第二十七話 花を結ぶ
窓の向こう、東京の街がまだ眠りに沈む時間。高層ホテルの一室には、昨夜の熱がわずかに残る。赤いシルクのカーテンが朝の光を柔らかく遮り、部屋全体が淡い金色に染まっていた。
光哉は目を覚ますと、隣でまだ眠る結花の柔らかな体温を感じた。長く伸びる指先が、昨夜の余韻を辿るように彼女の髪を撫でる。呼吸の一つひとつが、互いに触れ合った身体の記憶を呼び覚ます。光哉の胸に染み込む彼女の体温は、まるで自らのエネルギーを一点に凝縮するかのように熱を帯びていた。
結花がまぶたをゆっくり開け、光哉の瞳と出会う。まだ眠気の残る瞳の奥に、昨夜の火の残り香が漂う。微笑むように唇を開く彼女に、光哉は自然と腕を回し、柔らかく抱き寄せた。二人の距離は一瞬にして縮まる。指先が肌に触れるたび、体内の血流が加速し、全身の神経が覚醒していく。
昨夜とは違う流れで、光哉は結花をソファに誘う。光が差し込む室内で、彼女の体の曲線は、光と影の間で妖艶に浮かび上がる。手のひらが背中に触れ、指が髪に絡み、頬に触れる瞬間、結花の吐息が甘く震え、室内の空気が熱を帯びる。まるで、光哉の内に蓄えられた孤独と激情が、彼女の体を通して解き放たれるかのようだった。
光哉は結花の肩に唇を寄せ、吐息と体温を確かめる。昨夜の柔らかな戯れとは異なり、今朝は爆発的で、切実なまでに強い衝動が二人を突き動かす。指先で腰を抱き寄せ、髪を撫でると、結花は思わず身体を預け、全身で彼の熱を受け止める。熱の奔流に身を委ねながら、互いの呼吸は荒くなり、体の奥で火花が散るような感覚が続いた。
窓から差し込む朝の光が、カーテン越しに二人を包む。光哉は結花の耳元で静かに囁き、唇が触れ合うたび、官能的な余韻が全身に広がる。まるで古の儀式のように、身体を重ね合い、熱と情念をぶつけ合うことで、内に溜めていた孤独と激情が解放される。
やがて、互いの体温と息遣いが徐々に落ち着きを取り戻す。結花の額に手を当て、光哉は深く息をつく。爆発の後の静寂の中で、二人は柔らかく寄り添い、肌のぬくもりと体内に残る振動を感じ合った。外の世界の喧騒はまだ遠く、室内だけが二人の熱と余韻で満たされている。
ソファに横たわったまま、光哉は指先で結花の髪を撫で、耳元に微かに囁く。「この静けさが、俺のすべてを包む」結花は小さく微笑み、胸元に顔をうずめた。朝の光がゆっくりと増し、東京の街を黄金色に染める。官能の余韻と雅やかな静寂が、二人を優しく抱き、今後の落ち着きを得るための儀式を終えたかのようだった。




