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臨界(仮)  作者: vastum


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17/18

17話

昼だった。


広場の石畳は、太陽の光で白く輝いている。


風がゆっくりと吹いていた。

草の上を小さな虫が歩いている。


中央には剣が刺さっている。


何十本もの剣が地面に突き立ち、

錆びた鎖で束ねられていた。


カチャ……


鎖が小さく鳴る。


その近くに、一人の女が立っていた。


長い外套。

肩には弓。


女は広場を見回す。


「……ここ」


さっきまで森の奥にいた。


獣の足跡を追っていた。


だが今は、知らない広場にいる。


女は中央の剣へ歩く。


「すごい数」


一本の柄に触れる。


冷たい。


「古い」


その時。


石畳を踏む音がした。


振り向く。


ローブを着た青年が立っていた。


胸には奇妙な紋章。


青年は広場を見回す。


「……どこだ」


女が言う。


「それは私も知りたい」


青年は中央の剣を見る。


「妙だ」


「戦場?」


青年

「違う気がする」


「どうして」


青年は空を見る。


青い空。


「静かすぎる」


女は少し笑う。


「それ、みんな言うね」


青年

「みんな?」


「なんとなく」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


青年は剣を見上げる。


「魔力も感じない」


「魔法使い?」


青年

「そんなところだ」


「私は狩人」


青年は頷く。


「似たようなものだ」


女は笑う。


「そうかな」


鳥が空を横切る。


女が空を見る。


「昼っていいよね」


青年

「夜の方が好きだ」


「どうして」


青年

「星が見える」


少し沈黙。


風が吹く。


草が揺れる。


青年が聞く。


「名前は?」


「カナ」


青年

「私は——」


その瞬間。


女が消えた。


青年は少し驚く。


「……」


中央の剣を見る。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


青年は空を見る。


「不思議な場所だ」


次の瞬間。


青年の姿も消えた。


広場には誰もいない。


昼の風だけが吹いていた。

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