ちょ、へ?

コウイマジン?コウイマジンと言いましたか?

私のオタク的(以下略)で〈高位魔人〉って漢字変換されるんですけどー。

えーー。


ヘレンちゃんの発言により、また私は思考の海に溺れていくのであった・・・。


ヘレンちゃんのプロフィール要りますかね・・・?





この話で今年最後の更新になります。

思いつきで始めた小説ですが、思った以上の方々に読んでいただいて作者驚きです。

そしてとても嬉しかったです。


今年もあと二日?一日?です。

皆様も体調に気をつけて、楽しく大晦日とお正月を過ごしてくださいね!

私もたのしみますので!


それでは、皆さんよいお年を!!

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