~第2章 第2幕 戦争~ 36~38
注意:殺人が起きます。
登場人物が多すぎてグチャグチャしてます。
中学生の書いた作品です。
無駄に長いです。
似ている作品があったらごめんなさい。
(本読まないのでかぶっているものがあるかもしれません。)
一言:戦争が起きた理由が少しずつわかってきます。彼女がちょっとしたミスをして話が急展開する架け橋となります。そして、彼女は彼の正体を無意識に気づいていたようです。
36『わずかな光』 美咲 法廷
「ねぇ。どうにかならないわけ?」
「無理だな。」
「無理ね。」
私の質問に対し同時に同じ言葉を口にするレンアとミサ。ため息が漏れてしまう。
ここは法廷と言う名のリリィの屋敷。いるのは5人。内装は和風だった。いたるところに百合の花が見受けられる。最強の防御と聞いてここを借りたのだ。
私たちが帰ってから1日過ぎた。
私たちが向こうで過ごしたのはたったの数時間。でも、こっちでは3年。大差がある。3年で私達の築いた絆が儚くも壊れてしまった。絆など所詮こんなものなのだ。常々思い知らされる羽目となってしまった。
「四色戦争。王がそろったと言うことだな。」
「クレアという可能性が高いな。」
そう、クレアが王になったということになる。
「でも、クレアこっちに帰って来ているということだよな。」
「そうね。そこが問題だ。」
「アキラだったら少し分かったかも知れないわね。花言葉が運命を左右するような時だし。」
「アキラには悪いことをした。ライフを3つしかもっていないことを忘れていた。」
ネイミは俯き唇を噛み締めている。
「でも、亡骸を埋葬することも出来ないなんて。」
重くなる空気。
「失礼」
突然リリィが部屋に入ってきた。
「お取り込み中ごめんなさい。いま、妙な情報が・・・というか花が。」
「!!!」
私達は急いでリリィの案内する中庭へと進んだ。
中庭。ここは楽園のようだ。
「これです。」
リリィの指差す方向を見ると名前の書かれた札と共に花が咲いている。
「ネイミさんはくるみ、美咲さんはオリーブ、ファクトさんはシロツメクサ、レンアさんはスペアミントです。」
「意味は?」
「くるみは知性、オリーブは平和、シロツメクサは約束、スペアミントは美徳。」
「妙だな。誰がこんなことを?」
「えっと、クレアさんだとか?この紙に書いてあったので。」
リリィは私に手紙を渡した。
「そういえば、なぜあなたがそんなことを?」
「道化師ですから。」
満面の笑みのリリィに対して私達はあっけにとられた。
「ど、道化師?聞いたこと無いわね。」
「あぁ、初耳だぞ。この世界に道化師がいるなど。」
「あら?そうかしら?」
まったく会話にならない。
「ところで、クレアさんの手紙内容は?」
「あなたに見せられるものは無いわ。国に帰ってみる。」
「でも、道化師だからもう内容には気づいているだろ。」
「えぇ、まぁ。」
さすが道化師だ。大抵のことは把握しているようだ。
「なら、隠す必要はないわね。」
私は手紙を開け始めた。
『みなさんどうも~!私は今フェアリー王国を統一する者になっています。私がこっちで優雅に暮らしているときに四色戦争が起きたようで大変だね。赤ノ王は私じゃないからね。』
まるで人事のように戦争を見ている。
『赤ノ王の名前はルイ・スティス。女性らしいよ。私ももうすぐそっちに帰る(予定)だよ。戦争にはあまりかかわりたくないから早く終わらせてね。』
ずいぶんのんきな手紙だ。私たちの苦労も知っていてこんなことを綴れるのは彼女だけだろう。
「クレアらしいな。」
微笑するネイミ。そして何かに気づいたようだ。
「美咲の持っているところにまだ何か書いてあるぞ。」
「あっ。本当だ。」
私はあわてて手をどかした。
『追伸・リリィ。彼女たちを守りなさい。』
どのような関係があるのだろうか。リリィを知っているだけでも疑問なのに命令口調だ。
「どのような関係が?」
「あぁ、私もフェアリー王国付近で暮らしていたんです。そのときに、クレアさん率いる王国軍に私の村が制圧されてしまってね。」
クレアもずいぶん暴れているようだ。
「なにより、クレアの安全が確認できてよかったな。」
レンアの一言のおかげで場が一瞬にして和んだ。確かに、消息を絶ったクレアの安全を確認できたのはうれしかった。
「では、今日はお開きとしよう。・・・あぁ、そうだ。3人とも。死者には十分気をつけろよ。」
「わかっているわ。」
私たちは徒歩で自分のアジトへ戻った。
「お帰り~美咲!!!」
私が帰ると同時に美羽が抱きついてきた。
「ただいま。」
私は微笑み小声で言った。私にとってはわずかな時間でも彼女にとっては長い3年間だっただろう。戦争についてもいろいろと苦労しているはずだ。
「美咲!よかった。」
夕菜もほっとした表情だ。
「久しぶりね!夕菜。」
あまり実感はしないのだが彼女たちを見ていると私も久しぶりに会うような気分になってきた。
「ずっと信じていたよ。変わらなくてよかった。」
「本当ね。思いが帰路へ導いてくれたのかも知れないわね。」
私たちは部屋に入った。
空白の3年間には本当にいろいろな出来事があったようだ。
「ねぇ。強いから美しいって言葉聞いたことない?」
私は不意に思い浮かんだ姫ユリのなぞを問いかけてみた。
「なんか聞いたことがある気がするね。」
「過ぎ去った日のことを考えている暇はなかなかなかったから・・・。」
「そっか。やっぱり忘れちゃってるよね。」
「聞いた事があると思うんだけどね。」
「まぁ、時の流れがどうにかしてくれるよ。きっと不意に思い出すよ。」
美羽の言葉は妙に説得力がある。
「そうね。」
その後、少しの間沈黙が続いた。
「そ、そういえば男性軍は?」
「あぁ、ちょっとね。国境に。」
言いにくそうな表情を見る限り“戦いに行っている”ということがすぐに伺えた。
「そう。」
何もいえなくなってしまう。
― ギィ ―
突然扉の開く音が聞こえた。誰かが焦っているのか足音も聞こえる。
「美咲!!!」
ドアを開いたのは真央だった。なぜ敵の彼女がここにいるのだろうか。
「翔大が!すぐにメイを呼んで!!あと医療用物資も確保して会議所の医療室に送って!
・・・早く!!!」
急なことに少し驚いたがすぐ我に帰った私は急いで指示の通り動いた。
真央が来たという驚きは隠しきれなかったかも知れないが、そんなことを考えている暇などは一切無かった。なぜ休んでいるはずの翔大が戦場に出たのかも分からない。
とにかく急いだ私はすぐに物資を確保した。ワープを使い会議所の医療室に最も近い所から進んだつもりだが会議所は広いため時間はかかる。
夕菜と美羽はメイと交渉できたのだろうか。とても不安だ。
「物資持ってきたよ!」
私が室内に入るとそこにいたのは真央と結姫。そして夕菜、美羽だった。
「美咲、久しぶりね。」
結姫に会うのは本当に久しぶりの気がする。
「そうね。あなたも元気そうで安心したわ。」
結姫は笑って頷いた。
そういえばここにメイの姿が無い。呼ぶことが出来なかったのだろうか。そのことには触れないほうがよさそうだ。
「翔大は?」
「あぁ、向こうで治療を・・・。」
言いにくそうに夕菜が呟く。
「大丈夫よ。」
影から出てきたのはメイの姿だった。
「今のところ状態は落ち着いているよ。でも、相当衰弱しているから戦いは避けないと体が持たないわよ。この前の弾丸は傷も残っていないわよ。さすがね。」
「よかった。」
戻ってからの立て続けの事故。不幸中の幸いだった。私はほっと肩をおろす。
「他国に手を貸すなんて変わった戦争よね。」
「昔から仲が良かったから急に戦争が始まっても縁を切ることはなかなか難しいから。あと、私は最高階級の人々を優先的に救うといってあるの。“緑ノ国のみ”とは一言も言っていないの。」
おそらく達也もそれをわかって言ったのだろう。
結局この戦争は見た目だけ。見た目は派手だけの無意味な戦い。でも何かの始まりにはなっているのかもしれない。
「上辺だけの戦いと言ってもいいようね。」
「そうかもしれないね。でも、洗脳されている男子たちはそうは思ってくれないかも。」
「洗脳?」
妙な言葉だ。いったい誰が彼らを操る必要があるのだろうか。
「洗脳というより操りかもね?」
「操り・・・。」
洗脳も操りもあまり変わらない気がする。何がどうしてこうなったのだろうか。まったく先が読めない。
「ある日ねリカが殺されたのよ。これがすべての始まり。遺体のそばには花粉が残っていて。それが、勘違いへと発展しこの有様よ。彼らの目には光がないの。何も信じていない。私たちのことも。自分自身もね。」
「戦争が始まったときから?」
「いや、最初はみんな普通だったのよね。でも、ある日を境に。何があったのかはまったくわからないの。ただ、男だけ。それも赤は洗脳されていないわ。だから翔大は樹を糸から解放するためにあんな行動に出たのでしょうね・・・。」
戦争の発端を聞いて驚いた。リカが…。リカが死んだのか。いったい誰の仕業?そんな感情が戦争に至ったとは。人間は怖いものだ。ある日を境に目から光が消えたなんて。希望を失ったなんて。早く絶望の底から救う必要がある。樹は運がよかった。でも、どうやって?
― ガチャ ―
「どうやって救うかが問題。そう言いたいのでしょう。美咲。」
「!!!」
37 『消える真実』 レンア 法廷
こっちに戻ってきて感じたことがある。みんなの目に光がない。特に男。いや、男だけか?誰かに希望を奪われたように黒ずんだ瞳だ。
誰の仕業か何の目的かどんな意味があるのか全くわからない。そして、この上辺だけ派手な凶悪な戦争。早く終わらせなければならない。俺ができること。俺にしかできないこと。でも、権力を振りかざして終わらせたところで何かが変わるわけでも終わるわけでもないだろう。
一人ずつ慎重に本心を取り戻す必要がある。でも、翔大のように命懸けでなければいけないのか?女子の心配も早く取り除かないと彼女たちも洗脳される。おそらく、犯人の目的もそれだろう。
「リリィ。君の正体はわかっている。メイリス王妃様。」
俺はただ一人法廷に残った。
俺はリリィを見つめる。
「まぁまぁね、私はメイリスではない。でも、私は女王。同国の女王。さぁ、本当の私は誰?」
目の前に立つのは真紅のドレスに身を包むリリィではなく、袴姿の黒髪の少女。
「私こそ王妃。今、私は姿を変えて数人の私となりこの世からの脱出方法を探しているの。」
「王妃。君の正体は?」
「さぁね。私は誰でしょうか。絶対にわからない魔法がかかっているの。残念ね。せっかくここまでがんばったのでしょうけど・・・。あと、この私も私の分身だから。この世に数人いる私の中で真の私の力を使えるのは真実の私のみ。真実の私も変装しているわ。分身の私はこの世界に数人いる。全員見つけることができるかしら?」
「あと、数年前。万年樹を焼いたというのもあなたですよね?」
「あれは、私の友人ステラ本人よ。」
彼女は表情一つ変えずに話す。嘘なのか真実なのか分からない。
「レンア、さすがだな。そこまでは私の期待通りだよ。私の作ったレールを進んでくれてありがとう。でも、あなたは私が思っていた以上だったようね。もう一つの事実を知ってしまった。」
「やっぱりか・・・。」
俺は猛烈な殺意に襲われた。気づくと右手は剣を握っている。
「分かってしまったなんて。知らないほうが幸せなのに、知りたがりは後々思い知るわよ。私のようにね。」
― シュン ―
俺は剣を振っていた。
王妃は表情一つ変えずに避けた。全てを分かっていたかというかのように。
「レイピアがあればあなたは救われたのに。」
「殺すと言う意味か?」
「違うわよ。レイピアは人を殺めるような物ではないの。ただ、記憶を操作するだけ。そのレイピアも今は所持していない。」
クレアはレイピアの使い方を誤っているとでも言うのだろうか。
― キンッ!! ―
甲高い音と共に俺の手から剣が無くなった。同時に首元に襲い掛かってくる刃先。
「残念でした。」
彼女の声が不気味に響く。
さすが王妃。俺はまったく敵わない。でも、この感じ。昔にもあった気がする。何かに気づいたのか王妃は少し慌てている。しかし、すぐにもとの表情に戻った。一体なにが?
俺は剣を拾い上げて戻した。
「クレアがレイピアを使ったときには桔梗の精が宿ったけれど本当はローズマリーなのよ。」
「!」
ローズマリーそうなるといろいろな人の記憶を操作してきたのは。
「記憶。あなたも知っているでしょう。聞かれる前に答えておくけど、私は人の記憶を操作したことは無いわよ。」
俺は王妃をにらみつけた。
「最後に真実を教えてあげる。私は、“リリィ”と呼ばれる人ではない。」
王妃はそう言って去っていった。まったく意味が分からない。
38 『計画』 レンア 青ノ国
― ギィィ ―
王宮に戻った俺は自室へ向かおうとした
長い廊下の中、普段は多くの人とすれ違うのに今日ばかりは誰ともすれ違わない。多くの人が出兵しているのだろう。
俺にとってはたった数時間の出来事なのにみんなにとっては3年間。とても長い歳月だろう。しかし、たった3年間で俺たちが築き上げてきた友好関係をズタズタに切り裂くようなことになったのは悲しいことだ。
でも、彼らは悪くない。全て王妃が仕組んだこと。何が目的か一切読めない。でも、王妃とは過去に一度手合わせをした気がする。同じ技を使ってきた。
「レンア様!」
飛びついてきたのはナミだった。つい赤面してしまう。
「ご無事でしたか~。こちらの世界は変わり果てていて驚いたでしょう!でも、みんな生きていますからご心配なく。」
「そのようだな。でも、私の聞く限り最も早く軍を出兵させたのはここの国だとか?」
「そ、それはそうですけど私たちは悪くないんです。だって、よっ!!!」
ナミは言いかけてやめた。ここから先は内密な情報だからここで言うことができないのか、もしくは俺にも言えないほどの悲しいことなのか。
まぁ、戦争自体が悲しく、虚しいものだ。
「レンア様。どうぞ落ち着いてお話をお聞きくださいね。」
「それは約束できぬ。」
「・・・。そうですよね・・・。」
「ある日、レイがよみがえったという噂を耳にいたしました。川の辺でレイの姿があったと。さすがに嘘だとも思ったのですが、可能性があるのならば見ようという意見もあり辺に行くことになったのです。」
噂に惑わされたのか。棺の中から人が出てくる等という事は今まで見たことも聞いたこともない。たった3年間で変わったものだ。
「辺には本当にレイの姿があったのです。」
「そ、そんなはずはっ!」
「事実なんですよ!これが。」
俺の言葉はナミにさえぎられた。
「レイが言うには、緑ノ国が戦争を起こそうとしている。早く手を打たなければ全ての国が滅びるとのことだったのです。」
「全ての国が…。」
これも、王妃の企み。
「見事に騙されたということか…。死者が蘇るはずがない。それに。」
ナミは『だって。』と目で訴えてきている。俺は目を背いた。
「それに?それになんですかぁ?」
ナミの声には怒りが混じっている。
「それに、あてがあるんだ。こんなふざけたことをする人物の。」
「誰?」
「王妃」
「王妃・・・。どこの国なの?名前は?」
彼女は完全に立場を忘れている。自分が目上の人と話していることなど頭にないようだ。
「何もかもがわからない。」
「それで、戦争が起きたってこと・・・?」
「そういうことだな。必然的なんだよ。これが、当然の結果。」
「必然や当然は変える事のできない運命なの?」
彼女の目は充血している。
「無理ではない。でも、簡易な事でもない。」
彼女は深いため息をついて立ち上がった。
「レンア様。早くこの戦争を止めてくださいね・・・。」
弱弱しい彼女の声は俺の心に強く響いた。でも、俺に王妃を欺くことができるわけがない。ならば、大人数で攻め込むしかない。そのためには四色全ての国の協力が必要。
「対談したい人がいる。」
俺の言葉が何を物語っているのかをすぐに感知したナミの目には涙があふれ出ていた。
「お願い。行かないで。崇・・・。そばにいてよ。危険だよ。殺されるよ。」
彼女は全てを悟ってしまったようだ。俺がこれからしなければならないことと、俺の・・・。
「ナミ。どちらかを選ばなければならない。1つは、このまま戦争を続けて自ら自分の国を滅ぼす。2つ目は、俺が彼らと衝突するか。」
ナミは一つ目の案を言い終えると首を大きく横に振った。二つ目の案を言い終えると今まで以上に大きな粒の涙を流したが長い沈黙のあと首を縦に振った。
「失礼します。レンア様。」
ミサが部屋に入ってきた。呼んではいない。でも、来て欲しい最高のタイミングだった。
俺は笑って彼女らに話しかけた。
「今すぐに第四英雄と王を呼び出せ。この無意味な争いに終止符を打とうではないか。」
ミサの口がほころぶ。
「了解しました。」
俺は立ち上がり部屋から出た。最後に見たナミは目に焼き映っている。
ご覧頂ありがとうございました。
続きは3月21日9時を予定しています。
そろそろ、話に矛盾点または人名ミスが出てくると思います。
今後もよろしくお願いします。
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