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臨界(仮)  作者: vastum
6/10

6話

昼過ぎだった。


石畳は温かく、

風が静かに吹いている。


広場の中央には剣が刺さっていた。


何十本もの剣が、錆びた鎖で束ねられている。


カチャ……


鎖が揺れる。


そのすぐ近くで、一人の男が寝転んでいた。


旅人のような格好だ。


帽子を顔に乗せ、腕を枕にしている。


男はゆっくりと帽子を持ち上げた。


「……ん」


空を見る。


青い空。


雲がゆっくり流れていた。


男は起き上がる。


「ここどこだ」


周囲を見回す。


石畳。

崩れた柱。


そして中央の剣。


男は立ち上がる。


剣の近くまで歩いた。


「すごい数だな」


一本の柄に触れる。


動かない。


「まぁ、そうだよな」


その時。


石畳を歩く音がした。


振り向く。


黒いローブの女が立っていた。


フードを被っている。


女は広場を見回す。


「……どこ」


男が答える。


「知らない」


女は男を見る。


「あなたも?」


「さっき起きた」


女は中央の剣を見る。


ゆっくり近づく。


鎖を触る。


カチャ……


「古い」


「だな」


「戦場?」


「たぶん」


女は少し考える。


「でも骨がない」


男は笑う。


「確かに」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


女が空を見る。


「気持ちいい」


「昼寝できそう」


女は少し笑う。


「する?」


男は石畳に座る。


「いいかもな」


女も座った。


二人は剣を見上げる。


しばらく沈黙。


鳥が空を横切った。


男が言う。


「平和だな」


「うん」


「どこから来た?」


「港町」


「俺は砂漠」


女は驚く。


「遠い」


「世界が違うかもな」


女は少し笑う。


「それ面白い」


風が吹く。


草が揺れる。


女が聞く。


「名前は?」


「ルーク」


「私は——」


言いかけた瞬間。


女が消えた。


ルークは少し驚く。


「……おっと」


周囲を見る。


誰もいない。


中央の剣を見る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


ルークは空を見る。


「いい昼だったな」


次の瞬間。


ルークも消えた。


広場には、また静けさが戻った。


風だけが吹いていた。

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