第13話 新天地へ
「はぁ、ええ天気じゃのう」
「ヂュヂュッ」
現在俺は、なぜかジジイと一緒に船の上にいた。どうしてこうなったかといえば、とりあえずいろんなモンスターを取り込んでみようということと、それらを進化させてみようということ。キュブモンをコンプしている間に、お気に入りのモンスターが見つかるかもしれない。そしたらそいつに化けて生き延びるだけだ。
まあ、ジジイの思惑はそうじゃないみたいだがな。あわよくば綺麗な女の子を取り込んで、可愛いギャルとして生きていきたいらしい。させるかよ。いや、世の中には逸脱した変身願望を抱える美女もいるかもしれない。それならそれで、仲間に入れるのはやぶさかではないけども。
とりあえず俺は、人気モンスターのエレキネズミを目指すことにした。キュブモンプレイヤーなら必ず一体は所持しているから、最も目立ちにくいに違いない。というわけで、進化元のモコチュウに化けているというわけ。そしてモコチュウ一匹で旅をするのは無理なので、ジジイのクローンがお供だ。同じ姿のジジイが世界中のJASIN研究所にいるので、表を歩いていても誰も気に留めない。しかもカネ持ってる。なんて使えるジジイなんだろう。
「むふぅ。まだ見ぬかわい子ちゃんがワシを呼んどる!」
「ヂュッ(呼んでねぇ)」
ああ。本体もコピーも中身は同じか……。
「こんにちは! キュブモンセンターです!」
船旅を経て到着したのは、荒涼とした火山島。しかしここにもキュブモンセンターがあり、JKお姉さんが常駐している。てか、どこのJKお姉さんも同じ顔してね? 彼女らもクローンなんだろうか。
「クローンじゃないわい。顔採用じゃ」
「あなたのキュブモンを休ませてあげますか?」
(噛み合ってねぇ)
定形文しかしゃべれないお姉さん。いっそ不気味だ。
俺たちがここに来たのは、モコチュウの育成のためだ。ここは火属性と岩属性のメッカ、土属性モコチュウの格好の狩り場。そしてついでに、火タイプのキュブモンもゲットしておきたい。元マスターがキュブモンエンジョイ勢だったため、俺の中に火タイプがほとんどいないのだ。
「それいモコチュウ、十万どろつぶてじゃ!」
「モ〜コ〜ヂュウ〜!」
「ホヘェ……」
「むほッ、ヒヤモリゲットじゃぞい!」
十万どろつぶてってなんだろうな。泥団子が三つほど飛んでいくだけなんだが、優良誤認もいいところだ。そして泥団子で簡単に倒されるいたいけなヤモリに、一抹の罪悪感を感じる。
てか、ジジイ普通にキュブモンマスターやってる。モンスターを弱らせて、キューブを投げて捕獲。その流れるようなモーションに、かつてマスターだったというのも納得だ。なお捕獲したモンスターは、後で研究所で合成して取り込む予定。誰が見ているかわからない場所で、モコチュウからワメーバに戻って取り込むわけにはいかないからな。
そうして作業ゲーを続けることしばらく。
「ふむ、あと二〜三体といったところかの」
(ジジイやるな)
クローンなせいか、本体が三百年も生きているせいか。彼は退屈なレベルアップ作業をものともせず、黙々と雑魚モンスターを狩り、パワーアップ合成を繰り返した。弱小モンスターのモコチュウがアースモルモット、グランドカピバラへと進化して、いよいよ分岐進化が迫ったその時。
ゴゴゴゴゴ……
地鳴りがして、島全体が揺れている。まさかこれは……?




