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9 拾いモノ

今回は筆がのったので、少し長め。

私は取り合えず道に出た。

確かにそこはちゃんと人が通ったことにより踏み固められた道だった。

自然のものから人工的なものを見て、私は世界に一人きりじゃないと思い出した。

おお…!

車が通った跡があるよ!これは案外町が近いのかもしれない!やったね!

私のテンションはさらに鰻登りに上がる。

もう、鰻が龍になるぐらいあげあげだよ!


「素晴らしい。ビバ人間。ナイス人類。」

私は人類に感謝しながら、右と左を見てみる。

どちらも途中が緩くカーブしているし、木に囲まれているため向こうは見えない。

人工物だと思えるのは、今踏んでいる道だけ。

まぁ、つまり、何が言いたいかというと…。


「町ってどっち?」


そう!この一言に限る!!

例えるなら、ドリルをやり終えて夏休みの宿題全部終わった!やったね!とか思って準備していたら、自由研究ラスボスが残ってた、みたいな感じ。

脱出の足掛かりになる道を発見して舞い上がったのはいいけど、原因の根本は直ってないとゆ学生によくありがちなこと。


ま、強く生きよう。うん。


さてさて。

進む道をどちらにしようか決めましょうかね。

どーやって決めよっかな~。お!!

手頃な真っ直ぐの枝発見!!

私は道の端に落ちていた枝の所に行って、枝を拾った。

ふふふ。これはあれをするしかない。


そのまま枝を地面にぶっさし、

「神様、仏様!!どっちの道に行けば良いのでしょうかぁ!!」

叫んだ。

必殺運任せ!!


からん。


私の手という支えを無くした枝は、そんな音をたてて斜め右に倒れた。

風が吹いて道の砂を、舞い上がらせる。

「・・・うん。右だね。思いの外、右だったね。」

いや、別に左の方が良かったなとか、ないよ?

うん。神様、仏様が決めたことだからね。

素直な人間は素直に従うよ。

「それじゃ、町を目指してレッツゴー!!」

私は腕を振り上げ、枝が指した右の道を進む。



*** ***


そして、暇だ。


とっても暇だ。

「ハイテンションで出てきたのはいいけど、やっぱり道長―・・・。」

なんとなく分かってたけど。分かってたけど!やっぱり森を抜けるのってツライものなんですね。

ずっと同じ感じの風景で、少し飽きてきた。

何か考え事でもしようなぁ。今までずっと無心で歩いてたから。

そういえば、考え事といえば、私すっごい運動神経上がってない?

湖に向かって歩いていた時も、走った時も、そして今も。

体力値極小、筋肉値皆無の私がずっと歩いたり走ったり出来ない筈なんだけど・・・。

何があったのかな。

私は良くも悪くも普通の体だし・・・。

んー。細かく言うならば、穴に落ちた時から身体が軽くなったような。

穴に落ちて、ここに来て、歩き出して。

あれ、確か、穴に落ちた時身体がとても痛く熱くなったよね?

歩けるような生易しい痛みじゃなかったし。

あれ?

私は1つのことに辿り着き、 進めていた足を止める。


おかしいおかしい言ってたけど、私の体本当におかしい?

突然体がよく動くようになるなんて、それだと、私は――――――――「う・・・ん・・・。」


「へ?」


今・・・なんか・・・声が?・・・私の声ではないですよ、もちろん。

私は考えていたことを中断して、すぐさま周りを見る。

そして、道の脇の草むらからローファーのような靴を履いた足が覗いているのを見つけた。

「え、ちょ、わわ、大丈夫でしゅか!?」

うわお、盛大に噛んだ!焦りすぎだ、私の呂律よ!!少し落ち着け!そして呂律だけでなく、私も落ち着け!ビークールだ!!

私は急いでそこに駆けつける。

「草むら邪魔じゃ、ボケ!」

そのまま、草むらの茂みを覗き込んで、息を飲んだ。


そこに倒れていたのは、10歳程度のゴスロリチックな天使のような女の子だった。


白い肌。ぷっくりと柔らかそうなほっぺた。小さくてピンク色をした唇。長いまつ毛。

そして驚くことに、この子の髪の毛の色は紫だった。長い紫の髪の毛をツインテールにして、毛先だけ巻いている。

一般の人間の常識からかけ離れた外見から、まるで天使か、人形のようだと思った。

だけど、たしかにこの子は息をしている。確実に生きている。


「う・・・ぅ・・。」


苦しそうに眉根をギュッと寄せるのを見て、私はやっと我に返った。

なに、倒れている病人か怪我人の顔をガン見して、自分の世界に浸っているんだ、私!!

とりあえず、起こさないと!

「すいません!意識ありますか!?意識があるなら、目を開けてください!」

声を掛けたが、目を覚ます気配がない。

まさか、まじやば状態!?余裕ない!?

私の顔から、血の気が引いていくのが分かった。

「すいません!!起きてください!!目を開けてください!!」

私は、この子のほっぺたをペチペチたたく。

ま、まさか、くも膜下出血とか脳内出血とか、心筋梗塞とかじゃないよね!?

そんな、早く治療しないと死ぬの確定100%、治っても後遺症のおまけつき!な病気じゃないよね!?

え、もし死んじゃったら私が看取ったことになるの!?

ご親族になんて説明するの!?

『あなたのせいで私達の子どもは死んでしまったのよ!!どうしてくれるの!?』

ひいぃいい!すいません!

マイナス思考にウサイン・ボルトも真っ青なほどの高速移動する私は、涙目になりながらこの子のほっぺたを叩きつづける。

「お、起きて下さいぃ!」


「うん・・・?」


今まで閉じれていた目がゆっくり開かれる。

よかった!!やっと目を覚ました!!

「大丈夫ですか!?」

私は身を乗り出して、その子の顔を覗き込む。

そして、再びめを見開くことになった。

「んー・・・。なぁに?」

この子…目がオッドアイだ…。

右が紫で、左が金色だった。

名前も知らぬ少女はゆっくり起き上がり、目を擦りながら周りを見渡していた。

そして、私一人だけ少女の傍に居たので、当然少女は私に話しかけてきた。


「お姉さん、だあれ?」

こてん、と首を傾けて聞いてくる姿はとても可愛らしくて、私の心拍数を上げる。

やばい。このまだと、私が犯罪者になってしまいそうだ…。

「…こほん!私はみずきって名前だよ。あと、倒れていたけど、大丈夫?」

なるべく優しい声を出すように心掛けながら言う。

ついでに柔らかい笑顔にしようと挑戦したけど、変に片方だけしか上がらなくて失敗に終わった。

「ミズキ・・・お姉ちゃん。うん。私はだいじょうぶ!じゃあね、ミズキお姉ちゃんここどこか分かる?」

そっか、体は大丈夫なんだね。安心安心。

でも、その質問は良くないな~。私がここどこか訊こうと思っていたのに~。

「さ・・さぁ~?ごめんね。私はいつの間にか、ここに立ってたんだ。」

事実をそのまま述べてみる。

気付いたら森にいたとか、大人だったら『何この人、認知症?』ってなるけど、子供だし本当のこと言ってもだいじょうぶだよね。

少女は、私の答えを聞いてとても嬉しそうな顔をしながら、小さな手を合わせてこう言った。


「じゃあ、ミズキお姉ちゃんなんだね!!」


も?も、って言った?この少女。

といいますか、少女じゃなくてこの子の名前聞いてない!

質問されまくって、重要なことわすれてるじゃんかー。私のうっかりさん!

名前はちゃんと訊きましょう!

「えっと、聞きそびれてゴメンね。君の名前、教えてくれる?」

「あっ!」

少女も忘れていたらしく、あはは自己紹介してなかったやと呟いて、ゆっくり立ち上がった。

その時、ゴスロリチックなデザインのスカートのフリルが、ふわりと揺れる。

「改めまして。」

少女はスカートを摘み、綺麗に腰を折った。

その姿勢はとても堂が入っていて、貴族の様だと思った。


「魔導国ヴォルグガンド、侯爵第二息女、ヘレン・アークライトと申します。」


私は聞いたことのない国らしき名前や、侯爵とか、名前が日本じゃないこととかで、もうとにかく色々なことに驚いて固まってしまった。

少女改め、『ヘレン』は恥ずかしそうにはにかんだ。


ど、どうでしたか!?

急展開を目指したんですけど!

あ、急でもない?テンプレ?はい。すいません。

でも、これで話がやっと進みますね!!

さぁて、頑張るぞー!

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