6話
昼過ぎだった。
石畳は温かく、
風が静かに吹いている。
広場の中央には剣が刺さっていた。
何十本もの剣が、錆びた鎖で束ねられている。
カチャ……
鎖が揺れる。
そのすぐ近くで、一人の男が寝転んでいた。
旅人のような格好だ。
帽子を顔に乗せ、腕を枕にしている。
男はゆっくりと帽子を持ち上げた。
「……ん」
空を見る。
青い空。
雲がゆっくり流れていた。
男は起き上がる。
「ここどこだ」
周囲を見回す。
石畳。
崩れた柱。
そして中央の剣。
男は立ち上がる。
剣の近くまで歩いた。
「すごい数だな」
一本の柄に触れる。
動かない。
「まぁ、そうだよな」
その時。
石畳を歩く音がした。
振り向く。
黒いローブの女が立っていた。
フードを被っている。
女は広場を見回す。
「……どこ」
男が答える。
「知らない」
女は男を見る。
「あなたも?」
「さっき起きた」
女は中央の剣を見る。
ゆっくり近づく。
鎖を触る。
カチャ……
「古い」
男
「だな」
女
「戦場?」
男
「たぶん」
女は少し考える。
「でも骨がない」
男は笑う。
「確かに」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
女が空を見る。
「気持ちいい」
男
「昼寝できそう」
女は少し笑う。
「する?」
男は石畳に座る。
「いいかもな」
女も座った。
二人は剣を見上げる。
しばらく沈黙。
鳥が空を横切った。
男が言う。
「平和だな」
女
「うん」
男
「どこから来た?」
女
「港町」
男
「俺は砂漠」
女は驚く。
「遠い」
男
「世界が違うかもな」
女は少し笑う。
「それ面白い」
風が吹く。
草が揺れる。
女が聞く。
「名前は?」
男
「ルーク」
女
「私は——」
言いかけた瞬間。
女が消えた。
ルークは少し驚く。
「……おっと」
周囲を見る。
誰もいない。
中央の剣を見る。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
ルークは空を見る。
「いい昼だったな」
次の瞬間。
ルークも消えた。
広場には、また静けさが戻った。
風だけが吹いていた。




