誰もが羨む美人な清楚系彼女が出来たと思ったら実はヤンデレでした。でも俺はそんな彼女のことが大好きなので問題ありません!
僕、愛川悠には、とびきり可愛い彼女がいる。
彼女の名前は藤川愛美。
クラスの誰もが認める清楚な美少女で、天使みたいに優しい彼女だ。
ほんのちょっと前までは同じクラスにいるだけの存在だったのに、まさかそんな愛美が僕と付き合ってくれることになるなんて——今でも信じられない気分だ。
「悠くん、今日はお昼ご飯、一緒に食べられるかな?」
昼休み、愛美が僕の席までやってきて、にっこりと微笑む。その穏やかな笑顔を見るたびに、僕の心臓はバクバクしてしまう。
つい「え、俺と?」なんて変な返事をしてしまい、愛美はクスクスと楽しそうに笑った。
「もちろん、悠くんとだよ。他に誰がいるの?」
そう言われて、僕の胸はじんと温かくなる。そうだ、こんな美少女が僕だけを見てくれているんだ。
友達からは「すごいじゃん!」と冷やかされ、女子たちからも「あの愛美ちゃんが!」と驚かれる。
正直、付き合い始めてからというもの、まだ夢の中にいるような気さえしている。
「そ、そうだよな……! じゃあ、行こっか!」
僕は慌てて席を立ち、愛美と並んで教室を出る。
彼女は僕に合わせて少しだけ歩幅を小さくし、優しく微笑みかける。
僕たちが向かうのは、いつもの屋上だ。
周りからは付き合い始めて一か月で毎日一緒にお昼を食べていることを「熱々すぎる」と笑われるが、僕はそんな日常が嬉しくて仕方がない。
——それにしても、愛美は本当に僕のことを理解してくれている。
屋上に到着すると、愛美は鞄からお弁当を取り出す。真っ白な布で包まれたそのお弁当箱を見ただけで、もう美味しさが伝わってくるようだった。
「今日はね、悠くんが好きな唐揚げを入れたよ。昨日、これが食べたいって言ってたでしょ?」
「……うん! ありがとう、愛美!」
僕は感動しながら受け取る。
そうだ、昨日の放課後に「最近、唐揚げ食べたいなぁ」って何気なく言ったことを、愛美はしっかり覚えてくれていたんだ。
たった一言を聞き逃さずに、僕のためにお弁当を作ってくれる彼女……やっぱり僕の理想の彼女だ。
「悠くんの笑顔が見られると、私も嬉しいなぁ」
愛美はそんなことを言いながら、自分のお弁当箱も取り出す。
その中身は僕のお弁当とほぼ同じだった。僕と同じものを食べたいと思ってくれているのだろうか?
そんなささいな気遣いすら愛おしく思えて、僕はまた心がほっこりする。
お弁当を食べながら、僕は彼女のことをじっと見つめた。
ふんわりとしたロングヘア、華奢な体つき、そしておっとりとした仕草——その全てが彼女の優しい性格を表しているみたいだ。
僕が今までの人生で「こんな子と付き合いたい」と思い描いていた理想の女の子が、目の前にいる。
「……どうかした?」
愛美が小首をかしげ、僕の視線に気づいて優しく微笑む。僕は思わず顔を赤らめてしまった。
「い、いや……愛美って、やっぱり可愛いなって思って……」
「ふふっ、ありがとう。悠くんにそう言ってもらえると嬉しい」
顔をほころばせる愛美に、僕は胸が締めつけられるような感覚を覚える。
この瞬間を、ずっと守り続けたいと思う。……そんな時、ふと、頭の中に少しだけ疑問が浮かんだ。
——でも、どうして愛美は僕のことをこんなに理解してくれるんだろう?
もちろん、愛し合っているからだと言われればそれまでなんだけど、付き合い始めたばかりの僕たちがここまでお互いのことを分かり合えるものなのか?
それとも、僕の考えが分かりやすいだけだろうか。
「愛美ってさ、どうして僕が何を考えてるか分かるの?」
「え?」
思い切って尋ねると、愛美は一瞬驚いたように目を見開き、それからクスッと笑った。
「だって、悠くんのこと、いつも見てるからね。悠くんが何を考えてるか、すぐに分かっちゃうよ?」
「そ、そうなの?」
僕はドキリとする。でも、それ以上に嬉しかった。愛美が僕をそれだけ見てくれているなんて、なんて幸せなんだろう。
「私、悠くんのことが大好きだから、全部分かっちゃうんだよ?……なんてね」
愛美は冗談みたいにそう言って、また優しく笑う。僕はその言葉を真に受けて、心の中で歓喜の声を上げていた。
——僕のことをこんなに好きでいてくれるなんて、愛美は本当に素敵だ。
彼女のことをもっともっと知りたい、そして彼女にも僕のことをもっと知ってほしい。
そう思いながら、僕たちはいつも通り、穏やかな昼休みを過ごしていく。
けれど——その日、放課後になって、僕はある出来事に遭遇する。
******
「佐藤くん、ちょっといい……?」
僕に声をかけてきたのは、クラスメイトの女の子だった。
ちょっとした相談事があるらしく、彼女は小声でこう言ってきた。
「最近、知らないアカウントから変なメッセージが届くの……『佐藤悠には特別な彼女がいるから、あまり親しくしないでね』って」
それを聞いた瞬間、僕は凍りついた。
差出人不明のそのメッセージの内容は、僕に関することだ。
彼女と特別に親しくしていた覚えはないけれど……まさか。
「そんな……愛美が……?」
僕は愛美の穏やかな笑顔を思い浮かべる。でも、そんなはずはない。彼女がこんなことをするはずが——。
僕は心を落ち着けると、彼女に向き直り、きっぱりと言った。
「……ごめん、それはきっと、ただの悪戯だよ。心配しないで」
「そう……なのかな? わかったとりあえず様子みてみよっかな」
彼女は少し安心したように微笑んだが、僕は少しだけ不安を覚えた。
もしかして、愛美は僕のことを……そこまで好きすぎるんだろうか?
でも、そんなこと——いや、考えすぎだよな。僕は首を振り、愛美の天使のような笑顔を思い出して、自分に言い聞かせた。
だって、愛美はただ、僕のことを好きでいてくれるだけなんだから。
そうだよな——?
******
あの日、クラスメイトから聞いた警告メッセージの話がどうにも頭から離れない。
愛美が僕のためにしてくれていることは、僕にとっては全部「嬉しいこと」だ。
でも……やっぱり、あのメッセージは誰が送ったんだろう?彼女に直接聞こうとしたこともあったけど、僕が何かを疑うなんて、愛美に悪い気がして、それを言い出せずにいた。
それから数日後、そんな僕の悩みをよそに、愛美は相変わらず優しく微笑みながら僕を気遣ってくれる。
今日も放課後、僕が友達と遊ぶと言ったはずなのに——。
「悠くん、お疲れ様。今日はこのまま帰ろうか?」
「え? いや、俺、今日友達とカラオケに行くって言って……」
「……でも、悠くんが風邪気味じゃないかと思って、心配になっちゃって」
そう言いながら、愛美はそっと僕の顔に触れた。おっとりとした優しい仕草と柔らかな笑顔を前に、僕は心臓がドキリとする。
彼女の手は温かく、僕の額をふんわりと撫でるように触れている。
「……そうかな? そんなことないと思うけど……」
「私、悠くんのこと、ずっと見てるから分かるの。今日の悠くん、いつもより元気がない気がするから……ね?」
愛美はそう言って、少し寂しそうな目で僕を見上げる。僕のためを思って、心配してくれるその瞳に、僕は「じゃあ、今日はやめとこうかな……」と、つい頷いてしまった。
「あっ、じゃあそのまま帰るって連絡しておくね」
僕がスマホを取り出して友達に連絡しようとすると、愛美はそれより先に、自分のスマホを操作して
「さっきお友達からメッセージが来てたよ。『今日は用事ができたからまた今度』だって」
とにこやかに教えてくれる。僕はその瞬間、目を見張った。
「……え、どうして分かったの?」
「ふふ、たまたまかな?」
愛美は軽く首を傾げ、柔らかく微笑む。
もちろん、「偶然」と片付けるには不自然すぎるけど、僕は彼女の可愛らしい仕草に、それ以上追及する気を失ってしまった。
そうだよな、愛美が僕のことを思ってくれているのは間違いない。むしろ、僕が「愛されすぎてる」くらいだ。
彼女の心遣いを、どうして素直に受け止めないんだ? そう自分に言い聞かせ、僕は彼女の手をそっと握りしめた。
「ありがとう、愛美。僕のことをそんなに心配してくれて……」
「ううん、悠くんのためなら、私、何でも頑張れるから」
愛美は優しく微笑み、僕の手をぎゅっと握り返してくれた。その瞬間、僕の心はまたドキンと跳ね上がる。
そうだ、僕にはこんなに優しくて可愛い彼女がいるんだ。それだけで、僕はもう十分に幸せじゃないか。
——それでも、その日から彼女の「サポート」は少しずつエスカレートしていった。
******
次の日、僕が放課後にバイトへ行くと、そこに見慣れた姿があった。カフェの店内の一番奥の席に、愛美が座っていたのだ。
「……愛美?」
「悠くん、お疲れさま。ちょっと、見学に来ちゃった」
にっこりと笑って僕に手を振る彼女。僕は思わず唖然とする——だって、わざわざ僕のバイト先まで来るなんて聞いてない。
「え、愛美、わざわざこんなところに?」
「うん、だって、悠くんが頑張ってる姿を見たいなって思って……」
愛美の口調は、あくまで穏やかだ。彼女は僕を見つめる瞳を少しもそらさず、静かに微笑んでいる。
「そ、そうなんだ……そっか」
僕はその瞬間、驚いたけど、それ以上に彼女が自分のためにしてくれていることが嬉しかった。
だって、わざわざ僕を応援しに来てくれる彼女なんて、そうそういない。
「ありがとう、愛美。……でも、わざわざ来なくても大丈夫だよ?」
「ダメ、私は悠くんの役に立ちたいんだから。それに、ちょっとでも悠くんを見ていたいなって思ったの」
そう言われてしまうと、僕は何も言い返せなかった。だって、彼女の目は本当に純粋で、僕に対する愛情に満ちていたからだ。
「……そっか、わかった。じゃあ、後でちゃんと接客するから、ゆっくりしていって」
僕がそう言うと、愛美は本当に嬉しそうに「うん!」と頷いた。
僕のバイト中、彼女はずっと僕を見つめていたけれど、その視線は決して重たくなく、むしろ「愛されてる」と感じさせるほど優しいものだった。
……そう、僕はこんなにも彼女に愛されているんだ。
こんな可愛い彼女が、僕のことを好きでいてくれている。そう思うと、僕は胸がいっぱいになり、自然と笑顔がこぼれた。
——でも、その後、僕がバイトを終えて休憩室に戻ると、ちょっとした驚きの出来事が起きた。
「愛川くん、君の彼女……だよね? さっき、厨房の人に色々話しかけてたんだけど……」
バイト先の先輩が、困惑したようにそう教えてくれたのだ。
愛美がわざわざ店の裏にまで行って、僕のシフトを確認したり、スタッフに僕の好物を教えてくれたりしていたらしい。
「そんなことまでしてくれたの……?」
僕は唖然としつつ、心の中で彼女の行動に思わず笑みを漏らした。
確かに、ちょっと過保護だし、普通なら「やりすぎだよ」って思うかもしれない。でも——僕はむしろ嬉しくてたまらなかった。
だって、そこまで僕のことを考えてくれるなんて、どう考えてもすごくないか?
——僕はやっぱり、愛されすぎて幸せだ。
そんな彼女をこれからもずっと大切にしよう、そう心に誓いながら、僕は愛美のもとに駆けつけた。
「愛美、ありがとう。おかげで、バイト頑張れたよ」
「ふふっ、悠くんのためなら、いつでも応援しに来るからね?」
彼女はそう言って、穏やかな笑顔を浮かべる。その優しさに、僕はまた胸を打たれ、彼女のことをもっと好きになっていくのだった——。
******
ある日、僕は思い切って、愛美に尋ねることにした。
クラスの男子に「彼女、束縛しすぎじゃないか?」と言われたのがきっかけだった。
僕は全然そんなふうには思っていなかったけど、みんなが心配してくれるものだから、少し気になったのだ。
……でも、愛美は僕のことをただ思ってくれているだけだ。そう信じたい気持ちもあったから、僕は軽い気持ちでこう聞いてみた。
「ねえ、愛美。僕が他の女の子ともっと仲良くしたいって言ったら……どうする?」
愛美は最初、その言葉の意味を理解できないかのように、キョトンとした表情を浮かべた。
それからゆっくりと、まるで目の前の世界が崩れるかのように、顔を曇らせる。
「……どう、するって?」
「いや、例えばだけど、もし僕が他の女子と話したり、一緒に遊んだりすることがあったら……」
僕は軽い冗談のつもりで聞いた。別にそんなつもりはないし、愛美が嫌がることはしない。
でも、どう反応するのかな、と思っただけだ。けれど、彼女の返事は僕の予想を大きく超えていた。
「……嫌だよ。絶対に嫌。悠くんが他の女の子と仲良くなるなんて、考えたくもない」
愛美は唇を噛みしめ、今にも泣き出しそうな目で僕を見つめる。
その瞳には不安と焦りが混ざり、そして——何よりも強い、僕への独占欲が滲み出ていた。
僕は一瞬、息を呑んだ。普通なら「重い」と感じるはずだ。
でも、僕はその時、彼女のその感情を見て、心の奥で湧き上がってくるものを抑えきれなかった。
「……え、そんなに僕のことを思ってくれてるの?」
気づいたら、僕は笑顔を浮かべていた。
愛美は驚いたように目を見開く。僕は彼女の手を握りしめ、「ありがとう」と深く感謝の言葉を口にしていた。
「愛美、そんなに俺のことが大切なんだな……すごく嬉しいよ」
愛美は震える声で「う、うん……大事だよ……」と絞り出すように言ったが、その顔は信じられないといった表情を浮かべていた。
そりゃそうだよな、彼女からしたら「嫌だ」と言った僕が、どうして笑っているのか理解できないだろう。
でも、僕は本当に嬉しかった。こんな美少女が、僕のことをそこまで想ってくれているなんて……!
普通なら「重い」だとか「怖い」とか思われそうな言葉すら、僕には彼女の一途さと愛情の深さに感じられて、むしろ感激してしまったのだ。
「愛美、僕も君のことが大好きだよ。他の誰にも目を向けないって約束する!」
僕がそう告げると、彼女の目からポロポロと大粒の涙が零れ落ちた。
「……ほ、本当に? 他の子なんて、どうでもいい?」
「もちろんだよ。だって、愛美以上に素敵な彼女なんていないんだから」
僕が自信たっぷりにそう言うと、彼女はさらに涙を流しながら、それでも嬉しそうに微笑んだ。
「……悠くん……ありがとう……」
彼女は震える手で僕をぎゅっと抱きしめた。
小柄な体が僕の胸にすっぽりと収まり、その温もりと柔らかさが僕を包み込む。
「……ずっと、ずっと一緒だよね? 他の誰にも取られないで、ずっと……私だけの悠くんでいてくれる?」
愛美の問いに、僕は一瞬も迷うことなく「うん!」と力強く頷いた。
そりゃそうだろう。僕には愛美以外、考えられないんだ。
それがどんなに「普通じゃない」と思われても、僕にとってはこれが最高の幸せだから。
「本当に……? ……じゃあ、これからも、私が悠くんの隣にいてもいいよね……?」
彼女の声はかすかに震えていたけれど、その瞳には希望の光が宿っていた。僕は彼女の涙をそっと指で拭ってやり、真剣な表情で言った。
「当たり前だよ、愛美。僕はずっと、君だけを見てるよ」
その言葉を聞いた瞬間、愛美はパッと花が咲いたように笑顔を浮かべ、僕の胸に顔を埋めた。そして、彼女は小さく、けれど確かに呟いた。
「ありがとう……ずっと、ずっと一緒だよ、悠くん……」
彼女が腕を回して僕の背中を抱きしめるその力は、少し強く、そしてほんの少しだけ痛みを伴っていた。けれど、僕はその感覚さえも「彼女の愛の証」として受け入れた。
——そうだ、これでいいんだ。僕はこれからも、愛美だけを大切にする。
彼女がどんなに僕のことを「独占したい」と思っても、僕にとってはむしろ嬉しいことだ。愛美が僕のことを愛し続けてくれるなら、僕も全力で彼女の気持ちに応えていきたい。
こうして、僕たちの「束縛されすぎな恋愛」は、さらに深まっていく。愛美はますます僕を気遣い、僕もまた、彼女を幸せにすることに全力を尽くす。周囲から見れば「重いカップル」かもしれないが、それでも——。
僕は誰よりも幸せだ。
愛美と一緒にいられる、それだけで。
彼女の少し過剰な愛情が、僕にとっては何よりも心地よく、彼女が僕を想うほどに、僕もまた彼女を愛していく。
——これからも、ずっと。
「悠くん……大好きだよ……」
「俺も、大好きだよ、愛美」
愛美の甘い言葉を受け、僕は心の中で誓った。彼女が望む限り、僕はずっと——彼女の「理想の彼氏」であり続ける、と。
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