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その男、夜更かしする

あの夜、結局俺は眠れなかった。


レイラに早く寝るよう言われて大人しく言うことを聞いたが、部屋に彼女がいると思うとどうしても意識してしまい、それが俺の睡眠を妨げた。


結果として同じ睡眠不足であるなら、レイラと過ごしてそうなった方が幾分も幸せだったに違いない。

ただ、翌日バイトの彼女には無理をさせてしまうかもしれないが。


そう自分本位なことを思いながら、俺は朝から雑誌の撮影と取材をこなし、今度は音楽番組の収録のためテレビ局に来ていた。

忙しくメイクや着替えを終えて楽屋で待機していると、思わずあくびが出る。

薄ピンクの長い髪を軽く束ねたショーンと可愛い雰囲気を漂わせたハルが横にきて俺にちょっかいをかけてくる。

俺は抵抗することなくされるがまま2人の相手をしていた。


その様子をリーダーのカグヤがSNS用のショート動画に収めていた。

動画を撮り終えてもなお、ショーンとハルがイタズラをしてくるので俺は無視する。

そして、カグヤが俺のスマホを指差して声をかけてきた。



「マオ、スマホ鳴ってる」



そう言われてガバッと起き上がり、俺はテーブルの上に置いてあった携帯を手に取る。

レイラからのメッセージが1件入っていた。

彼女からメッセージが来るのは珍しいので、俺の眠気は一気に覚める。



『マオ、お仕事がんばってね』



たった、一文だけだったが俺の表情が決壊する様子を見て、ショーンとハルが口々に言う。



「マオマオ、表情気をつけて!ダダ漏れ!」


「そうだよ!マオ、キャラ変わってきてるから」



俺は2人にそう言われてスイッチを入れ直した。



それから、俺は無事収録を終えて家に帰る。

かなり遅くなっていたが、レイラはまだ起きているようだった。

ただ俺が帰ってきたことに気づいておらず、リビングでくつろぎテレビに夢中になっていた。


『Seven Summits』のライブ動画で、俺のグッズのぬいぐるみを握りしめて、それを真剣に見つめていた。


こうやって客観的に自分のライブを見返すと、その時を思い出して感情が少し昂る。


この次は俺がセンターで踊る所だなと思って見ていると、そのシーンを見終えた後レイラがバッと立ち上がった。



「はぁ……最高だわ。ダンスも表情も良すぎる!早速結子ちゃんに連絡し……きゃっ!」



後ろを振り向いたレイラと目が合う。

俺のことを素直に褒めるレイラに嬉しくなり、自然と笑みが溢れた。



「ただいま、レイラ」


「……マオ、いつから見てたの?」



恥ずかしそうに少し怒っているレイラを俺は抱きしめた。

レイラは動揺していて、俺はそれを揶揄うように彼女の耳元で囁く。



「さぁ?」


「……恥ずかしいから忘れて」


「ごめん、無理」



俺は忘れたくないという意味と、そんなレイラが可愛くて限界だという意味を込めてそう言った。

恥ずかしそうに目を逸らすレイラを覗き込みキスをする。


そして、顔を離すと赤くなったレイラが目に入る。

そんな彼女の表情は更に俺を煽り、今度は甘く深いキスをする。

付けっぱなしのテレビから流れる自分のグループの歌とレイラの艶のある吐息が入り混じる。


力が抜けて立っていられなくなったレイラの身体を俺は腕で支えた。

俺は顔を離すと、彼女の半開きの唇から溢れている先ほどの余韻を指で拭き取ってあげる。


レイラはそんな俺を潤んだ瞳で見つめ、乱れた吐息を整えて小さく呟いた。



「……マオのばか」



そういって、俺の腕に支えられてたままレイラは力無く叩く。

今日のレイラは艶のある長い黒髪を片側に寄せていて、すらっとした首筋が露わになっている。

そして、猫のような瞳と陶器のように白い肌は少し熱帯びていてどことなく甘く色気を放っていた。


これのどこが煽ってないといえようか。


俺はそんなレイラを抱き上げると近くのソファーに下ろし優しく押し倒した。

俺に見下ろされたレイラは赤い顔を少し逸らした。



「俺、明日休み。レイラは?」


「明日は……お休みよ」



恥ずかしそうにそう言うレイラを見て、俺はニヤリと笑った。

彼女は察したようにゴクリと唾を飲む。

俺は赤くなった可愛い耳元に顔を寄せて囁いた。



「じゃあ……夜更かし付き合ってくれるよね?」



そういって俺は肯定以外の返事をレイラにさせないようにキスで唇を優しく塞いだ。


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