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野良のテイムモンスターがあらわれた! 気がついたら不人気モンスターだったので、ゲームの世界でひっそり生きたいと思います  作者: 明和里苳


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第3話 海辺のモンスター

 休み休み飛んで、やっと海。ヒメスズメの飛行能力を舐めていた。ヤツは鳥モンスターの中では最弱。ツバシローとか、もっと速いヤツにすればよかった。


 この世界に四季はない。あるとすれば、四季を代表する街があるくらい。春の街はずっと春、極寒の大地はずっと極寒、砂漠は常に砂漠。そして海はずっと真夏で、ビーチはいつも人とモンスターで賑わっている。この世界をプレイしていた自分にとっては奇妙な話だが、こちらでは当たり前。まあ、ゲームの性質上やむを得ないとも言える。


 混み合うビーチを避け、俺は人気ひとけのない海岸にやってきた。ここは切り立った崖が入り組んでいて、海水浴客には向かない。しかしこんな岩場にこそいるんだ、ウニにアワビ、ムール貝。そう、俺が海を目指したのは、シーフードならいけるんじゃないかってことだ。なんたって俺はモンスター、漁業権など関係ない。いや、漁業権を得られない代わりに、討伐されるかもしれないが。


 というわけで、早速いただこう海の幸。とりゃ!


「ビチーッ!」


 しまった。俺の中の魚系モンスター、キンギョッピだけだった。淡水魚はアカン、普通に死ねる。




 まだだ。まだ焦る時間じゃない。ただシーフードを食べたいだけなら、獲ればいいのだ。岩場には、貝やウニがウジャウジャしている。コイツを雷撃で丸焦げにしてやれば!


「ビビビビ!」


「ビチーッ!」


 しまった、ウニの中にシビレウニが混じってた。コイツは水棲モンスターのくせに電気タイプのヤツ。当然電撃無効だ。そしてこちらは、うっかりキンギョッピのまま雷撃を使ったので、オウンゴールで普通に死ねる。


「ゴロゴロゴロ〜ン!」


 俺はすかさずロックイワにチェンジして、正拳パンチで岩場ごとシビレウニを撃破。砂岩は脆い。ロックイワの敵じゃねぇ。ついでに粉々になった岩も食べておく。うん、砂岩特有のほろほろとした口当たりが――


 しまった。つい勢いで岩を食べてしまった。しかも美味かったのが悔しい。ロックイワにとってはちょうどいいオヤツだが、人間としての俺の何かが死んだ。俺はワメーバの姿に戻り、シビレウニを食べた。ううむ、マッタリ濃厚な味噌の風味と、ピリピリとした刺激。まるでワサビと一緒に食べているみたいだ。


 と、そこに。


『シビレウニを とりこんだ!』


 俺の視界の下半分、いきなりメッセージウィンドウが現れた。どういうことだ。俺が放逐されたから、プレイヤー仕様になったとか? かといって、フリーになったモンスターが、みんなこういうメッセージを受け取っているわけではなさそうな。


 まあいい。俺は試しにシビレウニに変化してみた。うむ、問題なくウニと化している。一方、ウニからは自分を倒して食べた俺に対する強い憎悪が伝わってくる。すまんて。美味しかったんだから許して。


 というわけで、俺は人生で初めてキューブモンスターを食べ、取り込むことを覚えたのだった。ひょっとしてこれ、すごいことなのでは。だって、他のモンスターを取り込んでパワーアップしようと思ったら、あのJustice and Strength in Nature Research Institute――略してJASIN研究所に行かなければならない。あそこはキュブモンテイマーがモンスターを連れて行くところで、モンスターが直接立ち入る場所ではないのだ。


 ヤバい。もっと食おう。海にはまだまだ食えそうなモンスターがいたはずだ。とりあえずシビレウニのボディを手に入れたことだ、まずは海底から海の覇者になってやる。

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