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29:オーラの色

 



 ◇◇◇◇◇




 寝苦しい。暑い? 狭い?


 ふと、目が覚めたら、目の前に厚い胸板。


「っ――――!」


 叫ばなかった自分を褒めたい気分です。

 いつから? 陛下に抱きついて泣いていたところから記憶が薄れ……そのまま寝てしまった?

 

 あれ? でも、夜着に着替えています。え、どうやって? 侍女、よね? 流石にそこは侍女たちよね?


 悶々ぐるぐると考えていましたら、陛下がパチリと目蓋を開けました。


「ん、おはよう」

「おおおおはようございます」


 力いっぱいどもってしまいました。

 陛下がくすくすと笑いながら起き上がられましたので、続いて起き上がるとニコリと微笑んで柔らかな口づけをされました。

 これからこんな日が毎日のように続くのでしょうか?


「心臓、もつかしら?」

「何の話だい?」

「ジェラルドさま素敵だなぁって」

「っ……」


 少し寝ぼけていたこともあり、ぽろりと口からこぼれ落ちてしまいました。その瞬間、陛下が右手の甲で口を押さえてフィッと顔を背けられました。

 耳がとても赤いです。


「陛下?」

「…………ちがう、ナマエ」

「――――?」


 陛下が顔を背けたままで、何故かカタコトで『ナマエ、ナマエ』と仰います。何のことだろうと首を傾げていましたら、「……ぇ……るど」と、聞き取れないくらいに小さな声で呟かれました。


「あ! お名前を呼んでしまいました? 申し訳ございませんでした」

「っ……天然か」


 何故か陛下がガックリと肩を落とされ、着替えて食堂に向かおうと仰り、手を差し伸べてこられました。


「食事をしながらで悪いが、少し話したいことがある」

「承知しました」


 しっかりと手をつなぎ、衣装部屋へと向かいました。




「オーラの色ですか」

「ん。黒は、人の死に直接関わっている者が染まる」

「ヴィオラとメリダとお父様は……」

「あぁ、母上は殺されたと確定して良いだろう」


 それから……と、陛下が続けられました。


 私に出ている濃い青。悲しみと後悔の色。

 これを纏っている者は、心を壊しやすいとのことでした。


「ニコレッタが心配だ」


 陛下の真剣なお顔に心臓が締め付けられます。

 優しくて、温かい方。


「大丈夫です。今は、とても幸せです。悲しいことは多いですが、それでも、私は前を見たいので」

「ん」


 陛下がゆっくりと目蓋を閉じられ、深く頷かれました。


「それから、フェルモの濃灰だが、心を壊している者がなる色だ」

「心を壊している?」

「精神的な病だな。深い青から徐々に色が抜けてなる場合が多いのだが、フェルモにはその予兆はなかった」

「……それは………………どう捉えて良いのか……」


 陛下も悩まれているとのことでした。可能性はいくつがあるものの、推測の域を超えないそうです。

 

 影の方々に追加での調査を頼んでいるそうなので、報告が上がるのを待つことしかできないようです。


 そしてお父様とメリダに関しましては、来週に処刑場で斬首することが決定したそうです。立ち会うか聞かれましたので、しっかりと頷きました。

 あの二人を最後まで見届けるのは、私の役目ですから。


 陛下と今日以降の予定などを話し合いつつ決めている時でした。

 騎士様が慌てて駆け込んでこられて、陛下に耳うちをされました。陛下は、それを聞いてクワッと大きく目を見開かれると、今度はしっかりと閉じて深呼吸を繰り返されます。


 ――――なにか、あったのかしら?


「ニコレッタ、予想外の事態だ。無理はしなくていい。ついてくるかは君が決めなさい」


 ――――え?




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― 新着の感想 ―
[一言] え
[一言]  王太子は、一服どころか、コツコツと薬を盛られていたのか。  継承権の剥奪はしょうがないけど、平民落ちは気の毒すぎますね。
[一言] 実際に薬で頭いっちゃってたみたいだけど…… 大好きな婚約者が嫌ってる義妹の差し入れ不用意に食べてる時点でどうにもこうにも。 王太子の身分でそれはないでしょうと思う。 本人が元からどうにも足り…
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